
惑うあしあとが(チラシより)
重なり乱れて途絶える
わたしは考える
あの痕はいつ消えるのだろうと
影のように錆のように痣のように
消えることはないのだろうと
雷雨の夜に家を出た幼い息子はそのまま帰ってこなかった。母は息子をずっと探し続ける。事業に失敗して自殺を考えていた男は幼い子供を拾う。男は子供を連れ帰って育てた。家族って何だろう?
会話の内容からすると平成が舞台だが、雰囲気は昭和の半ばのようだった。何か現実の事件をモチーフにしているのかもしれないが実際はどうかわからない。設定のディテールには疑問も多々あるが、それはたいして重要なことではないだろう。想いはひしひしと伝わってきた。
バカな人は出てくるが悪い人はいない。それでも幸せはなかなか掴めない。その切なさが胸に響いた。
ところで円形劇場は座席位置による当たり外れが出やすいが、この作品はかなり自然なストレートプレイでありながらうまく処理していた。
2014/08/17-14:00
KAKUTA「痕跡(あとあと)」
青山円形劇場/当日精算4300円
脚本・演出:桑原裕子
出演:成清正紀/若狭勝也/高山奈央子/佐賀野雅和/ヨウラマキ/異儀田夏葉/小田直輝/桑原裕子/松村武/辰巳智秋/多田香織/大神拓哉/斉藤とも子
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