芝居を観よう。芝居を観よう。どうせ観るなら『悪い芝居』を観よう。(チラシより)
逆襲。とりあえず逆襲。攻められてるでもなく、わけもなく、逆襲。東京に逆襲。
アイドルは頭の中。頭の中は東京。アイドル追っかけ、目指すは東京。
地図はない。道標はない。知り合いはいない。頭は壊れている。
それでも分かる。肌で感じる。肌だけが感じる。頭は壊れている。
(中略)
変えたいものがあって、変えたいと訴えて、伝わって、ふたりは満足。
何にも変わっていませんが、変えようもないのです。変えたいが伝わればクリアですか?
僕の頭が壊れているのは本当ですが、きっとあなたには伝わらないので話しません。
悪い芝居VS東京はアイドル
説明できないことだけが、説明されないまま、あなたの目の前で、死ぬ。どうぞご期待ください。
“技術よりまず熱意”とでも言うような、なんとも力強くて勢いのある芝居だ。それでいて決して下手ではない。正攻法を知った上でそれを打ち破るスタイルで、そういうスタイルに必須な「正攻法でもやれる力がありつつ、それを壊す」という条件は満たしていたと思う。
前半は東京から離れた田舎町で暮らす、ちょっと(またはかなり)ダメな人々の生活を描いている。しかし後半は演劇の中で演劇を題材とする、いわばメタ演劇とでも言うべき内容になっていく。壁があることになっている場所を素通りしたり、観客に向かって話しかけたり、演劇の約束事を壊していく。
その勢いはかなり熱いものがあったが、しかしどうも中途半端な気がした。あの程度の客いじりは珍しくないし、観客の一人を連れて本当に劇場から飛び出してしまった例もある。演劇の約束事を壊すにしても、あの程度なら楽屋オチに過ぎない。
勢いはあったけれど、枠を破っているように見せて、実際は一般的な枠に収まっているのだ。この程度のメタ演劇ならやめておいて、純粋に前半から続く物語を膨らませた方が面白かったのではないだろうか。
2008/10/05-14:00
悪い芝居「東京はアイドル」
ART COMPLEX 1928/前売券2000円
作・演出:山崎彬
出演:山崎彬/四宮章吾/大川原瑞穂/吉川莉早/藤代敬弘/西岡未央/梅田眞千子/植田順平/森本児太郎/鈴木トオル