
イシハラ都知事、絶体絶命。(チラシより)
二度目の東京オリンピックを目前に控え、祝祭ムードに包まれる東京都。
新都心に建設されたオリンピックスタジアムがテロリストにより占拠され、
視察中のイシハラ都知事が人質となる。
新型の義肢を装着したパラリンピック・アスリートは人質を救出する為に奔走するが……。
イシハラ都知事も真っ青の表現規制ぶっちぎりエンターテイメント!
前回公演「あなたの部品リライト」では本物以上の義肢を作る人を主人公にした北京蝶々。今回もまた生身以上の性能を持つ義肢を装備したアスリートが登場するが、雰囲気はだいぶ違っている。作者は同じなので、やはり演出の違いだろう。前回は時間堂の黒澤世莉、今回は柿喰う客の中屋敷法仁だ。前者に比べて後者はかなりコメディ風味が強くなっている。
ちょうど東京都青少年健全育成条例の改正問題(いわゆる非実在青少年問題)や震災の天罰発言など石原都知事の失言が注目されている時期で、作品に登場する「イシハラ都知事」もそれをイメージした独善的な人物に描かれている。とは言ってもあくまでキャラクターとしてであって、別に石原都知事を批判するような作品ではない。
作品の本質はやはり義肢と障害者と、さらに色んな意味でアブノーマルな人々だ。こういう作品はなかなかメジャーでは書きづらかろうが、荒唐無稽な設定の反面、主要な登場人物の描写はとても現実的なものだった。つまり、決して品行方正な善人などではなく、どろどろした内面を持つ普通の人間であり、人に言えない趣味があったりする。
そして、あくまでもそれは設定であり、それを生かしたストーリーで楽しませてくれる舞台だった。キャラクターの面白さはイシハラ都知事だけではなく、端役まで含めてみんな愉快な人物だらけ。題材がきわどくても単純に笑わせてもらえる作品になっていました。
2011/04/09-19:30
北京蝶々「パラリンピックレコード」
シアタートラム/前売券3300円
作:大塩哲史
演出:中屋敷法仁
出演:帯金ゆかり/森田祐吏/岡安慶子/田渕彰展/山本卓卓/堀越涼/コロ/伊原農/安藤理樹/横道毅/佐野木雄太/今城文恵/藤尾姦太郎/佐賀モトキ/冠仁/杉村こずえ/前田勝/浅見紘至/印宮伸二/長野耕士/高橋洋介/権五柱/石黒淳士/浪打賢吾/浜崎仁史/流山児祥
照明:伊藤孝
音響:志水れいこ
舞台美術:稲田美智子
舞台監督:大友圭一郎 弘光哲也
舞台監督助手:桜井健太郎
ドラマトゥルク:オノマリコ
演出助手:戸谷絵里
宣伝美術:満冨優子
スチール:金丸圭
制作:吉田千尋
当日運営:池田智哉
製作:北京蝶々