(前略)(チラシより)
監獄の面会室。会いに来た妻に夫は無理難題のお題をくりだします。
妻はどうするのでしょう。どこまでつきあうのでしょう。
私はここにいていいのか?ここに来ていいのか?
‥‥ドラマは不思議に滑稽な味わいで展開されていきます。
私が関西で好きな劇団をいくつか挙げろと言われたら、その中のひとつには必ず劇団八時半が入っていました。最初に観たのは東京でしたが、鈴江俊郎氏の紡ぐセリフの波状攻撃にすっかり魅了されました。
その劇団八時半が昨年活動停止してしまってがっかりしたのですが、鈴江氏は二口大学氏と組んで演劇ユニット昼ノ月を結成していたので一安心です。
さて、作品は監獄の面会室。窃盗壁で4度目の刑務所暮らしを送っている夫と、スーパーでパートをしながら幼い息子を一人で育てている妻の面会です。途中、日本の刑務所における不当なまでの面会制限を解説的に語る場面もありますが、大半は人間ドラマです。
いや、人間ドラマなどと安直な言葉でくくるのはもったいないでしょうね。お涙頂戴な展開ではなく、どうしようもなくダメな夫とそれに付き合う妻の、悲劇的なんだけど滑稽な会話劇。
客席は舞台を見下ろすように、ちょっと乗り出したら舞台に向かって落ちていきそうなほど急勾配に組まれており、これは鈴江氏の趣味だそうですが、普通はちょっとありえない体勢。しかし二人芝居で舞台美術もシンプルという、かなり私好みの舞台で満足。アフタートークも漫談のように面白く、実に楽しいひとときでした。
2008/06/08-14:00
演劇ユニット昼ノ月「顔を見ないと忘れる」
アトリエ劇研/前売券2000円
作・演出:鈴江俊郎
出演:二口大学/押谷裕子