2004年12月27日

The POWER PROJECT クーデター「FATHER」

 子供が産まれる直前に交通事故で死んだ父親。子供に会いたいという願いを趣味で聞き入れた悪魔と死神と堕天使に導かれて、17年後の我が家に帰ってきた男は、男女の双子だった子供達と妻に対面する。しかし素直に受け入れてはもらえず、なんとか父として認めてもらおうとする男の奮闘が始まる。

 ドタバタコメディ脱線系とでも言いましょうか、頻繁に本線から外れてネタが繰り広げられるタイプの作品でした。突然舞台がリングに変わったかと思うとかなり激しくプロレスが行われたり、役者の一人が必死でネタを連ねたり。ただ後半はストーリー中心になり、わかりやすい大団円に向かって収束。

 テーマとしては一般的なもの。上に述べた設定で、あれこれ努力する中で少しずつ子供の信頼を得ていくお父さん。しかし息子に比べてなかなか心を開かなかった娘は、やがて突然現れた天使とともに男を消そうとし始める。

 この劇団は自らの演出技法を「映劇」と名付け、「映画さながらの演出方法を舞台上で大胆に表現する」と解説している。それは具体的にどういう部分だろう? 舞台上では役者のほかに黒子が出てきて舞台装置を動かす。たとえばバイクで失踪する場面では、街並みや灯りが反対方向に流れていく等。そういう部分だろうか。発想としては悪くないが、黒子の動きが甘く、ダルい印象を受けた。もう少し基礎体力をつけて練習を積み、きっちり決めて欲しい。

 舞台装置や背景が黒子によって動く場合、その動きは絶対的な安定感と正確さが求められる。それは、バンドにおけるリズムパート(ドラムやベース)に相当する。彼らが常に正確なリズムを刻んでこそ、メロディパートの遊び心が生きてくるというものだ。舞台におけるメロディパートはもちろん役者だ。

 役者に関しては、娘役を演じた神野さおりの声がひときわよく通り、滑舌も素晴らしかった。他の役者は、ネタよりもっと基本的な演技力を身に付けるべきだと思う。普通の演劇とは異なるエンターテイメントだとしても、基礎がなっていないとただの悪ふざけになってしまう。

2004/12/26-17:30
The POWER PROJECT クーデター「FATHER」
西荻WENZスタジオ/当日清算2500円
作・演出:伝之城龍之介
出演:高橋大二郎/神野さおり/中山圭大/三浦彩花/HirokaDenzy/上田剛/石橋修/ひでよ/REI/みむらえいこ/関根裕介/佐倉卯月/まのり
posted by #10 at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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