2004年11月13日

劇団、本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

 ある山村で、猫を助けようとしてトラックに轢かれて死んだ夫婦がいた。その葬儀の日、女優になると言って東京へ行ったままだった長女が帰って来る。次女は4年前の出来事が原因で、横暴に振舞う長女に逆らえない。そして長男もまた、長女との過去に縛られていた。

(以下ネタバレあり)
 女優になるコネを作りたくてテレビ関係者に体を売った長女、それをマンガに書いて村中にばらした次女。それが原因で引きこもりになった長女を慰めるため、彼女と肉体関係を持った長男。まさに泥沼の家族関係。因縁が少しずつ明らかになっていく中で、長男の嫁と次女の友達という、ともに“空気の読めない”二人がバランスを取る。

 設定にはインパクトがある。各々のキャラクターも面白い。だが設定に比べて展開はありきたりで、特に意外性が無い。過去の負い目が原因で逆らえない次女に対する長女の仕打ちはエスカレートしていくが、それを許す兄と妹の心理には説得力が感じられない。

 長女が引きこもっている最中ならともかく、完全に立ち直っている現在においてなぜ問答無用で許すのか。特に、負い目のある次女はともかく力づけるために一線を越えた兄がなぜ長女に頭が上がらないのかわからないのだ。その違和感がずっとつきまとってしまい、激しくなるほど逆に見る目が冷めてしまった。

 良かったのは次女の友人であるヨシオ君の存在で、わけのわからない変人として登場した彼がやがてひとつの救いになっていく様子は見ものだった。菅原永ニという役者の個性によるものか演出なのかわからないが、印象的だった。

2004/11/13-17:00
劇団、本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
青山円形劇場/当日券3300円
作・演出:本谷有希子
出演:鳥海愛子/吉本菜穂子/伊達暁/森尾舞/菅原永ニ/本谷有希子


posted by #10 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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