
我が子に父親と同じ名前を付けた。(チラシより)
父親はこの子が生まれたときから不在。
最近は子供の横顔があいつに似てきて。
「動物を飼いたい」と
言ってきたときにひっぱたいた。
手を上げたのはそれっきり。
最近はダンス教室か
歌謡教室に通おうと思っています。
12年前の作品の再演とのことですが、当然私は初見。扱っているテーマは児童虐待ですが、報道される事件は12年前より増えているのではないでしょうか。最近は子供を殺したなんて話も珍しくなくなっているくらいですから。
しかし売込隊ビームですから単純な社会派劇にするはずもなく、かなり実験的な描き方をしています。普通のドラマはひとつの事件に焦点を当ててなんらかの結末にたどりつくものですが、この作品では結論とか結末なんてのは提示されない。そしてひとつの事件もその周辺の中にあり、別の出来事もあれやこれやと起きている。それらの事件もまた、結末を提示されることなく投げっぱなしに近い。
現実はそういうものだという見方を示しているのだと思いますが、果たして芝居としてそういう描き方が意味を持つかどうかはわかりません。物足りないと思う人も多いのではないでしょうか。ある意味これは既存の演劇スタイルに対するアンチテーゼと捉えることもできるでしょう。私としては、嫌いじゃないけど微妙でした。
細かい話ではラストシーンの音響、沈黙の使い方が上手で作品を引き締めていたと思います。
2010/05/22-18:00
売込隊ビーム「トバスアタマ」
ABCホール/当日券3300円
作・演出:横山拓也
出演:山田かつろう/三谷恭子/宮都謹次/杉森大祐/草野憲大/武田桃子/辻るりこ/田渕法明/橋爪未萌里/真心/ともさかけん/楠見薫