2014年10月25日

カムヰヤッセン「未開の議場」

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〜私たちは私たちの隣で生きているその人のことをよく知らない。〜

「怪物はどこだ。」
人が人よりも優位に立ちたい、っていう話をなんだかずっと書いてきたような気がしています。
思えばそういう競争の中にいた四半世紀でしたから、 そういう物語を書くことの環境的な条件は整っていた気もします。
で、僕はこの「人よりも優位でありたい」という欲は半ば本能だと思ってまして、 本能だからこそ、ちゃんと飼い慣らせば、どうとでも付き合える気がしています。
仰々しく言ってみましたが、普段そんなことばっかり考えているわけもなく、 言うて僕も割と博愛主義の善良な一市民だと思っています。真剣です。はいそこ笑わない。
ただ、ふとした瞬間にひょんなことでとんでもないことを口走ってしまうことがあって、 そういう時に、この本能の怪物っぷりを考えます。
ちっちゃいですが、確実にいます。

今回は、そういうものと闘うための演劇をやります。
ちょっとだけ枠を広げて、日本人、というところで語ってみようと思います。
13人、の、日本人たちの会議劇。劇場でお待ちしています。
(チラシより)

 昔から在日トメニア人が多く住んでいる町で、お祭りを開くことになる。会合に集まった人々はそれぞれの生活の中で様々な形でトメニア人と関わっている。トメニア人学校の先生、トメニア人が働く工場の経営者、トメニア人学生による万引きに悩まされているスーパーの店主、刺青のあるトメニア人とトラブルになった銭湯の経営者、ただ仲良くしてほしいと願っているカフェ店員、などなど。

 理解と交流を深めようと企画されたはずの祭だが、詳細を詰めるに従ってボロボロとほころびが出始め、次第にむき出しの感情がぶつかり合う。

 トメニアという国は架空(多分某映画から取られたもの)で、実在の在日外国人といえば最初にイメージされるのはコリアンだが、それ以外の国と思われるエピソードも多数取り入れて独特なトメニア像が構築されていた。トメニア語という言語を作って字幕まで出していたのはすごいが、キリル文字っぽかったので東欧系の言葉を使っていたのかもしれない。

 実際に起きた時事ネタを数多く織り込んでおり、それらをニュース等で聞いた時に自分がどう感じたかを思い出しながら議論に聞き入っていた。いや、議論と呼べるようなものではないだろう。あのカオスな状況は、議論下手と言われる日本人の典型的な会議の姿かもしれない。

 思うところは多々ある。実際にそういう町で暮らすことになったら自分はどういう態度を取るだろうか。綺麗事では済まないのだろう、恐らく。

 舞台両側のスクリーンに韓国語とトメニア語の字幕が映写されていたが、私の位置からではよく見えなかった。舞台上では日本語で会話しているのだから問題ないかと思っていたのだが、ラストで多分大事な会話がトメニア語でなされて日本語字幕となり、そこがほとんど読めなかったのが残念。あれはどういう内容だったのだろうか。

 カムヰヤッセンは気になりつつタイミングが合わずかなり見逃していたが、久々に観た本作はとても良かった。今後はなるべく見逃さないようにしたい。

2014/10/25-19:00
カムヰヤッセン「未開の議場」
王子小劇場/支援会員
脚本・演出 北川大輔
出演:小島明之/辻貴大/工藤さや/小林樹/ししどともこ/橋本博人/小角まや/宍泥美/島野温枝/杉原幸子/新名基浩/安藤理樹/小沢道成
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iaku「流れんな」

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貝毒の被害は甚大で、タイラギ(平貝)漁で栄えたこの港町も長くはないかもしれない。
当然、うちの小さな食堂「とまりぎ」も先行き不安だ。ネイルサロンにした方がマシだなんて話は、さすがにバカげてると思うんだけど。
重なるときは重なるもんで、先日、父親が重度の肝臓疾患で入院、店は休業状態に。
40歳を間近にして、畳み掛けてくるよう。

店で一人、思う。母親が生きてたら。子どもの頃、汲取式の便所を友人に見られるのが恥ずかしくて、ムリ言って洋式トイレに変えてもらったことがある。それがあんなことになるなんて。妹もずっと私を恨んでる。26年前の出来事が、今も私を滞留させる。この土地に、この店に。ああ、流れんな、私の記憶。
(チラシより)

 にっちもさっちもいかない田舎の話だ。土地に残る者と離れる者、いろんなしがらみがあって、すがりつくものが脆く崩れて、誰を責められるわけでもなく、誰から責められるわけでもなく、それでも、ハッピーになれない、田舎の話だ。

 悪者が誰も出てこないのにみんな不幸になる話はとても切ない。こういう話は関西の劇団の方が上手いように思う。しんみりと泣かされた。

2014/10/25-14:00
iaku「流れんな」
三鷹市芸術センター星のホール/当日清算2200円
作:横山拓也
演出:上田一軒
出演:峯素子/橋爪未萠里/緒方晋/酒井善史/北村守
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悪い芝居「スーパーふぃクション」

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理解されない男と誤解しかされない女が虚業の中だけで心と体を許しあい求めあう
人間の本質なんか炙り出るわけない“超物語”つまり“現実”のアレコレ───

究極の珍しさを求めて、誰からも理解も評価もされない行動をし続ける男・冠虚(カンムリウツロ)に、はじめて心奪われた女が現れる。
それは他人に誤解ばかりを与え続ける女・朝焼澱美(アサヤケヨドミ)だった。女の出現により、男の自我は崩れ堕ちゆくしかない。
圧倒的な言葉と、それを彩るビジュアル、そしてオリジナル音楽の生演奏で劇場を包み込む悪い芝居一年振りの本公演。
結成10年を翌年に控え、ここにひとつ、劇団の終焉を告げ、純演劇の限界に挑む。
芝居を観よう。芝居を観よう。どうせ観るなら『悪い芝居』を観よう。愛とかいう言葉じゃ足りない。
(チラシより)
 
 昔の悪い芝居に戻ったような感触があった。ここ数作の悪い芝居はテーマ性があって何かを伝えようとする意識が感じられたのに対し、今回はそういう姿勢自体を打ち壊そうとするものだったのではないだろうか。

 とはいえ、他人の作品をぶち壊すようなタブー破りを繰り返す主人公と彼が率いる集団は、山崎彬の心の叫びというわけではなく、計算されたキャラクターであることは間違いない。彼ももう、そんなにうぶじゃあるまい。

 その主人公の冠虚を演じた大塚宣幸は結構何度も観ているが、こんなに華のある役者とは思ってなかったので見なおした。ヒロインを演じた田中良子は初見の女優だが、大変な役をしっかり演じきっていて立派。本業は舞台女優よりテレビやモデルのようですので、舞台専門の女優はもっとがんばってほしい。

2014/10/25-13:00
悪い芝居「スーパーふぃクション」
赤坂レッドシアター/事前振込3500円
2014/07/05-19:30
作・演出:山崎彬
出演:池川貴清/植田順平/北岸淳生/畑中華香/山崎彬/渡邊りょう/田中良子/大塚宣幸 /Sun!!/辻井彰太 /中西柚貴/吉原小百合
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2014年10月19日

シベリア少女鉄道「ほのぼの村のなかよしマーチ」

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わくわく山のほのぼの村では、にんげんも、どうぶつたちも、やさいも、くだものもみんな友だち
ところがある日、村に大きなあらしがやってきたからさあたいへん
お空はたちまち荒れもよう、お庭のかきねもふきとばされて、こまったこまったむすめさんでも、みんななかよし、あの子が大すき、ゆうきのラッパをぱぱらぱら
たまにはけんかもするけれど、ちからをあわせてどうにかしよう
(チラシより)

 シベリア少女鉄道である。いつもながらのシベリア少女鉄道である。何を書いてもネタバレになりそうで何も書けないシベリア少女鉄道である。

 まあ、今回はある程度予想もついたよね。子供向け絵本のようにほのぼのした穏やかなおはなし‥‥なわけねーだろ! 絶対途中からぶち壊しにかかると思ってましたがあまりにストレートな壊れ方で逆に想定の範囲外だったわけですが。

 エンディングは演歌。もう、参りました。楽しかったです。ごめんなさい。ありがとうございました。

2014/10/19-12:00
シベリア少女鉄道「ほのぼの村のなかよしマーチ」
シアターブラッツ/当日精算3500円
脚本・演出:土屋亮一
出演:藤原幹雄/横溝茂雄/吉田友則/加藤雅人/浅見紘至/川田智美/小関えりか/岸茉莉/濱野ゆき子
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2014年10月18日

スプリングマン「どんまい、椿夫人」

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STORY:人生に意欲を失った青年は自分の最後の場所を決めるため、必要なものをバッグに詰め込んで旅にでた。東京のはずれにある山の中で、崖の上から下を覗き込んでいるときに、疲労からか不意に意識を失ってしまった。...目が覚めると、見知らぬ女性に肩を抱かれながら古ぼけた大きな民家へと招き入れられ、しばらくそこで療養することになった。たった一人で広い古民家に住む女性は自分の事を夫人と呼んでくれと頼み、沢山のことを青年に語りだす。そのうち二人は友達のような、親子のような。妙に不思議な関係を築いていく。この物語は、青年と夫人のたった数時間の対話の物語。
(サイトより)

 田舎の広い家に住む、人としてダメな女性の話。上記のあらすじを読むと穏やかな物語のようだが、実際はかなりコメディタッチだ。あと「たった数時間の対話の物語」とあるがそうでもなかった。途中から別れた元夫がやってくるし、後半は夫人が亡くなった後の家を片付ける場面となる。

 主役である夫人はちっとも落ち着きがなく、周りの人に迷惑をかけまくって生きている。前半は彼女に振り回される人々の物語でもある。だから後半で彼女がいなくなった時にはやっと静かになったと安堵するのだが、同時に不思議な喪失感に包まれる。こんなもので泣かされるのはしゃくにさわるが、ちょっと泣いておいた。

 決して重いわけではない個々のエピソードが折り重なって全体の空気を作り出す手法がよかったと思う。

2014/10/18-14:00
スプリングマン「どんまい、椿夫人」
TACCS1179/当日券3800円
脚本・演出:澁谷光平
出演:日南田顕久/あきやまかおる/イワゴウサトシ/波多野和俊/徳永愛/武藤啓太/苗村大祐/かなざわ陸/鵜殿麻由/川西ゆうこ/八代進一/矢治美由紀
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2014年10月11日

子供鉅人「逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)」

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反逆者・マクベスによって父王を殺害され、
自らの身の危険を察知した二人の王子は祖国を捨て、他国へと逐電する。

そこに待ち受けていたのは、マクベスを予言によって主殺しへと導いた三人の魔女。

次々と祖国の惨状の報がもたらされるなか、復習をそそのかす彼女たちに、
二人の王子は苦悩と野心を抱く。

やがて、祖国復興を誓い合った二人の王子までも王位継承を巡り、
骨肉相食む闘争を繰り広げることになるのだった。
(チラシより)

 まず会場に入ってすぐ舞台の使い方に驚かされる。舞台上に舞台と客席を全部おさめ、本来の客席は広々した空間としてそのまま残されている。この空間は作品中、海として扱われるのだが、かなり大胆な発想だし実行した度胸はすごいと思う。

 物語はマクベスを下敷きにしたと説明されているが、マクベス本人やその夫人より、逃げ出した二人の王子が中心となっている。現代風に翻案したというわけでもなく、時代や場所がよくわからない独特の世界観を構築していたと思う。

 子供鉅人と言えば大阪の谷六にあるポコペンという場所(長屋の一室)での上演が一番好きだが、東京に拠点を移したとのことで、あの部屋がどうなっているのか気になる。しかしこういう広々した劇場での公演でもちゃんと自分たちの色が出せていたのはとても嬉しい。

2014/10/11-19:00
子供鉅人「逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)」
あうるすぽっと/当日券3500円
脚本・演出:益山貴司
出演:益山寛司/益山貴司/キキ花香/影山徹/億なつき/ミネユキ/山西竜矢
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2014年10月05日

オイスターズ「どこをみている」

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忍者が分身の術を使った。オロオロしている僕に向かって忍者はこう言う「どこをみている」。
彼女と二人で散歩していて突然彼女が「かわいい!」と言った、オロオロしている僕に向かって彼女はこう言う「どこをみている」。
…どちらにせよ身の危険を感じる言葉だ。てことは忍者と彼女を入れ替えても同じかもしれない。
忍者と二人で散歩していて僕が別の女を見た場合、忍者は「どこをみている」とは言わない。どこをみているかはわかりきっているから。
その場合は無言で「ぼくをみている」。やっぱり身の危険を感じた。
(サイトより)

 主人公が居酒屋の上司に切れて辞めると、よくわからない先輩がついてくる。何この人。そこから始まる不条理劇。ただひたすら不条理。冒頭で極めて威勢よかった主人公がこの不思議な人のワールドに絡め取られて翻弄される。

 この手の不条理劇は昔よくあったけど最近は減った気がする。意味と言える意味があるかわからない。多分ない。けれど面白い。一歩間違えると自己満足のナンセンス芝居になってしまうだろうが、オイスターズはギリギリの崖っぷちを上手く落ちずに歩んでいる気がする。

 余談だがこの芝居のチラシはつい最近の小劇場演劇のチラシをずらりと並べて撮影されている。かなり直近のものが多く、よく作れたと関心した。

2014/10/05-15:00
オイスターズ「どこをみている」
こまばアゴラ劇場/当日精算2800円
脚本・演出:平塚直隆
出演:田内康介/二瓶翔輔/横山更紗/平塚直隆
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2014年10月04日

発条ロールシアター「タダデネ!」

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閑静な住宅街の、とある図書館。
そこに集うのは、気怠い昼下がりの空気を共有する者たち。
と、突然の稲光と雷鳴。人々の悲鳴。
そしてーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
物憂い日常のうちにいた人々は、突如、荒れ狂う海に投げ出される!
流れ着いたのは、かつて繁栄した海の民の根城とする湊だった。

2013年上演「ソンデネヴァ!」に続く、発条ロール版 幻のロマン史劇!
(チラシより)

 ある町の図書館にたまたまいた人達が、遠い時代の港町とリンクするというファンタジー的な設定。過去と現代が交錯する展開は役者の早着替えが大変そうだけど、そうする価値がどのくらいあるのかは良く分からなかった。

 時代劇的な作風とは裏腹に結構ハイコンテクストな芝居だったのかもしれない。まずタイトルの意味が分からない。何語?

 水の表現はうまかったと思うが、殺陣はイマイチ。専門家の指導を受ければもう少しかっこよくなるのではないだろうか。

2014/10/04-19:00
発条ロールシアター「タダデネ!」
タイニイアリス/当日券2800円
脚本・演出:則末チエ
出演:杉浦直/藤一平/加茂克/江戸川良/大河/まみ/川村あゆ美/則末チエ
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