
盲目の青年ドンは、ニューヨークのアパートで一人暮らしを始め、(チラシより)
そこで女優志望の女の子ジルに出会う。
「私が望むのは自由になることだけ。蝶は自由・・・」
このディケンズの引用に共感しあう2人、
自然体で快活なジルと純粋でひたむきなドンは、
互いに強く惹かれあい恋に落ちる。
しかし、そこに気品を重んじるドンの潔癖な母が登場して…
1969年にブロードウェイで初演、1972年には映画化もされた作品であり、いかにもそんな時代のアメリカらしい物語だ。全体にアメリカンホームコメディのような演出で、観客の笑い声が挿入されていてもおかしくない雰囲気。
ジルは快活というより奔放、ドンは純粋というより世間知らず、そして潔癖な母親はまさにそのまま。後半に少しだけ登場するラルフはいかにも嫌みな業界人といった役回りで、ある意味ステレオタイプな登場人物ばかりでわかりやすい。
最近のひねった作品と比べると直球勝負な内容だけに、役者や演出の念入りな作り込みが感じられた。役者の動きを見ているだけでも、基本的な訓練をしっかりやっていることが伺われる。簡素だがポイントを抑えた舞台装置にも好感が持てた。
ただ惜しむらくは、ドンの歌がちょっと、ね。アコーディオンは素晴らしかったのですが。
2009/01/17-19:00
ポータブル・シアター「バタフライはフリー」
芸術創造館/当日券1500円
脚本:レオナルド・ガーシュ
翻訳・演出:枡井智英
出演:三浦求/山本純子/道明ゆり子/桂口幸春・守内宏輝/かんのとしこ