ポップで、切なくて、知的で、頑固で、(チラシより)
開かれたヤツらが大集合!
この先20年、日本の演劇の未来が楽しみになる才能が5組。
同じ舞台を使い、短編で個性を競い合う4日間。
20年後、これを観たことが自慢になる。
ロロ「夏が!」
範宙遊泳「うさ子のいえ」
The end of company ジエン社「私たちの考えた移動のできなさ」
バナナ学園純情乙女組「バナ学eyes★芸劇大大大大大作成」
マームとジプシー「帰りの合図」
改築中の東京芸術劇場がプロデュースする芸劇eyesの番外編として水天宮ピットで開催された、5団体によるショーケース公演。企画の趣旨からして当然だが、それぞれまったくスタイルが異なるため、同じ舞台を使って連続上演するのはかなり難しかったと思われる。どうにか形にはなっていたが、水天宮ピットでの上演に適していた劇団もあればそうじゃなかった劇団もあったと思う。
水天供ピットは、小劇場と言うには広い方だろう。バナナ学園純情乙女は人数も多い上に暴れ回るスタイルだからちょうどよかったと思うが、ロロや範宙遊泳にはちょっと広すぎたのではないか。ジエン社とマームとジプシーは、もっと狭くても良かっただろうがうまく空間を使って広すぎる印象を消していたと思う。
個別の作品は決して悪くないが、企画全体としては上記の惹句はちと大袈裟だったというのが正直な感想だ。20年後に振り返った時、この5作品が何かの起点になっていたと感じる可能性がゼロではないが、現時点ではそこまでのものとは思えない。
5団体の中で初見はマームとジプシーのみ。ロロは前回観た時と同様、よくわからない。ハイコンテクストなのかもしれないが、そうかどうかすら判断できない。ジエン社は悪くないが、描いている風景はもう古くなっているのではないかと思った。範宙遊泳はがんばっていた。面白いけれど、20年も覚えていないだろう。バナナ学園には水をかけられた。マームとジプシーは興味を惹かれ、もう一度観てみたいと思った。反復の演出は彼らが初めてではないし少年王者舘に比べたらはるかに甘い反復だが、あれを少しひねったような演出はこれから増えてくるのではないだろうか。
大袈裟な謳い文句に見合う内容だったかは疑問であるが、手軽なショーケース公演としては十分に面白いものだったと思う。
2011/06/25-14:00
芸劇eyes番外「20年安泰。」
水天宮ピット/前売券2000円