
コインランドリーの洗濯機から始まる、「巡る」を巡る物語。登場人物はみな濃くて熱い。以前観た唐組とも似た、おおげさな台詞まわしと激しい動きで、いかにも芝居らしい芝居。大衆演劇というのだろうか?変に芸術的なてらいはなく、おそらく万人受けする作風だ。観ていてとても楽しかった。
とんがって既存手法に対するアンチテーゼを謳う若手劇団が散見される中、真正直に王道の芝居を作っていると感じた。しかし結果的に両者は同じようなスタイルになっていく可能性もある。なぜなら、少し前に流行した「静かな演劇」自体が古典的な芝居へのアンチテーゼであり、最近出てきた若手劇団がさらにそのアンチテーゼを志せばかなりの確率で古典的な芝居に回帰してしまうからだ。
もちろん、どちらかが正しいわけではなく、芝居のスタイルもまたぐるぐると巡っていると言えるだろう。観る方としては、巡る位相がほどよくずれてくれれば様々なタイプの芝居が楽しめるのでありがたいことだ。
2011/01/15-19:00
南河内万歳一座「ラブレター」
ザ・スズナリ/前売券3500円
作・演出:内藤裕敬
出演:河野洋一郎/鴨鈴女/ 藤田辰也/荒谷清水/三浦隆志 /前田晃男/ 重定礼子/ 福重友/中津美幸/皆川あゆみ/岡ひとみ/鈴村貴彦/倉重みゆき/手嶋綾乃/松浦絵里/藤川央子//内藤裕敬 ほか
舞台監督:永易健介
美術:加藤登美子
照明:皿袋誠路
音響:堤野雅嗣
音響操作(東京・北九州):岩崎真
音楽:藤田辰也
大道具:(有)アーティスティックポイント
小道具:重定礼子
美術助手:三浦綾子
宣伝美術:長谷川義史
専属トレーナー:針・骨接ぎ野本
運搬:堀内運送(株)
印刷:(株)NPCコーポレーション
制作助手:中津美幸・岡野礼音
制作:奈良歩