(以下ネタバレあり)
家の主、その後妻、後妻の娘と息子、前妻の娘(小説家)と息子、前妻の息子の嫁(前妻の娘と以前職場の同僚だった)、前妻の娘の婚約者(何か怪しい)、後妻の娘の婚約者(でも既婚者で離婚調停中)、後妻の息子の友人(前妻の小説のファン)、主の弟で温泉宿の主人、新人の仲居。‥‥と、総勢12名の人間関係は複雑を極める。
複雑な人間関係はパンフレットにも書いてあったので、これは理解が大変だと思って臨んだのだが、予想に反してすんなり把握できた。とても丁寧に書かれた脚本だと思う。いくら何でもここまで入り組んだ家族もないと思うが、特に嘘臭くもなく観られたのは演出の巧みさか。
確執の多くは女の争いだ。幸か不幸か自分の周囲でそれほど深い争いは起きたことがないので、現実に女同士が取っ組み合いの喧嘩をするようなことがあるのか良くわからない。でもあるんでしょうね。長い人生の中で2回くらいはそんな場面に遭遇してみたい気もするが、実際にそうなったら嫌だろうな。だからこういう芝居で気分だけ味わうのは悪くない。
その他、舞台装置の質感が良かった。壁の汚し具合など、ちょうど手が触れやすい場所(エアコンのリモコンを入れておくポケットの周囲)が特に黒ずんでいるなどディテールが細かい。ただ、扉を激しく開け閉めした時に柱が若干ゆれるのは惜しかった。
2004/12/18-14:00
くろいぬパレード「離婚の ゆ」
中野ザ・ポケット/前売券3000円
作・演出:イケタニマサオ
出演:高山和之/里麻衣子/岩淵敏司/今井峰子/前田宏/中村真知子/長谷川恵一郎/島崎裕気/小松一郎/加三修/原朋之/柳井洋子