
著名な精神科医Xの愛娘が、目の前から忽然と姿を消した。(チラシより)
必死の捜索にもかかわらず、娘の行方はようとして知れず
絶望に打ちひしがれた彼は、孤島の別荘にひきこもっていた。
ある日、そこにAという女性がやってくる。Aの語る妄想は
ある少女が、親の前から姿を隠す物語だった。
娘の失踪と奇妙な符丁を持つその物語にひきこまれ
XはAの治療を開始するのだった……
エレベーター企画の公演は昨年の2月に「後瀬の花・安穏河原」を観て以来2度目。まったく違った作品ですが、シンプルな舞台上に深淵な雰囲気を造り込む力量は同様で、見事なものでした。
メインの舞台は手前に傾斜した平面になっており、金色のシートが貼られています。水をイメージしていると思われたこのシートが終盤で重要な役割を果たすわけですが、まさかの展開でした。
幻想と現実が入り混じる物語だろうなーと開始10分程度で感じたものの、どこが幻想でどこが現実かはなかなか判別できず、結局ラストまで真実を見抜くことはできませんでした。ただ本当のラストはちょっと反則だと思いましたが。
精神病を扱った芝居はよほど上手にやらないと安っぽくなってしまいがちな気がしますが、本作は十二分に巧く作られていました。この劇団はまた観たいと思います。
2009/11/22-19:00
evkk(エレベーター企画)「voy」
芸術創造館/当日券3000円
出演:土本ひろき/宮下牧恵/森崎正弘/若林ゆい/中野螢/服部悠夏/谷省吾/山田一幸