その町のヒト達は、元々そこの出身ではなく、大多数の人間が外からやってきたという。(サイトより)
きっと何か秘密を抱えていて、隣のおばさんなんか、きっと元看護師のクセに2回ヒトを殺してるだろうし、
かたや向かいの家のオッサンは、記憶障害の妻とその兄を殺して逃げて来たかも知れないし、
今自分がこうして住んでいるアパートの一階には、それこそ昔は金持ちだったのに、
落ちぶれてしまった女性が住んでいるし……。
何故、秘密らしきものを抱えているのが窺えるのかというと、彼らは一様に善いヒトだからだ。
善い人間はそんなにいない。私たちを取り巻く人間はそのほとんどが悪なのだ。
そんな土地へ私たち家族は引っ越して来た……。
乞局と言えば救いようのない歪んだ人物が多数登場する不気味な作品という印象があるが、今回はそんな過去作品の中から特に歪んでる人物が集まっている。この作品は独立したものではあるが、やはり特別公演的な印象は否定出来ない。観た公演もあれば観ていない公演もあり、知っている人物ほど深く感じ取れたので、もっと多く観ていればさぞ楽しめる作品だっただろう。
しかし全体として、これまでに観た通常の作品に比べると毒々しさが薄かった気がする。それぞれに毒のある人物がバラバラと集まってしまっているため、個々の毒をどん底まで掘り下げて描くことができなかったのではないだろうか。
2010/11/20-19:30
乞局「果実の門」
こまばアゴラ劇場/前売券2800円
脚本・演出:下西啓正
出演:石田潤一郎/岩本えり/三橋良平/浅井浩介/佐野陽一/シトミマモル/鈴木浩司/田中佑弥/永山智啓/黒岩三佳/澁谷佳世/島田桃依/中島佳子/吉田聡子
舞台美術:袴田長武+鴉屋
照明:吉村愛子
照明操作:西田典起
音響効果:平井隆史
演出助手:田中元一/犬飼勝哉
舞台監督:藤本志穂
衣装・ヘアメイク:中西瑞美/鏡田伸幸
スチール:テアトルプラトー
撮影:太田創
宣伝美術:池多亜沙子
題字:柴田洋佑
WEB:安田有希子
制作:伊藤静香/辻奈緒理