
高層ビルが立ち並ぶ中、不思議な空間がそこにはあった。(チラシより)
右が小さな出版社。左が倉庫。そしてマンションを背に、正面にオフィスビル。
それらに四方を囲まれる形で、テントが一つ張られているのだ。
上田が取材を開始する。
「夜になると、浮くんだよ」「季節で色が変わるの」「たまに角が生えるよ」
不可解な情報が集まる中、土地の所有者(中年)談。
「キミにも見えたかい?綺麗だろ?」
チョコレート中毒の中年はどこまでが唇か分からない口で言った。
まだ見ぬテントの住人に思いを馳せて、彼は張り込みを決意する。
『上田とテントの不思議な一年と一時間のお話』
チラシの説明とはちょっと違う感じですが、ファンタジーをベースにしたラブコメといった所でしょうか。テントの不思議な住人をめぐる一年の物語。
設定は面白いし、演技演出に不満はないのですが、主人公の行動がいまいち感情移入できない部分が多い気がしました。というか、なんであの子に恋するかな?
(以下、ネタバレ含みます)
季節によって人格も姿も変わってしまうテントの住人は、春は少女、夏はおっさん、秋は詩人、冬は娼婦となります。同一人物でも色々な面を持っていることのメタファーでしょうか。
それなら、上田が春の少女を待ち焦がれるのは、同じ人物の別の側面から目をそらしてることに他ならない。好きになるなら全部ひっくるめて受け入れなきゃいけないんじゃないの? それができないからこそ杭を打ち込んだということなんでしょうか。
その辺がどうも釈然としない印象でした。
2009/06/06-19:30
村田堂本舗「小部屋に針を」
in→dependent theatre 2nd/当日券2300円
作・演出:村田和明
出演:大塚宣幸/渡邉みなみ/山川勇気/今井志織/上野淑子/山本弦太/尾上裕香/溝畑香奈子/吉田和裕/林菜緒美/横山太郎/布施千賀子/林実矩