
カラスのくちばしを、町役場に持って行っては小銭を稼いでいた父が亡くなった。(チラシより)
三男二女の兄妹達は、山々に囲まれた葬儀屋に集まる。
父は遺言を書いていた。遺言の締めくくりは、「誰も寝ては鳴らぬ!」。
長い長い、雨降る夜。大雨洪水警報発令中。
兄は言う。「親父の葬儀代がない。」
カラスが鳴いて、牛は助かる。
小銭を稼いでいた父は、亡霊となり何を想ったか。
暗い。とにかく暗い。陰惨。骨肉の争い、醜い人間の集まり。何の救いもない。そういう話。
伏兵コードは前作も拝見しましたが、陰惨なのは同様。ただ前回は狂人姉妹に囚われた普通の人がおかしくなっていく話だったのに対し、今回は全員最初からおかしいので、感情移入できる人物がいない。嫌いな人はたまらないだろう。
こういう作品が許されるのは小劇場ならではだが、小劇場の世界でも比較的ニッチなジャンルだろう。だから、こういう作品がここに存在することをもっと強くアピールする必要があると思われる。
好きな人は好きで、しかもなかなか得られない体験だ。しかしチラシの雰囲気では、ここまで強烈な内容だということが伝わらない。その点はある意味もったいないとも言える。PR方法は悩ましいだろうが、切り開いて欲しい。
2009/03/08-17:00
伏兵コード「誰も寝てはならぬ!」
in→dependent theatre 1st/当日券3300円
作・演出:稲田真理
出演:赤星マサノリ/石原正一/宮川サキ/魔人ハンターミツルギ/稲田真理