どこにでもある、ぶっ壊れた小学校の授業参観日。早朝の教室では、小さなロミオとジュリエットの2人が「この街を出よう」と誓いあっていた。副担任の小笠原は吐きながら職員室で電話のの応対をしていた。担任の梶浦は全員が揃い次第、爆弾の導火線に火をつけようとしていた。しかし学級崩壊の為、集ったのは親子を含めてたった6人。梶浦はいつもの口癖通り「みんなに5分だけあげよう」と微笑み、爆発までの道徳の授業が始まる。(チラシより)
厳格だが道徳のポリシーを持つ年配の女性教師と、ただ軽いノリの若い男性教師。早熟で反抗的な子供たちと、身勝手な親たち。上記のあらすじでは教師の仕掛けた爆弾が中心のようだが、実際に観た印象としては爆弾の存在感は薄く、教師自身の特異性とモンスターペアレンツの滑稽さが前面に出ていた。
というか、教師が爆弾を持ち込んだ意図がいまいち伝わってこなかったのだ。別に爆弾がなくても物語は成立していたし、最初と最後以外では教師自身の行動も爆弾の存在を意識している感じがしなかった。
女子生徒の母親を演じた大久保千晴の不気味な演技が印象的だった。おとなしい普通の奥さんに見えた彼女がジワジワと凶暴な本性を現していく変化はゾクゾクさせられた。また、小学校六年生の子供を演じた宮川珈琲と今城文恵のうち、宮川珈琲は体格がかなり大きいにも関わらず子供として違和感なく見えたので、上手い役者なのだと思う。
どの登場人物もマトモではないという設定は割と好きな方だが、マトモじゃない程度はそれほどきわどくなかったので、ちょっと物足りない気もした。
2011/07/02-19:00
MU「5分だけあげる」
王子小劇場/当日券3000円
脚本・演出:ハセガワアユム
出演:久保亜津子/若宮亮/渡辺磨乃/藤田慶輔/宮川珈琲/今城文恵/大久保千晴/皮墓村
舞台監督:松澤紀昭
照明:元吉庸秦
音響:岡田悠
宣伝美術・撮影:MU
舞台写真撮影:石澤知絵子
制作協力:林みく