2013年09月28日

五反田団「五反田の朝焼け」

 とある町(五反田?)で暮らす人々の光景。いくらか変な人たちだけど、激しくナンセンスではない、こういう人いるかもしれないと思えるレベルの変な人たち。ちょっとした事件のような出来事が起こり、ちょっと変な事態になっていくが、激しく劇的な展開ではない。

 いつもながら五反田団はどうでもいい話を作品に仕立て上げる、ぬるい時間が流れる観劇だ。自分の金と時間をこの作品に費やす価値を人に説明するのはとても難しい。説明がつかないけれど、心地よい時間であり、価値があると感じている人はたくさんいて、客席はそういう人で埋まっている。変な世界だ。もちろん自分もその一人なのだが。

2013/09/28-19:30
五反田団「五反田の朝焼け」
アトリエヘリコプター/当日精算2000円
脚本・演出:前田司郎
出演:大山雄史/後藤飛鳥/中川幸子/西田麻耶/前田司郎/宮部純子/望月志津子


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KUDAN PROJECT「真夜中の弥次さん喜多さん」

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弥次と喜多は、この世の“リアル”を求めて江戸を出発し、お伊勢参りへと旅立つ。とある宿にたどり着いた二人は、雨で足止めをくらう。幾日も降りしきる雨の中、そこは次第に行く当ての無い想念で満たされ、二人は“夢”と“現(うつつ)”の狭間を揺れ動く。もはや江戸を出発したのかどうかでさえ定かではなくなり、幻想的な時間と空間が交錯し、二人の悪夢がユーモラスで不条理に展開していく。
(サイトより)

 サイトに書かれている「日本演劇界の至宝」「小劇場演劇のひとつの到達点」という評価はさすがに大袈裟だが、全くの誇大妄想というわけでもない。少なくとも日本の小劇場における不条理演劇としては究極だと思える。芸術的あるいは耽美なナンセンス芝居だ。

 伊勢に行くはずの弥次さん喜多さんが宿の一室で繰り広げる物語は、ひたすらグルグル回るばかりでちっとも前に進まない。しかし通常の少年王者館に見られるリピートとは趣向が異なり、エスカレートして輪から逸脱して、また新しいグルグルが始まる。

 10年前に七ツ寺共同スタジオで観劇した作品だが、意外と覚えていた。冒頭で飛んでいってしまうところや出前のくだりは今でも斬新だ。さらにあと10年くらいは残してほしい作品だと思う。

2013/09/28-14:00
KUDAN PROJECT「真夜中の弥次さん喜多さん」
こまばアゴラ劇場/事前入金3305円
原作:しりあがり寿
脚本・演出:天野天街
出演:小熊ヒデジ/寺十吾
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2013年09月21日

財団、江本純子「常に最高の状態」

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 前衛的アートの合同展示会の会場に、出品者のひとりの母親と叔母がやってくる。そこで遭遇する“アーティスト”たちとのディスコミュニケーション。オバさん二人と若い娘(それも芸術系の学生だから相当ぶっ飛んでいる)三人が織りなす饒舌な会話劇。

 冷静に考えたら極端にデフォルメされたキャラクターなのに見ていて違和感がなく、いかにもこういう人いそうと思える5人の女性。難しいテーマではなく軽いタッチのコメディだが、脚本は巧妙に練られていたと思う。常識的かと思えた人がだんだん壊れていくので、他の人もいつ壊れるかと思いきや壊れなかったり、先の展開は予想できず、最後まで飽きずに笑い続けられた。

2013/09/21-17:00
財団、江本純子「常に最高の状態」
ギャラリー・ルデコ/当日券3500円
作・演出:江本純子
出演:千葉雅子/松本まりか/佐久間麻由/荻野友里/柿丸美智恵
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キリンバズウカ「マチワビ」

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キリンバズウカ2年振りの新作公演
報われない人たちが住む街の物語
〜 能力があるとかないとか
  幸せになるためには全然関係ないんだってさ 〜
(サイトより)

 主人公の女の子は予知夢を見る能力があることで子供の頃に芸能界で働いたが、やがて能力が消えて引退し、地元で姉と妹と共にゆっくり暮らしていた。ある日彼女はさびれた遊園地跡で出会った青年を家に連れて帰り、しばらく泊めてあげると言い出す。困惑する姉と妹だが、その行動は予知夢に関わっていた‥‥

 主人公の次女に加えて、親代わりに妹達の面倒を見てきた長女、自分も芸能界に出たくて超能力のないことをひがむ三女という姉妹は、それぞれ少しずつ共感できるキャラクターだ。

 物語としては昔の少女漫画っぽい内容で、適度な波乱と適度なハッピーでバランスよし。良い人はちゃんと幸せになり、悪い奴は罰を受ける、まっとうなストーリーだ。小劇場だとそうじゃない作品が前衛的と評価されたりするが、こういう作品も大事だと思う。

 黒岩三佳、こいけけいこ、森下亮、後藤剛範といったいい感じの役者たちがその力量を存分に発揮しており、そういう点でも安心して観劇できて好印象だった。

2013/09/21-14:00
キリンバズウカ「マチワビ」
東京芸術劇場シアターイースト/事前入金3710円
脚本・演出:登米裕一
出演:日栄洋祐/こいけけいこ/加藤理恵/上鶴徹/黒岩三佳/後藤剛範/永島敬三/松永渚/森下亮/内田悠一/折原アキラ/金聖香/助川紗和子/渡邊亮
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2013年09月14日

悪い芝居「春よ行くな」

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何時でも何処でも何度でも分かりあいたい若者たちが分かりあえず溶けあうしかない異情演劇
(チラシより)

 うまく交友関係が築けない女とその周囲の人びとの関わりを通じて、何かを見せつける作品。主人公の女はバイト先の同僚に、同棲していた恋人が失踪したと言う。それを聞いていた青年が後をついてきて、自分は父親が失踪したと言う。彼女が気になる先輩や仲間たちはさかんに寄ってくるが、上手に受け止められない。

 中島みゆきの「風にならないか」という歌を思い出した。あの女の子の気持ちは多分2割くらいしか分からないが、ああいう人はきっといるだろう。もしかしたら自分のすぐ隣にいるかもしれない。

 結局彼女の同棲相手が実在していたかどうかも藪の中的な終わり方で、決してハッピーエンドではないが、ああいうタイプの人にとっては多分、ハッピーエンドも疲れてしまうのだろう。ほどほどに不幸のままどんよりと暮らすほうが安心という感情は、なんとなく理解できる。

 作品としては全体に暗い、あるいは重い雰囲気で、前作までとはだいぶ演出の傾向が変わった印象。しかし伝わってくるイメージは不思議とあまり変わらない。同じイメージを別の画材で描いたような感じがした。作・演出が同じ人だから意図せず自然とそうなってしまったのか、それともわざとそうしたのかは分からないが。

2013/09/14-18:30
悪い芝居「春よ行くな」
駅前劇場/当日精算3000円
作・演出:山崎彬
音楽:岡田太郎
出演:呉城久美/大川原瑞穂/池川貴清/大塚宣幸/山崎彬/宮下絵馬/森井めぐみ/北岸淳生/植田順平
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風琴工房「hedge」

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世界最大の投資銀行アデルソン・キャビタルの日本人初のパートナーである茂木のところに
かつての部下である加治が訪ねてくる。
茂木がアデルソンを辞めるという情報を聞きつけ訪ねてきたのだ。
加治は茂木に次はなにをやるつもりなのかと問う。
巨億の富を得て、2、3年は休むつもりだと答える茂木に
日本初となるバイアウト・ファンドをいっしょにやらないか、と加治は持ちかける。
(特設サイトより)

 金融の世界を舞台にした作品。中心になるのは、外資系投資会社から独立して日本初のバイアウト・ファンド会社を設立した男たちの物語。バイアウト・ファンドというのは、買収した企業の経営に積極的に参加して業績を改善し、株価が上昇したら売却するという手法を取るファンド会社とのこと。そういう手法は聞いたことがあるが名前は知らなかった。

 買収される企業の社員たちの心は穏やかではない。胡散臭い連中に会社が乗っ取られるのではないか疑心暗鬼になる者。経営に参加すると言われても、その会社の製品のことなど何も知らない奴らに口出しされたくないと反発する者。しかしそれぞれが熱い想いを持ちながら奔走していくことで信頼関係が生まれていく。

 この話に出てくる会社は、非常にうまくいった事例だろう。現実には必ず業績が上向くとは限らないし、一時的に持ち直してもまた破綻してしまうこともある。その世界をよく知る人にはもしかしたら「そんなもんじゃないよ」と言われるのかもしれない。

 ただしその点は作中やパンフレットでも触れられていて、作者はわかっていてあえてそうしたようだ。おそらくこの物語の本質は金融や経営そのものではなくて、それにまつわる人間ドラマ、熱い男たちが戦う姿を描くことだったからだろう。

 劇中に登場する難解な専門用語をメタ芝居で解説するなど、演出も展開もずいぶん苦労したと思われる。それだけあって、知らない世界がとても興味深く楽しめる作品に仕上がっていました。

2013/09/14-14:00
風琴工房「hedge」
ザ・スズナリ/事前入金3500円
作・演出:詩森ろば
出演:佐藤誓/井上裕朗/根津茂尚/多根周作/杉木隆幸/酒巻誉洋/三原一太/金成均/佐野功/藤尾姦太郎/金丸慎太郎
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2013年09月08日

柿喰う客「失禁リア王」

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 シェイクスピアの作品を女優だけで上演する「女体シェイクスピア」の第4弾。毎回タイトルの頭に官能的な単語をつけているが、悩殺、絶頂、発情に続く本作はまさかの失禁。おしっこ漏らすという意味以外にも意味があるようなことを誰かが書いていたが、手元の辞書にはそれしか載っていない。どういう意図が込められていたのだろうか。

 リア王はシェイクスピアの悲劇の中でも特に荘厳な雰囲気のイメージがあったが、今回はミュージカル的な演出でむしろスタイリッシュだった。いつも歌ってる新良エツ子だけでなく、主要登場人物はだいたい歌っていた。みなさんまず第一に声が良いので歌も綺麗だ。ただ主役のリア王を演ずる深谷由梨香の歌唱力が少々残念な感じだった。男性役だが体格が小さいのでどうしても迫力が出ないのだと思われる。今度は可愛らしい女性役を観てみたい。

 ここまで四作すべて深谷由梨香がタイトルロール。「なぜ毎回深谷さんなのか?」という点についてアフタートークで中屋敷さんが「頭のおかしい役だから」と答えていて半分納得したが、配役をシャッフルする乱痴気公演でリア王を演じた七味まゆ味もかなり狂気の役が演じられるのではないか。次回作がどうなるか気になるところだ。

2013/09/08-14:00
柿喰う客「失禁リア王」
吉祥寺シアター/事前入金4500円
原作:W.シェイクスピア
脚色・演出:中屋敷法仁
出演:伊東沙保/内田亜希子/岡野真那美/加藤紗希/北原沙弥香/葛木英/阪田瑞穂/七味まゆ味/杉ありさ/中林舞/新良エツ子/葉丸あすか/平田小百合/深谷由梨香/渡辺早織
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2013年09月07日

tsumazuki no ishi「ガソリンホットコーラ」

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「別段、無理難題でもないことを、無理難題にしつらえてさ。それに立ち向かってるふりして、同じとこに居座って。そうしてることに安心してんでしょ、あんたら?」

ニンゲンのディスコミュニケーションによる喪失感を、荒唐無稽なほどの絶望的なポジティブ感でやりすごすアクロバット人間模様。
(チラシより)

 十年以上前に上演された作品の再演。内容がわりとファンキーなので十年程度の時間にはほぼ影響を受けないだろう。前作のHEAVEN ELEVEN OF THE DEADはすっきりしない部分が目についたが、今回はわけがわからないなりに面白い作品だった。

 給油できないガソリンスタンド、潰れたサラ金の店舗、どう見てもまともではない登場人物の数々。なんじゃこりゃ?としか思えない異様な世界の正体は夢オチみたいにラストで明らかになるが、誰がどんな状況で見ている“夢”なのかがわかると、とても穏やかな気持になった。

2013/09/07-19:00
tsumazuki no ishi「ガソリンホットコーラ」
ザ・スズナリ/当日精算3500円
脚本:スエヒロケイスケ
演出:寺十吾
出演:寺十吾/釈八子/猫田直/宇鉄菊三/加地竜也/加藤亜依/佐藤華子/中村榮美子
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