2010年03月13日

烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」

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ケンという男がいた。大事な誰かに対して、大事な言葉を投げかけようとすると、決まってみんなどこかに行ってしまう。そういう男だった。

ノアは方舟から鴉を放したが、とまるところがなく還ってきた。
次に鳩を放った。しかし同じように還ってきた。
7日後にまた鳩を放した。すると今度はオリーブの葉をくわえて還ってきた。
さらに7日経って再び鳩を放したが、もうそれっきり、還ってくることはなかった。


おかえりなさい、ケン君。わたしたちはあなたのかぞくです。
(チラシより抜粋再構成)

 烏丸ストロークロックが5年かけて描いた「漂泊の家」シリーズ総集編。残念ながら私が観るのはこれが初めてですが、これまでの作品も織り込まれた形で構成されているため、単独で観劇しても問題はないとのことでした。

 その織り込み方はいわゆる劇中劇になりますが、本編と劇中劇がなめらかに繋がり、また空間的にも重なるような舞台構造が作られていました。具体的には、客席最前列の前に舞台装置としての椅子が1列並べられ、劇中で劇中劇を観ている登場人物がそこに座ることで、劇中劇の観客と本編の観客が同化したようになるのです。これはちょっとした技巧でしょうが、まんまと気持ちは劇中世界に取り込まれて行きました。

 語られる内容は悲惨というか切ないというか、そして何か不気味さを伴うエピソードの集成で、泣くべきか笑うべきか考え込むべきか難しいものです。口に入れたモノが食物なのか薬なのか毒なのかわからないまま噛み砕いているような気分になりました。

 ほどよく緩急のある展開は飽きることがなく、途中休憩を挟んで2時間半余りという長い上演時間にも関わらず、終わった時は「もう終わり?」と感じました。ただこれは、幕切れが唐突な印象だったことも原因でしょう。あのラストシーンはどう解釈すればいいのか、まだちょっと飲み込めていません。

 前作も観てみたかった。観なかったことが悔やまれます。

2010/03/13-13:00
烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」
アトリエ劇研/前売券2500円
脚本・演出:柳沼昭徳
出演:阪本麻紀/ 片山奈津子/ 浅井浩介/ 犬飼勝哉/ 内田和成/ 大村史子/ 斉木りさ/ 崎田ゆかり/ 高橋志保/ 辻智之/ 中川裕貴/ 中嶋やすき/ 長田美穂/ 新田あけみ/ 長谷川直紀/ 松本S一/ 安田一平/ 山邉明日香


posted by #10 at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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