2013年04月28日

PLAT-formance「cut out list」

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チャンスって、逃すまで気づかない物だったりします。
あとから思い返してみて「あ、あれチャンスだったんだ」なる様な、
それが結果、取り返しのつかない事態を招いたら。
いつだって僕らは恵まれていたから、あって当然だと思っていて、
この世に天使がいるとしたら、そんな体たらくにそろそろ
怒っても良いと思います。
チャンスの神様、ストレスで禿げたぞ、つって。
(チラシより)

 天使になるための簡単な試験にひたすら落ち続ける候補生。ちょっと困っている人を幸せにしてやればいいのだ。合格して当たり前の試験にどうして落ち続けるのか彼も試験管もわからないのだが、どうにかして合格させるためにどんどんハードルを下げていく。

 オムニバスだが全体として一貫したストーリーがある、ちょっと珍しい構成。ネタの順序を逆にした反転バージョンもあったようだが、頭のなかではうまく想像できない。

 どうしようもなくダメな候補生を好演していた安藤さんは表参道の会でお目にかかったことがあるものの、PLAT-formanceの作品を観たのは初めて。予想外に客が少なくて驚いたが、丁寧に作り込まれたコメディだった。もっと上手に宣伝、すればいいのにと思う。

2013/04/28-14:00
PLAT-formance「cut out list」
王子小劇場/当日清算2800円
作:オカヨウヘイ
演出:PLAT-formance
出演:安藤理樹/吉田能
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2013年04月27日

風琴工房「おるがん選集3」

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「物語が、始まる」
ひとりぐらしのゆき子は、ある日、公園の砂場で男の雛形を拾う。雛形は成長し、成人の男性のように見えるものとなる。なんの気なしにはじまった雛形との生活は、恋人との関係や、ゆき子自身の生活に浸食し、 恋人とも家族ともいえない関係を切り結んでいく。

「痩せた背中」
今は東京に暮らしている青年は、父親の訃報で故郷に帰る。そこは、父の後妻である美しい女と、父、 三人での忘れえぬ、しかし現在も青年に影を落とす思い出の詰まった場所であった。父の葬儀で、童女に返ったかのような女と青年は再会する。
(チラシより)

 会場となった「アトリエひらや」は閑静な住宅街の一角にあって、どう見ても普通の民家をそのままアトリエにしたとしか思えないが、それはそれでいい雰囲気を醸し出している。そんな場所で演じられる短編ふたつ。いずれも小説を元にした戯曲とのことだが、こんなお話をよく見つけるものだ。

 「物語が、始まる」は、人間そっくりだが人間ではない“雛形”を拾って育てている女性とその恋人の話。「痩せた背中」は数々の女性遍歴を誇る叔父が連れてきた女性と同居していた元少年の話。

 どちらも、よく考えたらかなり突飛な状況設定なのだが、描かれているのはその状況における人との気持ちと振る舞いであり、状況自体はあくまでもお膳立てに過ぎない。そのことは当然と言えば当然のはずなのに、状況設定に酔って人間描写がおざなりになっている作品も少なくないので、これをきちんと成立させていることは作家の力量の高さを示すと思う。

2013/04/27-19:00
風琴工房「おるがん選集3」
アトリエひらや/当日清算2500円
「物語が、始まる」
原作:川上弘美
脚色:詩森ろば
出演:田中沙織/佐野功/根津茂尚
「痩せた背中」
原作:鷺沢萠
脚色:詩森ろば
出演:酒巻誉洋・李千鶴・宍戸香那恵・根津茂尚
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劇団☆A・P・B-Tokyo「青ひげ公の城」

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過ぎゆくものは、みんなうそで、まだ来ぬものは美しすぎる。
(チラシより)

 既存戯曲なので内容は省略するが、フランスの童話である「青髭」の舞台公演そのものを舞台にしたもの。荘厳な演出の舞台と、演劇人の日常のような風景が交互かつシームレスに描かれるため、感情移入する観客をもてあそぶようなところがある。ある意味でいじわるな構成だが、たぶん演劇人にしてみればその辺はすごく味わえるものだろう。

 若干、役者の力量にばらつきが感じられた。いい役者さんはほんの一呼吸でスッと芝居空間に観る人を引き込む。どことなく漂うアングラ臭が、ザムザ阿佐谷という劇場によく似合う作品だ。

 本公演は寺山修司没後30年を記念したシリーズの第一弾で、年内にあと2作品上演するとのこと。

2013/04/27-14:00
A・P・B-Tokyo「青ひげ公の城」
ザムザ阿佐谷/当日券4500円
作:寺山修司
演出:高野美由紀
音楽:J.A.シーザー
画:智内兄助
出演:高野美由紀/斉藤レイ/保村大和/井内俊一/中村天誅/高橋弘幸/川上史津子/杉村誠子/馬場ローア/堀ひろこ/北岡杏唯/辻真梨乃/飯塚美花/羽田萌子/柚木成美/来栖隆文/ステファンシュミッド/たんぽぽおさむ/浅野伸幸
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2013年04月20日

ホチキス「クリエイタアズ ハイ」

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 ダム建設予定地を走るローカル電鉄を潰すために送り込まれたのは、作った企画がことごとく(悪い方向で)現実化してしまい「デスクリエイター」という異名がついてしまったCMクリエイター。彼がデザインしたゆるキャラが突然実体化して暴れまわる。

 完全に小玉久仁子ワールドで、彼女のファンとしてはたまらなく面白かったと言える。しかして彼女なくして成立しない作品なので、作品としてはどうなのか評価しづらい。ホチキス作品としては息抜きのお遊びだったのではなかろうか?

2013/04/20-19:00
ホチキス「クリエイタアズ ハイ」
OFF・OFFシアター/当日清算3500円
作・演出:米山和仁
出演:加藤敦/黒田道久/齊藤美和子/小玉久仁子/松本理史/齋藤陽介/笠井里美/山本洋輔
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2013年04月14日

多少婦人「過大な評価癖」

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 前に観た前々回の「45°」がなかなか面白かったので観にいきましたが、今回は少々ピンと来なかった。断片的には面白いのですが全体としてのテーマが伝わってこない。ナンセンスコメディなのでそんなものは不要なのかもしれませんが、ナンセンスだからこそ何か芯が無いと本当に意味不明になってしまう。

 とは言え、日常の切り取り方は上手だ。ナンセンスと言っても決して絶対にありえないシチュエーションではない。おかしいんだけど現実にあるかもしれないと思えるギリギリの線を走っていて、ほんの少しベクトルを変えれば逆にあるあるネタに転じそうな印象すら覚える。

 こういうゆるーいテンションのコメディは役者さんも却って難しいんだろうな。平田オリザ的な「静かな演劇」とはまた違う静かさで、意外と役者の力量が現れるのかもしれない。

2013/04/14-13:00
多少婦人「過大な評価癖」
OFF・OFFシアター/当日券2500円
脚本・演出:酒井雅史
出演:山本しずか/みかん/小林知未/酒井雅史/筑田大介/平山瑞代/夏見隆太/宮嶋みほい/吉田有里/大浦孝明/葵夏海/佐々木星
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2013年04月13日

世田谷シルク「ブラック・サバンナ」

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僕たちは、気づいたら絶滅種になっていたらしい。
あ、こけた。すりむいた。血が出た。
おい、天然記念物の貴重な血だぜ。丁寧に押えてふき取れや。
って、ハンカチ差し出して心配してくれてたあの人もいなくなっちゃった。
あれれ。みんなどこいったの。マジで絶滅しちゃった感じ?

今日も空がオレンジ色に変わる。
あぁ、僕のことを保護してよ、偉い人。
そうしていつの間にか一人になった。
暗くなっていく平野を眺めながら、ここの孤独はまじできつい。
樹の上にのぼって明日も生きてますようにって願うのは、受験生には酷なんだ。

ため息ついて途方に暮れて、英語のグラマーの本開いたら、こんな言葉が目についた。

Are you happy?
ハッピーじゃねぇ。
(チラシより)

 世田谷シルクは15 minutes madeに参加しているのを観て以来。その時も感じたが、物語よりスタイルがメインな作風を目指しているのだろうか。方向性がいまいち把握できない。

 宇宙から異星人がやってきて、一部の人が避難するためにエレベーターがロケットになってドカーンと飛んで、どこか未開の地に降り立つ。お世辞にも立派とか優秀とかではない人々が織りなす、カオスなサバイバルがメイン。あっけなく死んじゃったりする。

 イメージ的にはサバンナというよりジャングルですが、どっちでも大差ないか。荒唐無稽でナンセンスな話だ。その場その場でなんとなくいい感じの仕上がりになっているところもたくさんあったが、全体を通じてみると結局何だったの?という印象。なにかつかみそこねたのかもしれない。

2013/04/13-18:30
世田谷シルク「ブラック・サバンナ」
アトリエ春風舎/当日清算2800円
脚本・演出:堀川炎
出演:岩田裕耳/高田淳/三嶋義信/荒木秀智/細谷貴宏/木下祐子/大日向裕実/北村美岬/竹浪歩/外村道子/湯口光穂/若林えり/堀川炎
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犬と串「左の頬」

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狂ってるよ!でもカッコいいよ!
(チラシより)

 鈴木アメリと二階堂瞳子が演じる女子高生がダブル主人公の学園もの。どちらも人気者だが心の中では目障りに思っている。そんな彼女たちをとりまくイケメンなクラスメートたちは、ある使命を持って送り込まれていた。彼らと彼女らが互いに翻弄しあい、大騒動を巻き起こす、的な話。

 前々作の「愛・王子博」では権力とタブー破りを描き、前作「さわやかファシズム」では人々の同調圧力をグロテスクに描いていた(と思われる)犬と串ですが、本作で何を描こうとしたのかはちょっと掴めなかった。タイトルは聖書の中の言葉だが、さすがに神の教えを伝えようとしたわけではないだろう。

 歴史上の人物を登場させるなど意味ありげなポイントは感じられるのに意味をとらえられなかった。なにかキーワードがあったような気もするが、消化不良だった印象。

2013/04/13-14:00
犬と串「左の頬」
シアター風姿花伝/当日清算2800円
作・演出:モラル
出演:満間昂平/鈴木アメリ/藤尾姦太郎/堀雄貴/萩原達郎/一色洋平/石黒淳士/宮本初/二階堂瞳子
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2013年04月06日

ブルドッキングヘッドロック「少し静かに」

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 女性ばかりでバンドを組んでいる仲間たちは、メンバーの脱退で揉めている。映像製作を仕事としている男は、仕事場にしているマンションで盗聴をしている。ふたつの部屋を舞台に展開される、「少し静かに」と言いたくもなるにぎやかなお話。

 ちょっと悪いところはあるけれど根っからの悪人ではない人達の話だ。仕事や趣味や人間関係が、全然うまくいってないわけではないが、色々と不満を抱えている。ギスギスすることもある。軽い犯罪に手を染めてしまってる人もいる。でも、ひどく人を傷つけたりするわけじゃない。

 劇的な展開もあることはあるが、物理的な出来事より、渦中にいる人物の心の動揺や鬱屈がものすごく伝わってきて、みんな愛おしくなってくる。ところが終盤では、そんな甘い同情を吹き飛ばすように激しいダンスを見せつける。いやはや、参りました。

 改めて出演者リストを数えてみたら19人も出ていたので驚いた。二つの物語が並行して描かれていることを考えたら妥当な数だが、人の出入りのバランスが上手くコントロールされていたのだと思う。隅々までとてもいい作品だった。

 ところで舞台上に作られた二つの部屋は横ではなく縦に配置されていた。スズナリの舞台は高さがあるためこういう使い方をするのは珍しいわけではないが、実際に組むのは大変だろうと思う。

2013/04/06-19:00
ブルドッキングヘッドロック「少し静かに」
ザ・スズナリ/当日清算3800円
作・監修:喜安浩平
演出・音楽:西山宏幸
出演:山口かほり/福原充則/喜安浩平/永井幸子/津留崎夏子/小島聰/はしいくみ/深澤千有紀/藤原よしこ/寺井義貴/猪爪尚紀/岡山誠/篠原トオル/宮下雄也/帯金ゆかり/根本宗子/星原むつみ/嶋村太一/西山宏幸
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踊れ場「うそつき」

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カルタゴは小さな港町である。
町は手狭ながらも、太陽の光に満ちて明るく、近代的で新しい。
かわりに伝統に裏付けられた厳かな雰囲気や、
計画的に整備された町並みとしての美しさがここには無い。
潮風のにおい。
港には小さな漁船もあるにはあるがあまり多くはなく、商業用の中・大型の船舶が目立つ。
海水には塩分が特に多く含まれているのか、
海岸のところどころで何かの鉱物が白く結晶して堆積している。
潮風はとても乾いていて砂漠に吹く風のようである。
砂漠が大陸を侵食していって、そのまま海にぶつかったような土地。
町は数十年前の戦争から急速に復活を遂げたために、
ところどころ穴の開いたように廃墟を残しながら繁栄している。
「カルタゴ・ノヴァ」はその町の外れにある。
港町が内陸に入って一旦はっきりと終わった辺りに、また逆に内陸から続く砂漠の終わりに、
記念碑のようにポツンとこの店は建っている。
(チラシより)

 荒廃した都市の飲食店に不審な旅人がやってくるところから始まる。じわじわする会話で少しずつ色々なことが明かされていく。戦争があったこと。戦う人造人間のこと。男がかつて暮らした女性を探していること。この店の女性がその人だということ。しかし女性は、その男は別人だと言う。

 ひょっとこ乱舞(現アマヤドリ)の広田淳一が書いて上演した脚本に、ぬいぐるみハンターの池亀三太が惚れ込んで、自身の別ユニットである踊れ場で上演したのが今回の公演。しかも役者と演出を変えて動脈バージョンと静脈バージョンというふたつの作品を仕上げてきた。残念ながら私が観たのは静脈バージョンのみだが、特に静脈っぽさはなかった。

 シンプルな話だけに、演出の工夫で大きく印象を左右できそうな脚本だ。もっと色んな演出家がトライしてみてほしいと思った。

2013/04/06-15:00
踊れ場「うそつき」
RAFT/当日清算2000円
脚本:広田淳一
演出:池亀三太
出演:[静脈Ver.]浅見臣樹/中野あき/植田祥平/坂本梓
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