2014年11月30日

突劇金魚「漏れて100年」

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数少ない人間と出会い、
別れ、生きて、死んでいく、
100年間のちょっと孤独な物語。
(チラシより)

 2012年に悪い芝居の山崎彬の演出で上演し、第57回岸田國士戯曲賞最終候補となった作品(残念ながら受賞は逃した)。今回は作者のサリngROCK自身が演出し、かつ東京公演では出演もする形で持ってきた。

 難しい話だ。時代背景も土地もわからない、いつかのどこかの物語。突然変異した青鬼みたいな生き物が出てきたり、タイトルや内容からなんとなく放射能漏れで汚染された世界の話のようにも解釈できるが、どうもそう単純なことではないようだ。

 主人公のサチが街から漏れて100年の話だとすると、その間に街はどうなったのだろうか。仙人の正体は何だろうか。考えてもわからないが、ただ希望と絶望と受容が入り混じった、やけっぱちに前向きな印象だけが残った。

2014/11/30-14:00
突劇金魚「漏れて100年」
こまばアゴラ劇場/当日精算3000円
作・演出:サリngROCK
出演:山田まさゆき/サリngROCK/埜本幸良/緒方晋
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2014年11月29日

ユニークポイント「ホテルロンドン」

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ある夜、高校に勤務する女教師が池袋のラブホテルで殺された。面倒見がよく、生徒から信頼される教師である一方、彼女は風俗嬢として幾人もの顧客を持っていた・・・

事件後の法廷・・・
殺人事件の目撃者、同僚などが、彼女や事件について次々と証言するのだが、その発言は食い違う。誰が嘘をついているのか?それとも、どれも真実なのか?

芥川龍之介「藪の中」、東電OL殺人事件をモチーフに、モノローグで構成する、ユニークポイント版「藪の中」です。
(チラシより)

 5人の役者が15人を演じる。全員が舞台上に出ずっぱりで、舞台上に吊られた衣装をその場で着替えて前に出てくるという構成だ。いずれも大変うまい役者さんで、途中までそういう仕組だと気づかなかった。

 色々な立場の人がその女性と事件について語ることで進行する。一度だけ母と娘が一緒に登場する以外、ほぼ全てモノローグだ。証言の内容が微妙に矛盾していたり、最後に登場するやや謎めいた人物の証言でますます真相が判らなくなってしまう辺りは、芥川龍之介の「藪の中」とそっくりで、不思議な余韻が残る。

 学習院女子大学パフォーミングアーツフェスティバル2014のひとつとして上演された作品で、会場は当然、学習院女子大学のキャンパスの中にある。大学の入り口で通行許可証をもらって奥の会場へ向かうのだが、これがなかったら不審者と思われるんじゃないかとドキドキした。

2014/11/29-18:00
ユニークポイント「ホテルロンドン」
学習院女子大学やわらぎホール/当日精算2500円
脚本・演出:山田裕幸
出演:古市裕貴/北見直子/高田愛子/若林瑞季/古澤光徳
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時間堂「衝突と分裂、あるいは融合」

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1963年1月1日、日本で初めての国産TVアニメ「鉄腕アトム」の放映がはじまる。
原子力で戦うロボットの活躍は子供たちの心をつかみ、最高視聴率は40%を超えた。
1963年3月30日、新幹線は試験走行で256km/hの国内最高速度記録を達成した。
科学は人類の進歩の証であり、平和をもたらす万能薬だと思われていた。
1963年10月26日。日本で初めて原子力による発電が始まった。

感情さえ制御できない程度の論理で、核分裂を制御しようとする人間たちの喜劇。
(チラシより)

 日本で原子力の研究が始まった頃の研究者たちの物語。実験中の事故で放射能漏れを起こしてしまうが、それを公表すべきか否かで激しい議論が起きる。その場にいた中で一番若かった青年が老人になってから家族の前で語るのだが、いつしか選んだ現実と選ばなかった選択肢が絡みあう。

 その演出はさておき、研究者たちの感覚はものすごく上手く描かれていたと思う。舞台上では研究者同士のぶつかりあいとなっているが、実際は一人の研究者の中でも同様に激しい葛藤が起こっているだろう。特に原子力というのは、どんなに丁寧に噛み砕いて説明しても一般人にはわかってもらえない分野だ。いつしか説明を諦めるようになるし、馬鹿は黙ってろと言いたくもなるだろう。

 遠回りしてでも理解を得て進めるべきという正論は、どんなに遠回りしたところで理解は得られないという経験の壁を越えられるだろうか。そんなことを考えさせられる作品だった。

2014/11/29-13:00
時間堂「衝突と分裂、あるいは融合」
ミニシアター1010/当日精算2900円
台本・演出:黒澤世莉
出演:菅野貴夫/鈴木浩司/阿波屋鮎美/松井美宣/黒住尚生/田嶋真弓/富田文子/尾崎冴子/神谷柚里/中谷弥生/中山有子/前川昂哉/三嶋義信
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2014年11月24日

MU「狂犬百景」

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東京の街から、どこにも行けない。
犬たちに囲まれながら育まれる、数えきれない風景。

コンビニ、製菓会社のオフィス、漫画喫茶、ペットショップ、駅のホーム、etc…

哀想で凶暴な犬たち、その数は増え続け誰にも止められない。
ただ、ただ、噛まれないように、立て篭る人、狩りを始める人、現実を確認するために犠牲者を出す人、動物愛護を訴える人、新しい基金を設立する人、戦う人、逃げ出す人、関係ないことで争う人、当てた宝くじを換金しに行く人、公共料金を払いに行く人、本当に好きな相手に気付く人、瞑想に耽る人、不倫を清算する人、理不尽さを享受する人、ブリーダーとして犬を育てる人、etc…

わたしたちの狂犬百景。
(チラシより)

 基本的な内容は上記の通りで、狂犬に囲まれて身動きできなくなった東京の4つの場所が舞台となっている。

 オムニバス形式のようだが、すべて同じ空間の別の場所を描いていると共に、1話から4話まで進行するに連れて時間が経っているのが感じられる。登場人物も一部重なっているので、オムニバスというより4幕の芝居として見た方がいいだろう。

 狂犬に噛まれた人はゾンビみたいになっているようだが、その描写はごく一部だ。どちらかと言うと極限状態に追い詰められた人間たち自体の心理ドラマの要素が強い。日常がじわじわと非日常に喰われていく中で、人々がどういう振る舞いをするかに焦点を当てている。

 出てくる人々は皆どこか歪んでいる。正義感を振り回す人にしても露悪的に犬を殺す人にしても、感情移入できる登場人物は誰もいなかった。強いて言えば、何も建設的なことはできずにうろたえるだけの人が一番共感できたかもしれない。実際、あんな状況になったら自分もそうなるだろう。

 会場は原宿のVacantというギャラリーみたいな場所で、ここは以前子供鉅人が使っていたので来るのは二度目。原宿という場所は駅から東が全部アウェイな世界だ。この劇場も残念ながらお洒落すぎて中に入ってもアウェイ感がたっぷり。せめて椅子がもうちょっと座りやすければ良いのだが。

2014/11/24-13:00
MU「狂犬百景」
Vacant/事前入金3800円
脚本:ハセガワアユム/米内山陽子
演出:ハセガワアユム
出演:青木友哉/古屋敷悠/加藤隆浩/大久保千晴/井神沙恵/島崎裕気/宮崎雄真/森口美香/加藤なぎさ/沈ゆうこ/鍋島久美子/櫻井みず穂/富田庸平/菅山望/大塚尚吾/本東地勝/植田祥平/田坂秀樹/町田彦衞/とみやまあゆみ
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2014年11月22日

燐光群「8分間」

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昼間。駅のプラットフォーム。
階段を駆けてきたが目の前で車輌の扉が閉まる。
間一髪、間に合わなかった。
8分間。これから8分間。
次の鈍行を待つ。
この時間帯、鈍行の間隔は、いつも8分間。
8分間を待つ。
ふだんと変わらぬ暮らしの中の一コマのはずだった。
(チラシより)

 電車とホームの隙間に足を挟まれた女性が一人。救助のため、周囲の乗客がみんなで電車を押そうとする。無事に救助できたかと思ったが、反対側のホームの端でなにやら不穏な動きを見せる男性が。彼を止めるために走りだすが、なぜか同じ場所に戻ってきてしまう‥‥

 同じ時間を何度も何度も繰り返してしまうSFな設定。いつも社会問題や事件を扱う燐光群にしてはずいぶん毛色の変わった作品だと思った。物語がどこへ落ち着くのか皆目検討がつかないまま観ていたら、主人公の内面世界まで踏み込むような展開になり、ますますキョトンとした。

 電車とホームに挟まれた人を乗客達が救助するという状況は2013年7月にJR京浜東北線南浦和駅で起きたことがモチーフだろう。あの時は運行の遅れがわずか8分だったことが海外でも驚かれたというから、そういう意味ではこの作品も社会問題や事件を扱ったと言えるかもしれない。

2014/11/22-19:00
燐光群「8分間」
座・高円寺 1/事前入金3600円
作・演出:坂手洋二
出演:円城寺あや/岡本舞/大島葉子/川中健次郎/猪熊恒和/大西孝洋/さとうこうじ/杉山英之/東谷英人/荻野貴継/武山尚史/松岡洋子/樋尾麻衣子/田中結佳/長谷川千紗/秋定史枝/根兵さやか/桐畑理佳/川崎理沙/鴨川てんし/中山マリ
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テアトル・ド・アナール「トーキョー・スラム・エンジェルス」

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今より少し先の日本。2020年東京オリンピックをピークに、景気の波は引き始め、日本の「ほころび」が顕わになり出した。
人口は1億1000万人まで減少し、その1/3が高齢者。そのほころびは周辺からじわじわと、しかし確実に中心にも侵食しつつある。生活苦にあえぐ民衆は格差是正を求めるデモ活動を展開し始めた。

人口減の煽りを受けて空き家率は増加の一途を辿り、東京都内にもシャッターを下ろした商店街、無人のまま放置された空き家の集まる地区が生まれつつある。そこには失業者や浮浪者、不法滞在外国人などが集まり、独自のコミュニティを形成していた。
ある小説家は皮肉を込めて、その地域をこう呼んだ。「トーキョー・スラム」──。

成功した証券ウーマン・オガタ(=南果歩)は、別れた夫・ヤマネ(=山本亨)との間に生まれた一人息子がしばしばトーキョー・スラムに出入りしていることを知り、20年振りにヤマネの営むラーメン屋を訪れる。しかしそこに、店はもうなかった……。

資本主義の未来は一体どうなる? お金って一体、何? 日本はこの先、どうなるの?
──あり得るかもしれない日本の未来を、壊れた家族が直面するお金と経済、そして愛の話を通じて描く、テアトル・ド・アナールの最新作です。
(チラシより)

 内容は上記の通り。ちょうど世の中はアベノミクスが成功だったのか否かといった議論がされていますが、その土台となる資本主義のシステム自体の意義を問いなおすと共に、それをどう受け止めるのか問いかけてくる作品でした。

 証券会社が右から左に株や債券(の所有権)を売買すると「利益」が出てくる。この「利益」ってどこから生まれたのか? 劇中で息子が叫ぶその問いかけへの答えは提示されませんが、これに答えることのできないままお金を扱っている人は少なくないと思います。

 スラム街で暮らす貧民達はどこに怒りをぶつけたらいいかわからず、ただ金のある所を攻撃するだけです。何かが間違っているはずだけど、何が正解なのか、誰が騙しているのか、出口があるのかないのか、何もわからないまま、何かわかったように語りながら。

 本作は親子の人間ドラマを交えて語られていますが、実は経済システムそのものだけでも十分にドラマチックなのではないかと思います。

 本作と同じ谷賢一が演出した「モリー・スウィーニー」では弱々しくも気丈に生きる全盲の女性を演じていた南果歩さんですが、今回は打って変わってカツカツと歩くやり手のキャリアウーマン。その凛とした立ち姿は大層に魅了されました。

2014/11/22-13:00
テアトル・ド・アナール「トーキョー・スラム・エンジェルス」
青山円形劇場/事前入金5500円
作・演出:谷 賢一
出演:南果歩/山本亨/古河耕史/山崎彬/加治将樹/一色洋平/井上裕朗
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2014年11月16日

劇団競泳水着「別れても好きな人2014」

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明日出逢ったあなたと、きっと昨日、恋に落ちる。

過去・現在・未来が交錯するトリッキーな構成と、想いが弾ける120パーセントのラブストーリーで、 初演(2004年)、再演(2007年)、共に、小劇場界の片隅で熱狂を生んだ、劇団競泳水着、初期の代表作にしてマスターピース。 十周年記念企画の締めくくりに再々演。
(チラシより)

 ケンカ中の兄夫婦と、明日結婚する予定の妹とその恋人、そしてそれぞれの友人や恩師たちが繰り広げる恋愛ドラマ(あるいはコメディ)を、3つの時代を行きつ戻りつしながら描いている。

 もう清々しいほどの甘い少女漫画チックな恋愛ものですが、3つの時代の絶妙なズレにいろんな社会問題や技術の進歩を織り込んでおり、本筋以外のディテールもよくできていて楽しめました。

 各登場人物が皆少しずつダメな人で愛おしいのですが、中でも兄役を演じた村上さんがとてもいい味を出していました。さすがです。

2014/11/16-14:00
劇団競泳水着「別れても好きな人2014」
こまばアゴラ劇場/当日精算3300円
脚本・演出 上野友之
出演:相楽樹/村上誠基/亀田梨紗/篠原彩/須田彩花/武子太郎/福永朱梨/松木大輔/松下仁/谷田部美咲/すがやかずみ
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2014年11月09日

あたらしい数字「爆弾魔メグる」

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モノクロのピエロが私にくれた黒い風船は、私の体の中で爆弾になった。
あいつやあいつやあいつらに膨らまされて爪先や髪の毛の先まで届いてパンパンになって、
そしてもうすぐ爆発する。

のを僕は知っているから、爆弾魔メグります。
(チラシより)

 王子小劇場のスタートダッシュ公演ということなのでまだ新しい劇団。“第一回公演”等の表記は見当たらないが、旗揚げが2014年と書かれているのでおそらく本作が最初だと思われる。

 女子高生の悶々とした気持ちが今にも爆発しそうになっているのは伝わるのですが、その内面を実体化したようなピエロが少々現実味がありすぎて、精神世界的な幻想感が表現しきれなかったのではないだろうか。

 なんとなく学生演劇みたいな印象。方向性は嫌いじゃないので、もっと経験を積んで洗練された作品を出してほしい。

2014/11/09-14:00
あたらしい数字「爆弾魔メグる」
王子小劇場/支援会員
脚本・演出:佐々木琢
出演:荒木秀智/木村みちる/田中渚/辻響平/西山愛/服部容子
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2014年11月03日

DART'S「In The PLAYROOM」

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人気小説家、桐野範容の描く超絶サイコサスペンス『ザ・プレイヤー』シリーズの最新刊が発売された。
女刑事水越貴理子をまき込んだ天才殺人鬼の殺人ゲームは巻を重ねるごとに激化していく。
最高傑作との呼び声も高いその新作を、待ち望んでいた読者たちが手にする。物語に浸る幸福な読書体験。

それを遮ったのは、本に挟まれていた1枚の紙片だった。

『私の小説の登場人物になりませんか?』

あやしげな文句に惹かれ集まったのは熱心な愛読者たち。西武新宿線西新宿駅近くの廃墟ビルに招かれた彼らの前に、桐野範容を名乗る人物があらわれる。

「登場人物 として、殺人鬼『プレイヤー』のゲームに参加してください」

参加した読者たちの行動をもとに、桐野がこれから新作を書こうというのだ。
自分の大好きな小説の登場人物になれる。

迷わず参加を決めた彼らに、殺人ゲームのルールが説明される。殺人鬼に指定された今回のゲームは『鬼ごっこ』だった。

「それでは、ゲームを始めましょう」

作家桐野範容の『想像の世界』を舞台にして、天才殺人鬼が鬼となる『恐怖の鬼ごっこ』が始まる―

【ルー ル】
・行動範囲は新宿区限定とする。決して区外に出てはならない。
・ゲームは13時に開始し14時に終了することとする。
・以上のルール内であれば何をしても構わない。
・鬼にタッチされたら負けとなり『罰』を受ける。

この物語から逃げることは、許されない―
(チラシより)

 新宿区内を逃げまわる展開をどうやって劇場で上演するんだろうと不思議だったが、実際は逆に密室に閉じ込められた状態で頭脳戦が繰り広げられる。

 複雑な展開が言葉で説明されるので、状況を把握するのが一苦労。正直な話、途中から追いかけるのを放棄してやりとりを眺めていた。しかしこの話の本当のポイントはそこではなく、その先にあるどんでん返しに次ぐどんでん返しというミステリーの波状攻撃だ。

 全部で4回か5回はどんでん返されたのではないだろうか。しかし理不尽なものではなく、最初の方で微妙に違和感があった部分が次々に解明されていくような展開で面白かった。登場人物それぞれに見せ場がある構成で、やってる方も楽しかったと思う。

2014/11/03-13:00
DART'S「In The PLAYROOM」
シアター・ミラクル/当日精算2500円
脚本・演出:広瀬格
出演:島田雅之/國重直也/浅見臣樹/今里真/金崎敬江/佐賀モトキ/椎谷万里江/民本しょうこ/松澤くれは
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2014年11月02日

Ammo「Lucifer」

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誰もが彼のプレイに夢中だった。
シルクのように滑らかなボールタッチ、一度ボールを持ったら離さない利己的なドリブルは悪魔的でさえあった。
敵も、味方でさえも彼に魅了された。将来を嘱望された選手だった。
イリヤ・ペトロヴィッチ。彼は、ある日突然消えた。

ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の終結から十年後、私はトヨタカップで来日するシーナ・アクシシャヤを迎えに成田空港に
車を走らせていた。あの、"やせっぽちシーナ"が今や代表のエースだというのだから、時間はあまりにも早く、未来は全く予想がつかない。

私は、彼と話すべきことがあった。あの日の、イリヤ・ペトロヴィッチと、彼を鼓舞するビリヤシュのサポーターの声と、そして私を含むあらゆる人達の傲慢についてだ。
(チラシより)

 ユーゴスラビアと言えば1984年にサラエボオリンピックを開催した国だが、それから10年も経たずして大規模な内戦に突入した。当時大学生だった私は、オリンピックが開かれた街が戦場になっている光景をテレビで見て、強く衝撃を受けた記憶が残っている。今時戦争なんてものは途上国で起こるものだと思い込んでいたのだ。

 この作品は、ボスニアのある街で暮らすサッカー大好きな人々が、内戦により敵味方に分かれ、仲の良かった隣人が殺し合うようになる悲劇を描いている。内戦は単なる戦争以上に悲劇であることが突き刺すように伝わってくる。それでも私達は現実に起きたことの1割も理解できていないかもしれないが。

 だが日本でもいまやそれは他人事でない。ユーゴスラビアですら、実際に戦争が始まるその瞬間まで、まさか戦争が始まるとはみんな思っていなかったというのだ。いつの日か私達が同じように語る日が来ないように、最善と思う選択を続けていかなくてはならないが、果たしてできているだろうか。

2014/11/02-19:00
Ammo「Lucifer」
d-倉庫/当日清算3200円
脚本・演出:南慎介
出演:荒川ユリエル/平佐喜子/三浦佑介/前園あかり/石塚みづき/鹿島ゆきこ/吉永輪太郎/さいとう篤史/斉藤太一/大春ハルオ/加藤素子/安田徳/大野由加里/井上千裕/水津亜子/信國輝彦
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屋根裏展望台「2つの重力の間で」

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今回の屋根裏展望台はSFです。
数年後、地球に隕石が衝突するかもしれない、と言う話です。

けども、パニックものみたいに政府やら軍やらNASAやらが登場するのではなくて、隕石が衝突するかもしれないらしいけど、特別何かすることがあるわけでもないし、まあ普通に生きてこうかー、という人たちが出てきます。

そんな人たちが、家で、都市で、郊外で、twitterで、youtubeで、どんな行動をとるのか。

今回はそうした風景を描いてみようと思っています。
(チラシより)

 10年後に隕石が落ちてきて人類が滅亡すると予想された後、普通の人々がどう過ごすのかというテーマ。新井素子の『ひとめあなたに』みたいな設定だが、10年も先となるとパニックを起こすにも気が早いようで、微妙に穏やかな日々が続いている。

 その設定はまあ良いとして、いかんせん演出というか展開がダメすぎる。どこかで見たような表現がだらだらと続いて間延びした時間が流れる。90分の作品だが、おそらく半分くらいで飽きて、あとはいつ終わるのか待つばかりの苦痛な時間を過ごした。

2014/11/02-14:00
屋根裏展望台「2つの重力の間で」
王子小劇場/支援会員
作・演出:岩城泰斗
出演:伊藤千尋/大村優介/高橋由理枝/田代雄亮/西村蒼/八木あがた/矢野昌幸
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2014年11月01日

MCR「あの部屋が燃えろ」

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東京都杉並区、商店街を抜けた先、
一階、風呂無し、外に共同シャワーあり。
隣には友だちが住んでいて、
うちの冷蔵庫に入ってるものを僕が留守の間に自分の部屋に持ち帰る。
僕はそういうアパートに住んでいる。
鍵は付いているんだけど、なんでかみんな、
素手でうまいこと鍵を開ける術を知っている。
知っているから、帰ってくると、
知らない人が横になってテレビを見ていたりする。
僕はそういう部屋に住んでいる。

もしもあの頃に戻れるならば、
あの時間をアパートごと、燃やしてやりたいと思う。

つまりどういうことかというと、
世の中の基準が部屋にまで届かない閉鎖的な世界観を、
溢れる罵詈雑言と小気味よいリズムの会話群で
空間をいびつにも広げようと努力する人たちの、
結局は畳を指でガリガリするだけだったりする、そんなおはなしです。
(チラシより)

 何者にもなれずくすぶってる若者たち。言い換えればザ・ダメ人間ズ。そんな連中がたむろするアパートの一室が舞台。自分も学生時代はあんなんだったか…いやそんなにひどくなかったよ…でもなんか、ちょっと憧れる。

 前半はひたすら無駄なマシンガントークてんこもりで笑いまくるが、ラストはやっぱりダメダメで道を踏み外して、泣きながら笑うしかない展開。あんな芝居で泣かされるもんかって思うけど、泣いたっていいだろう。

 余談だがザンヨウコから浅く同情されたい。

2014/11/01-19:00
MCR「あの部屋が燃えろ」
小劇場B1/当日清算3000円
作・演出:櫻井智也
出演:澤唯/小野ゆたか/後藤飛鳥/堀靖明/本井博之/ザンヨウコ/津留崎夏子/櫻井智也/おがわじゅんや/北島広貴/伊達香苗
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FUKAIPRODUCE羽衣「よるべナイター」

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 円形劇場を活かして野球場をモチーフに組まれた舞台で、野球のユニフォームを着た役者たちが妙ージカルを演じる。でも内容はちっとも野球とは関係なくて、男と女と歓楽街、一人の寂しい夜、愛する人よ君といつまでも的なストーリー。

 ちょっと下ネタと言うかセクシャルな演出も多いけど、クスクスニヤニヤ笑ってるうちに人生の悲喜こもごもを見せつけられて、いつのまにかホロリとさせられる。ああ、今日も羽衣マジックに絡め取られたよ。

 妙ージカルも慣れてきたが、さすがにこの大人数で歌うと歌詞が聞き取れないことがあり、そこは残念。今回は特に歌とモノローグがかなり多く、会話部分が少ない構成だったので緊張感があった。当日パンフと一緒に歌詞カードが配布されていたので後で確認することはできたが、本場のミュージカルならきっちり聞こえるものなのだろうか。

2014/11/01-14:00
FUKAIPRODUCE羽衣「よるべナイター」
青山円形劇場/事前入金3500円
プロデュース:深井順子
作・音楽:糸井幸之介
演出:深井順子/糸井幸之介
出演:深井順子/日啓介/鯉和鮎美/高橋義和/澤田慎司/新部聖子/岡本陽介/伊藤昌子/西田夏奈子/キムユス/中林舞/福原冠/橋本淳/山のえみ/森下亮
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