もう恐れるものなんて、ない。(チラシより)
複雑化した日常を生き抜くための物語。
さびれたボーリング場に隣接した食堂の二階。そこに住み着いている青年と、なにやら企んでいる数人の男女。前向きだけど空回りしてしまう人、才能があるのに踏み出せない人、家庭から逃げ出してしまった人や計画通りにならず焦る人。
つまり、上手に世渡りしてそこそこ成功するような行き方ができない面々がかれています。それに加えて、完全な田舎でもないが大都会とも言い難いさびれた街の雰囲気と、そこでずっと暮らしている人々の閉塞感がじわじわと伝わってきました。
チラシにもパンフにも粗筋やテーマが書かれていない上、芝居が始まってからも背景や人間関係をあえて説明するような表現はなく、極めてゆっくりと状況が判ってくるという構成。漫然とは観られない芝居です。
舞台上に構成された雑然とした部屋の様子がいかにもな感じで、もう少し舞台が狭ければ完璧でした。ただ、音響や照明による効果はちょっと奇妙な感じのする点が散見され、それによって観客に何かを伝えようとしているのか否か、首を傾げてしまいました。
2008/12/06-19:30
三角フラスコ「NO fear」
精華小劇場/前売券2300円
作・演出:生田恵
出演:菅原みちや/瀧原弘子/真田鰯/寺田美夏/河本久和/時武裕子