
太宰治『駆込み訴え』を軸として、太宰治自身の姿を描いている。『駆込み訴え』はイスカリオテのユダがイエスを裏切った時の独白として書かれている短編で、イエスを非難したかと思えば誰よりも愛していると語るなど、激情にかられ興奮した様子が伝わってくる。本作では劇中で大宰が駆込み訴えを朗読する場面がある(つまりユダのセリフを言う)が、どちらかというとイエスのような人物として描いていた。
幻惑的な舞台美術と演出に惑わされて、物語の筋が解りにくくなってしまったような気がする。別に筋が重要というタイプの芝居ではないと思うので問題はなさそうだが、しかし途中で集中力が途切れることがしばしばあった。
余談だが当日はロビーで子供鉅人のメンバーがカフェを開いていた。こういう試みはとても良いと思う。
2010/02/27-19:00
ロヲ=タァル=ヴォガ「SILVER 30」
BLACK CHAMBER/当日券3200円
脚本・演出・音楽:近藤和見
出演:草壁カゲロヲ/ハ・スジョン/赤井正宏/足立昌弥/ゆかわたかし/岩橋功/松嵜佑一/横山直樹/ふくだまさと/袋坂ヤスオ
演奏・音楽:波多野敦子