
「フライトは何時?」(チラシより)
「九時やけど。」
「九時ですか。」
「うん。」
「今日も見送ります。」
「ええよそんなん。」
「ここで見てますから。」
「ええよ。いっつもやし。」
「いいですから。」
「うん。」
「確かコーヒー専門店ありましたよね。」
「ターミナルの方かな。」
「行きます?」
「うん。」
「コーヒーおいしいですよ、その店。」
「うん、知ってる。」
「コーヒー頼むとね、手作りのクッキーつけてくれるんです。」
舞台は空港のロビー。海外赴任の夫の帰りを待つ妻とその友人達、あてもなく見物に来た女子高生。スチュワーデスとカメラマン。すれ違いながら。少しだけ関わりながら。空想と妄想と夢と、現実?
空港というシチュエーションを使いつつも、それはさして重要な設定ではないようだ。飛行機は出てこない。それぞれにモヤモヤを抱えた男女の足跡が交錯する場所としての空港だろう。
中心となっているのは、海外赴任の夫の帰りを待つ妻の、夫婦共通の友人である絵本作家で、彼の恋人は夫人の妹らしい。途中に彼の妄想と思われるシーンが耳鳴りと共に描かれる。おそらく彼の心理を映しているのだろうけれど、それが主題なのだろうか。だとしたらスチュワーデスとカメラマンはどういう存在なんだろう。
そんなわけでかなり解釈に困る作品で、何を描こうとしているのか良くわからない面が多かった。座席が良くなくて、正直途中からお尻が痛くて芝居に集中できなかったのですが、それを差し引いてもやっぱりよくわからない。
2009/05/30-19:30
空の驛舎「変身リベンジャーとスーパーフライトマン〈改訂版〉」
ウイングフィールド/当日券2700円
作・演出:中村賢司
出演:三田村啓示/津久間泉/塚本くるみ/高橋理紗/石塚博章/中村京子/久保田智美