山吹の花の、わけて白く咲きたる、小雨の葉の色も、ゆあみしたる美しき女の、眉あをき風情に似ずやとて、──────────(サイトより)
時────現代。
所────(第一場)修善寺温泉の裏路。
(第二場)同、下田街道へ捷(ちか)路(みち)の山中。
人────島津正(四十五六)洋画家。
縫子(二十五)小糸川子爵夫人、もと料理屋「ゆかり」の娘。
辺栗藤次(六十九)門附の人形使。
候────四月下旬のはじめ、午後。
1923年「女性改造」に発表。初演は1980年、発表より57年、鏡花没後42年目にしての上演となった。三島由紀夫と澁澤龍彦が絶賛した戯曲としても知られる。
なんとも幻想的な物語を、芸術的な舞台装置と大胆な演出で構成していた。戯曲を読んだわけではないのでどこまでが演出の工夫なのかはわからないが、多分かなりの割合は演出家の創意であろうと思われる。
時は現代とあるが1923年に書かれた戯曲なので、大正時代だ。質の高い衣装と抽象的な舞台装置でその時代の雰囲気が存分に作り出されていた。上演が困難と言われていたらしいが、こうして実際に上演されたものを観てしまうと、そうは思えないから不思議だ。
特にラストは圧巻だった。禁じ手に近い手法でものすごい効果を出していた。息を飲むとはこのことだ。
2008/06/29-14:00
遊撃体「山吹」
精華小劇場/前売券2500円
作:泉鏡花
演出:キタモトマサヤ
出演:大熊ねこ/菊谷高広/坂本正巳/こやまあい/村尾オサム/猪野明咲/キタモトマサヤ/条あけみ/小室千恵/鶴丸絵梨/吉田真季子/戸川綾子