2013年05月19日

青年団若手自主企画マキタ企画「シュナイダー」

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「タマゴを買いに行って来る」
そう言い残してあの人は姿を消した。
わたしはあの人の全てを分かっていたのだろうか。
償いの意味を問う被害者と加害者の濃密な物語。
(チラシより)

 田舎の喫茶店が舞台。近所にある森は自殺の名所らしい。失踪した夫、健気に店を守る若妻とバイト、幼馴染の警官たち、森の取材に来た男。そして、妻を交通事故に遭わせた加害者の男、夫の浮気相手。

 なごやかな雰囲気の喫茶店のように見えて、そこに関わる人々はそれぞれに秘密と裏を隠している。それはどすぐろい、グロテスクな、そしてどうしようもなく切ない。何の変哲もない人物が実はすごい秘密を隠していたりするので、次は何が出てくるかわからない。芝居はそんな秘密が少しずつ明かされていきながら進行して、ラストは恐ろしい破局を迎える。

 戯曲がelePHANTMoonのマキタカズオミですからね、気持ち悪いのは当然でしょう。ただ背景とか展開に疑問が残る点が少なからずあり、誰かに解説してもらいたい気分になった。

2013/05/19-14:30
青年団若手自主企画マキタ企画「シュナイダー」
アトリエ春風舎/当日券2000円
脚本・演出:マキタカズオミ
出演:海津忠/齋藤晴香/森岡望/石松太一/伊藤毅/江原大介/寺井義貴/芝博文
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2013年05月18日

酒とつまみ「もうひとり」

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都内の閑静な住宅街にある平屋に、二人の女が暮らしている。
家主の桐江と、この家に五年前から居候している浜子。

二人は家族でも親戚でもない他人同士。
浜子は職に就いておらず、桐江に生活の面倒を見てもらっている。

家事もすべて桐江がするので、浜子は一日中何もしないで暮らしている。
にもかかわらず、桐江は浜子を尊敬し、一日でも長くいてもらおうと願っている。

二人のこうした共同生活に、周囲は不快感を隠せない。
隣人は、浜子が桐江を洗脳しているに違いないと主張。
桐江の交際相手は、浜子のおかげで結婚に踏み切れない。

そんな苛立ちをよそに当の二人は……、

桐江「浜子さん。あなたには素晴らしい才能があるわ。私はあなたの才能を世間に知らしめたいの」
浜子「有難う。そう言ってもらえて嬉しいわ」

やがて二人の周囲で、「浜子排斥」の機運が高まる。
次々と現れる刺客を迎え討つ桐江。
岩のように動かない浜子。

果たして、この、理解し難い絆で結ばれた二人の行方は――
(チラシより)

 個性的な女優二人による二人芝居。小劇場の女優と言えば学生かせいぜい20代の若い子が多いが、彼女らくらいの歳(と言っても何歳かわかりませんが20代ってことはないだろう)の、巧みな芸としての芝居は観ていて快感だ。

 家族でもない女性同士が二人暮らししているという状況設定がすでに奇妙なのだが、そういう人もいるかなと思わせる説得力に説得されかかったあたりでいやいやちょっと待てやっぱりおかしいだろとツッコミを待ち構えるような余裕。

 何を言ってるのかわかりませんが要するに面白かったのだ。戯曲も良くできている。伏線の貼り方が自然で適度。まあテクニックなんでしょうけど。劇中、二人以外の人物が三人登場するが、それらは二人の反応で表現される。カーテンコールでその三人も紹介するという余興も心地よかった。

2013/05/18-19:30
酒とつまみ「もうひとり」
OFF・OFFシアター/当日精算3900円
作・演出:倉持裕
出演:村岡希美/池谷のぶえ
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MCR「ぬけ男、恥さらし」

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その男は周りから、「ぬけ男」と呼ばれていた。
通常持ちうる、ある感覚が、その男には無いと思われていた。
だから周りも「ぬけ男」に対して「幸せ」でいられたし、「ぬけ男」もそれで十分幸せだった。
ほんとうは、それが、あるのに。
おせっかいや博愛や純愛がぬけ男のそれを「ぬけていない」と暴き「ぬけ男」と周囲の世界が変わる様や、追い込むつもりも無く追い込んでいた自分や周囲を恨んで、
あげく自己防衛に走る様などを数々の罵詈雑言や愉快な仕草でお送りするおはなしです。
(チラシより)

 5年も書けないでいた小説家がようやく新作を書き始める。題材は愛。愛を知らない男の半生記は、どうやら作家本人をモデルにしているようだ。編集者は、その作品が雑誌に掲載されるかどうかは難しいと言葉を濁すが、そんな言葉が耳に入らないかのように作家は構わず書き続ける。そんな彼の妻は生活を支えるために仕事にでかける。

 作・演出の櫻井智也は主人公の父親役で出演しており、いつものようにいいかげんな男を演じる。そのテキトーな態度と、子供時代の主人公を演じる小野ゆたかの奇妙な演技に惑わされてケラケラ笑いながら観ていたら、ラストは予想外の感動で締めくくられた。

 ずるいよ、くだらないギャグだけのコメディだと思ってたのに、最後にいきなり泣かせやがって。だから櫻井さんの作品は油断がならないんだ。少なくない演劇人が傑作と認めていたのも頷ける。

2013/05/18-15:00
MCR「ぬけ男、恥さらし」
駅前劇場/当日清算3000円
作・演出:櫻井智也
出演:小野ゆたか/諌山幸治/櫻井智也/おがわじゅんや/北島広貴/伊達香苗/堀靖明/田中のり子/津留崎夏子/富永瑞木/ザンヨウコ
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2013年05月03日

石原正一ショー「筋肉少女」

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「アイドル超人の隠し子は女子高生!?」
正義に目覚めたスケバンが
超人女子学園の悪を倒す!!!
(チラシより)

 キン肉マンに登場する正義超人たちの娘たちが通う高校で、密かに潜り込んだ悪魔超人の娘たちの陰謀が渦巻く。そこに転校してきたキン肉マンの娘は、友情パワーで無事に学園の平和を取り戻せるか。あとなぜか主人公はスケバン刑事っぽい。

 初演からすでに十年以上という。あの熱い友情パワーは永遠のテーマだろうが、今の若い子がキン肉マンをどれだけ知っているか疑問だ。そもそもキン肉マンが一世を風靡したのは私が小学生の頃なので30年くらい前だ。どう考えても全盛期のキン肉マンなど知らない歳の観客も多かったが、彼/彼女らはどんな感覚で観ていたのだろう?

 まあ私がそんな心配をする義理はなく、単純に楽しませてもらいましたが。前回観たハリーポタ子と比べるとちょっとキャラに頼りすぎてる印象もあった。あっちの方が書かれたのが新しいので、石原さんの創作力が上がっているということかもしれない。

2013/05/03-15:00
石原正一ショー「筋肉少女」
こまばアゴラ劇場/当日清算2900円
作・演出:石原正一
出演:丹下真寿美/永津真奈/中谷真由美/森口直美/西村朋恵/西分綾香/渡辺綾子/鈴木ちひろ/南勇樹/溝端理恵子/吉陸アキコ/石原正一/中道裕子(東京のみ) /生田朗子(大阪のみ)/
日替りゲスト(東京)/今奈良孝行/オクスリ/吉村やよひとひげ太夫たち/豊田真吾
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