2014年08月17日

KAKUTA「痕跡(あとあと)」

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惑うあしあとが
重なり乱れて途絶える
わたしは考える

あの痕はいつ消えるのだろうと
影のように錆のように痣のように
消えることはないのだろうと
(チラシより)

 雷雨の夜に家を出た幼い息子はそのまま帰ってこなかった。母は息子をずっと探し続ける。事業に失敗して自殺を考えていた男は幼い子供を拾う。男は子供を連れ帰って育てた。家族って何だろう?

 会話の内容からすると平成が舞台だが、雰囲気は昭和の半ばのようだった。何か現実の事件をモチーフにしているのかもしれないが実際はどうかわからない。設定のディテールには疑問も多々あるが、それはたいして重要なことではないだろう。想いはひしひしと伝わってきた。

 バカな人は出てくるが悪い人はいない。それでも幸せはなかなか掴めない。その切なさが胸に響いた。

 ところで円形劇場は座席位置による当たり外れが出やすいが、この作品はかなり自然なストレートプレイでありながらうまく処理していた。

2014/08/17-14:00
KAKUTA「痕跡(あとあと)」
青山円形劇場/当日精算4300円
脚本・演出:桑原裕子
出演:成清正紀/若狭勝也/高山奈央子/佐賀野雅和/ヨウラマキ/異儀田夏葉/小田直輝/桑原裕子/松村武/辰巳智秋/多田香織/大神拓哉/斉藤とも子
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2014年08月16日

ぬいぐるみハンター「おせっかい母ちゃんリビングデッド」

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あの夏、僕はお節介な母ちゃんの頭めがけて金属バットをフルスイングした。
短い野球人生で僕の金属バットから響いた最初で最後の快音だった。
やみくもに逃走したが、どこまで逃げても誰も追ってこない。お腹もすいたし、恐る恐る帰ってみたら居間からいつもと変わらないTVの音と母ちゃんの笑い声!?
なんか知らんが母ちゃんが生きていた。そして、更なるお節介を焼きだした。
あれから14年、東京で「売れないバンドマン」から「売れなかったバンドマン」になろうとしている解散ライブの日、いつものように母ちゃんが楽屋でバンドメンバーにおはぎを配っている。
暴走しすぎるお節介な母ちゃんにもう一度フルスイングで決着をつける。だけどもう僕の手元に金属バットはない。
(チラシより)

 もちろん神戸アキコが演じる母ちゃんのキャラは強烈で面白いのだが、実際?はすでに死んでいるという事実と、解散ライブという場面設定から根底に流れる切なさがあり、泣き笑いに近い。あのラストは予想できたはずなのにできなかったので、ほろりとした。

 印象としては前作「ウォーターバック」よりは今回の方が良かったと思うが、神戸さんのキャラに頼っているウェイトは今作の方が大きい。もしかすると前作はその点の意識もあったのかもしれない。まだ当分は期待して観ていきたい。

2014/08/16-18:30
ぬいぐるみハンター「おせっかい母ちゃんリビングデッド」
駅前劇場/事前振込3300円
脚本・演出:池亀三太
出演:神戸アキコ/猪股和磨/梅本幸希/森崎健吾/土田香織/羊田彩佳/ジェントル/結城洋平/浅見紘至/辻沢綾香/橋口克哉
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範宙遊泳「インザマッド(ただし太陽の下)」

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63−0という歴史的大敗を喫した日本代表の悲しみと孤独は日本全土を覆った。
この悲しみと孤独が半年のうちに世相を変え日本は堕落した。一部の選手は闇屋となり、一部の選手は家庭崩壊に至った。永遠の愛を歌っていたJPOPの歌詞は、いつの日か浮気相手を想う歌詞へと変わり、かつての絶世の天才子役はショッピングモールで戦隊ショーの司会のお姉さんが唯一の収入源である。選手の元妻となった女は貧しい慰謝料にエステにも行けず鏡を見る度ため息をつく。
人間が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ。

ところでぼくたち何の試合に負けたのだっけ? 
(チラシより)

 範宙遊泳の作品はリアルなストレートプレイの対極のような演劇的演劇なので、展開についていくだけでも苦労することが多い。前回観た「うまれてないからまだしねない」は正直まったく心に入ってこなかったので感想もほぼ書けなかったけれど、今回は比較的すんなり飲み込めた気がする。正しく理解しているかどうかはわからないが。

 前作と同様、物理的には素舞台に近いがスクリーンに映し出された映像を最大限活用して不思議な世界を構成する演出手法。役者の動きは独特でダンス的。出演者が5人と少なく絞られていたこともあって、とても濃縮された印象を受けた。

 描かれている世界はやっぱり日常から大きく逸脱しているのだが、それは近未来のような、あるいは並行宇宙なら私たちのすぐ隣にありそうな、リアルではないのにデジャブを感じるような世界だ。原案は坂口安吾の「堕落論」とのことなので、あとで読んでみようと思う。

 余談だが今回はスクリーンと床にものすごく伸縮性に富んだ布が使われていて、その素材が何なのか上演中から気になってしまった。何かのはずみで切れ目が入ったら一気に敗れてしまいそうでハラハラした。

2014/08/16-14:00
範宙遊泳「インザマッド(ただし太陽の下)」
こまばアゴラ劇場/当日精算3000円
脚本・演出:山本卓卓
出演:武谷公雄/椎橋綾那/中林舞/名児耶ゆり/根本大介
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2014年08月09日

四獣+玉造小劇店配給芝居「イージーオーダーThe Musical」

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日本中がオリンピックで浮かれる中、
その工事の一部が残っている現場で突貫工事に
駆り出されている動労者たち。
国がひた隠しにし、マスコミの手も及んでいないエリア、
通称Dゾーン。
疲れきった作業員たちの間では、閉鎖された空間に耐えられず
薬に手を出すものや、危ない行為に出る者も耐えなかった。
そこで政府が労働者たちのケアとして娯楽を提供することになるのだが、
派遣された下請け会社のダメ社員の勘違い…

年増のニューハーフに外国人労働者。そこに流れてくる奇妙なゲリラ放送が絡み
誰も彼もが、歌い踊るハメに…?

どうしようもない無責任な男が7人。
夏の夜を駆け抜ける。
(チラシより)

 これぞショータイム!と思わせるサービス満天の展開と歌とダンス。ミュージカルとはなんぞや!という開き直りも含めて楽しませる1時間半。いい年したオッサンばかりでこれだけ魅力的なのは実にかっこいい。

 もっと大きな場所で2時間くらいやってほしいところですが、それは体力がもたないのかもしれません。

 ところでシアター711と言えば元映画館でゆったりした豪華な椅子が特徴の小劇場だったのですが、久しぶりに行ったら普通の椅子になっていてガッカリしました。座席数を増やそうとしたら仕方ないのかもしれませんが、あの椅子ゆえに好きという人も少なくなかったと思うので、残念です。

2014/08/09-15:00
四獣玉造小劇店配給芝居/イージーオーダーThe Musical」
シアター711/当日券4000円
作・演出:わかぎゑふ
出演:桂憲一/植本潤/大井靖彦/八代進一/うえだひろし/満間昂平/コング桑田
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