2006年05月13日

ヒンドゥー五千回「阿佐ヶ谷にて君を弔う」

 三人の息子達が独立した後、母親は彼らが子供の頃に暮らしていた町に引っ越して、小さな部屋を借りて住んでいた。母が入院することになって初めて息子達はその部屋を訪れるが、何かお互いにぎこちない。母の友人達や幼なじみを交えて気まずい時が過ぎていく中、母が病院から失踪する。

 ワンシチュエーションドラマで、設定は阿佐谷(*1)にあるアパート。アルスノーヴァという劇場は実際に阿佐谷にあり、しかも外観も内装も民家のような場所。役者が外から部屋に入ってくる場面では実際に屋外に通じる扉を使う。作中、その部屋までの地図について「わかりにくいよ、南北が逆!」という台詞があったのだが、この公演のチラシに書かれた地図もそうだった。

 それだけに忠実に作っておきながら、舞台の壁と床は全面に貼られたマンガで埋め尽くされているという非現実的なもの。そうすることで雰囲気を作品として引き締める効果を狙ったのだと思うが、面白いやり方だと感じた。また、袖のない(ように見える)舞台で、暗転中の出入りをどこからしていたのか不思議だ。シンプルなようで、裏ではかなり凝っていたのではないだろうか。

 劇団・劇場ともに初見だが、どちらも良い味があった。脚本はよく作り込まれており、役者も安定感のある芝居で見やすかった。

2006/05/13-14:30
ヒンドゥー五千回「阿佐ヶ谷にて君を弔う」
アルスノーヴァ/ウェブ予約2500円
構成・演出:扇田拓也
出演:谷村聡一/久我真希人/向後信成/藤原大輔/扇田拓也/西田夏奈子/成川知也


*1 「あさがや」はJRの駅名などでは「阿佐ケ谷」ですが、地名の表記は「阿佐谷」が正式なのでこちらで書きました。伝統的には阿佐ヶ谷だったのが、1963年に阿佐谷になったとのこと。余談ですがこの近くにある劇場「ザムザ阿佐谷」の上にある映画館は「ラピュタ阿佐ケ谷」です。


posted by #10 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 東京観劇1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然のコメント失礼いたします。
『阿佐ヶ谷にて君を弔う』このたびはご来場いただきまして
誠にありがとうございました。
まだまだ未熟ですが、ヒンドゥー五千回をこれからも
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

■成川知也。
Posted by なり。 at 2006年05月22日 21:06
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