夏の真ん中、暑いけど、どこか寒々しい頃、八月。(チラシより)
街を去る人、残る人。高校生から大人までの時間と身体。
友達たちの後悔と、何かを口にしなければいけない日常。
6月公演「帰りの合図、」、7月公演「待ってた食卓、」と今作で三連作となっている。6月公演は芸劇eyes特別編「20年安泰。」の中で上演されたものなので観ているが、7月公演は未見。恐らく観なかったからといって今作が理解できないというものではないと思われる。
とにかく繰り返しを多用する作風だ。6月公演もそうだったし今作もそう。恐らくは今のところこの劇団のスタイルとしてそうしているのだろう。繰り返しというと少年王者舘がまず思い浮かぶが、それとは少し印象が違う。王者舘は本当に同じ事を繰り返すが、マームとジプシーは少しずつ変化したり違う視点にずれていくなどして、じりじりと物語が展開していく。
普通ならさらっと流れてしまうシーンが繰り返されることでじっくり噛み締めているような感覚を得られる。しかしテレビのバラエティ番組でやるような、おいしいシーンを繰り返すというのとも違う。この独特な手法は多分ちょっと中毒性があるだろう。
しかしチューインガムを噛んで味わうようなもので、さほど栄養になるわけでもない。まあ、ガムが栄養になってもむしろ困るのだが。その中身の薄さがちょうどいい。
2011/08/22-14:00
マームとジプシー「塩ふる世界。」
STスポット/当日券2700円
作・演出:藤田貴大
出演:青柳いづみ/伊野香織/荻原綾/尾野島慎太朗/高山玲子/緑川史絵/吉田聡子
舞台監督:森山香織梨/加藤唯
照明:吉成陽子/山岡茉友子
音響:角田里枝
宣伝美術:本橋若子
制作:林香菜