最初は彼らが何者かわからないが、少しずつ背景が明らかになっていく。彼らは皆、世間を騒がせた事件の関係者であり、世間の目を逃れながらも社会の中で暮らすべく、その家で生活をしているのだ。
住人と接するガードマン、弁護士、ジャーナリストといった人々も登場するが、いずれも住人を“守る”行動をとっているのに各々ずれている。住人達もまたお互いに噛み合わない。感情移入できる人物が見つからず、全体を包み込むような居心地の悪さと閉塞感にさいなまれる。それこそがこの作品の味なのだろうか。
なぜ複数家族が同居しているのか、しかも別の事件とはいえ被害者の家族と加害者の家族が共同生活できるのかなど、現実的に考えると不可解な面はあるが、やや不気味さを醸し出す演出でうまくリアリティをキャンセルしていた。ただ、家そのものにまで猟奇的なエピソードを持たせるのはやりすぎではなかろうか。
とはいえ、役者や演出を含め作品としてのクオリティはとても高く、見ごたえのある舞台だったとは思う。
2006/07/27-14:00
tsumazuki no ishi「無防備なスキン」
ザ・スズナリ/前売券3500円
作:スエヒロケイスケ
演出:寺十吾
出演:蒲公仁/釈八子/松嶋亮太/寺十吾/中村榮美子/竹下カオリ/岡野正一/松原正隆/宇鉄菊三/猫田直/日暮玩具/杏屋心檬/鈴木雄一郎/中野麻衣/永野昌也/田中要次