2011年08月25日

DOLL-COLORED POP「Ceasiumberry Jam」

caesiumberryjam.jpg

「思い出さないんなら、忘れたのと同じだろう?」
 四谷にある雑々たる仕事部屋で、カメラマンは思い出していた。十年前、あの渇いた大地、打ち捨てられた寒村、そこに住む人々との思い出。「さっぱりしたよ。ありがとう」。飛行機を乗り継ぎ彼を訪ねてきた男、かつては家畜を撃ち殺して回る仕事をしていたあの独善的で高圧的なエストラゴン・ヨシフォビッチ・ベルジコフスキー。今は保健省の小役人として庭のある家に住んでいる。二人は古いネガ・フィルムとボロボロのノートを取り出し、一つ一つ、噛み含めるように、あの土地での記憶を掘り起こしていく。1991年、1993年、1994年、1995年、そして1986年。あの土地で何が起こったのか? ジャムを食ってたあの糞坊主、あいつは今、何をしているのだろうか? いや、いや、問題の核心はそこではない。俺たちは確かにあの土地にいた。しかし、一体何が起きたのか、覚えているだろうか、俺たちは?

人類史に深く刻まれたあの大事故を、綿密な取材に基づきオリジナル・ストーリーとして著した初演版から約4年。劇団躍進の契機となった野心作を新アレンジで再録した待望の再演。劇団活動再開記念&第10回記念公演として、2011年の今、上演します。
(チラシより)

 チェルノブイリという地名は出てこなかったように思うが、あの事故を題材とした話だ。放射能に汚染された村で暮らす人々の話。事故と歳月が変えてしまう人々の話。朽ちていく村の話。村を見守る男の話。通りすがりのカメラマンの話。

 初演が4年前。作品を取り巻く状況がわずか4年でこれほど劇的に変わってしまうことも珍しいだろう。間違いなく、4年前と今とでは観客の印象が違ったはずだ。残念ながら初演は観ていないが、今はこの作品を観ておかなきゃいけないと思った。

 作者がこの物語で一番描きたかったのが何なのか、それが4年前と今とで同じなのか、ちゃんと理解できている自信はないが、とにかく重くて濃い演出に絡め取られるような舞台だった。放射能に関する描写はややステレオタイプな感じもしたが、それはあまり重要ではないだろう。医学とか科学の描写ではなく、“汚染”に直面した人々の生きる姿がじわじわと伝わってきた。

 言うまでもなく、もはや他人事ではなくなった。願わくば、さらに4年後にもう一度再演してほしい。その時どんな社会になっているか、まったく予想できないけれど、どうなっていたとしてもまた今とは違った印象となるだろう。

2011/08/25-14:00
DOLL-COLORED POP「Ceasiumberry Jam」
シアターグリーンBOX in BOX THEATER/前売券3000円
作・演出:谷賢一
出演:東谷英人/大原研二/塚越健一/中村梨那/堀奈津美/若林えり/石丸さち子/井上裕朗/加藤素子/佐賀モトキ/芝原弘/田中のり子/細谷貴宏/百花亜希/守美樹/吉永輪太郎
舞台監督:棚瀬巧+至福団
照明:松本大介
美術:土岐研一
制作:北澤芙未子/会沢ナオト
演出助手:元田暁子/南慎介/海野広雄/竹田悠一郎
宣伝美術:鮫島あゆ×堀奈津美


posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック