2013年02月24日

柿喰う客『発情ジュリアス・シーザー』

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ローマ市民からの熱狂的な人気を誇る
凱旋将軍ジュリアス・シーザー。
彼の暴走を恐れたブルータスは
旧友キャシアスらに駆り立てられ
シーザー暗殺を決意する─
(チラシより)

 シェイクスピアの戯曲をすべて女優で演じる「女体シェイクスピア」第三弾。場所は閉館が噂される青山円形劇場。今回も深谷由梨香が主役(ブルータス)、七味まゆ味が悪役、岡田あがさがコミックパートを担当していたが、この辺の主要メンバーはそろそろ入れ替わってもいいのではないかと思われる(配役をシャッフルする乱痴気公演はまたちょっと意味が違う)。まあ、実力も華もあるので仕方ないかもしれないが。

 この作品は原作を読んだ記憶がないので直前にネットであらすじを予習したものの、共和制ローマの政治や社会がどんな様相だったのかイメージを持っていなかったため、いまいち飲み込めなかった。シーザーを暗殺するブルータス達が一体彼の何を恐れていたのかがピンと来ず、なんだかよく判らないうちに熱狂に駆り立てられる登場人物を背後から追いかけるような印象になった。原作がそういう調子なのか中屋敷演出だからそうなったのは判らない。

 円形劇場の使い方は可もなく不可もなくという所で、額縁舞台とは違うものの、円形でなければ不可能な演出というわけでもなかったと思う。対面する花道に沿った動きが中心で、円形を生かしたのはラストシーンくらいではなかったろうか。

2013/02/24-14:00
柿喰う客「発情ジュリアス・シーザー」
青山円形劇場/事前入金4300円
原作:W・シェイクスピア
脚色・演出:中屋敷法仁
出演:石橋菜津美/岡田あがさ/荻野友里/川上ジュリア/七味まゆ味/清水由紀/田島ゆみか/鉢嶺杏奈/葉丸あすか/深谷由梨香/我妻三輪子/渡邊安理
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2013年02月23日

風琴工房「国語の時間」

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どうして私はそこで
恥じいらなくてはならぬのか
おお 悲しき国語の時間よ
(文炳蘭)

 「国語の時間」は、一九四〇年代、大日本帝国の統治下にあった京城の小学校を舞台に、朝鮮人でありながら、日本語を「国語」として教える教師たちの群像劇です。
(チラシより))

 虚構の面白さと歴史のリアリティが調和した見所の多い作品だった。内容が重い上に2時間55分(途中休憩あり)という、小劇場としては長い作品。体力的にはちょっと疲れたが、内容は詰まっており、長すぎるという印象はなかった。

 登場人物はややステレオタイプな人物が多いものの、バランスよく配置されており、ドラマを仕立てる上で許容範囲だと思う。しかし後半明らかになるある人物の正体などは、ちょっと御都合主義に過ぎるのではなかろうか。彼がそんな経歴でなくても十分物語は成立するだろう。

 こういう内容では日本人が悪役として登場しがちだが、本作はあくまでも朝鮮人たちの物語であり、基本的に日本人は登場しない。率先して日本人になろうとする者もあれば抵抗運動に身を投じる者もいる。おそらく現実には、ただ翻弄される人々が大半だったろう。そしてそんな社会情勢にあっても、男女や親子の情、職場の上下関係、師弟の信頼などはしっかりと存在している。その描写がリアルに感じられた。

 歴史上の出来事を扱ってはいるが、似たようなことは現代の日本でも起こっているのではないだろうか。

 ラストシーンでは投石によって学校の窓が割られるのだが、この割れるガラスがプロジェクションマッピングによって表現されていた。この技術は建物の外観を色とりどりに変えるアトラクション的な使い方が最近もてはやされているが、舞台映像として非常に効果的だったと思う。

2013/02/23-19:00
風琴工房「国語の時間」
座・高円寺1/当日清算3500円
作:小里清
演出:詩森ろば
出演:加藤虎ノ介/中村ゆり/松田洋治/峯岸のり子/栗原茂(流山児☆事務所)/佐藤拓之/仗桐安/酒巻誉洋/斉藤悠/清水穂奈美/大政凜
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ヨーロッパ企画イエティ「さらば、ゴールドマウンテン」

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 大阪のどこかの路上にある屋台。「ママなんぼや」「三千万円」。おなじみのボケかと思いきや、日本をハイパーインフレが襲っていた・・・

 ヨーロッパ企画は京都の劇団ですが、コッテコテも大阪をアピールするような演出。現実の政治でインフレターゲットが語られる中、ちょっとした経済解説にもなっていて楽しめました。ああいう屋台で飲んだことはないし新喜劇も見てなかったけれど、とりあえず大阪に帰りたくなりました。

 ヨーロッパ企画の公演でイエティと銘打たれた作品は番外公演的な短編らしく、時間も80分程度でした。ゴジゲンの松井大吾が客演していましたが全然違和感なく溶け込んでいて、最後の挨拶で紹介されるまで客演であることに気づきませんでした。

2013/02/23-13:00
ヨーロッパ企画イエティ「さらば、ゴールドマウンテン」
駅前劇場/事前清算3315円(ぴあ)
作・演出:大歳倫弘
出演:松居大悟/石田剛太/酒井善史/角田貴志/土佐和成/古藤望/山本麻貴
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2013年02月11日

田上パル「あくしゃもん」

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でも、君が信じてるのは僕や君の妄想だろ。
ある雨の晩。森の奥。
この未開の地で結婚式が開かれることになり、多くの者が招待された。
牧師、シスター、近親者、タクシーの運転手、森を訪れた人たちは、すぐさまその場の異様さに気がつく。
そこに居たのは、死んだような目をした変な人たちばかりであった。
この森で一体なにが起きているというのだろうか。
記憶と素性をめぐる15人の追想劇in大自然。
(チラシより)

 ミステリー仕立ての展開だが、なんだか無理矢理な感じがした。謎そのものや解決のされ方もさることながら、一番の問題は状況設定が特異すぎるのだ。色々あって社会になじめなくなった人が森の奥で共同生活していたようだが、今時(かどうか時代設定が語られないが)そんな隠遁生活をしている人々にまったくリアリティを感じられない。

 ただ、所々ミュージカルのように歌い出すのは悪くなかった。ちょっと半端な感じは否めなかったが、あの演出は好感が持てる。

2013/02/11-14:00
田上パル「あくしゃもん」
こまばアゴラ劇場/当日清算2500円
作・演出:田上豊
出演:二宮未来/平岩久資/阿久津未歩/阿部慎一郎/工藤早希子/高麗哲也/佐治静/鈴木燦/立蔵葉子/鶴田理紗/村島智之/森一生/山田由梨/吉川賦志/河村竜也
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2013年02月10日

FUKAIPRODUCE羽衣「サロメvsヨカナーン」

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くちづけを待ってるくちに花を挿す入れ物みたいな女はひとり
(チラシより)

 ミュージカルならぬ妙ジカルと称する音楽的な演劇作品。タイトルはもちろんオスカー・ワイルドの「サロメ」を下敷きにしているのだが、ストーリー展開は全然違う。数組の男女の仲が交錯して描かれるが、名前はみんなサロメとヨカナーンであるという不思議な状態。

 ナンパ男と通りすがりの女性だったり、恋人だったり夫婦だったり、行きずりだったり熟年夫婦だったり。どの組も決して順風満帆とは言えないが、様々な「愛」の形を表現しているようであり、反復される音楽は中毒性すら感じられた。そして3000個のチュッパチャプスを天井から吊り下げるという舞台美術が印象的だった。

 音楽劇なので上演中はとても中毒性を感じる音楽が反復されるのだが、あまりにサラサラとした印象は感覚をすり抜けてしまうようで、少し時間が経つと感想だけ残して音の記憶は消えてしまう。同じようなことを言っている人が他にもいたが、これが意図したことならすごい。でも多分偶然だろう。

2013/02/10-14:00
FUKAIPRODUCE羽衣「サロメvsヨカナーン」
東京芸術劇場シアターイースト/当日清算3200円
プロデュース:深井順子
脚色・演出・音楽:糸井幸之介
出演:深井順子/日高啓介/鯉和鮎美/高橋義和/澤田慎司/伊藤昌子/西田夏奈子/大西玲子/浅川千絵/中林舞/加藤靖久/代田正彦/岡本陽介/ゴールド☆ユスリッチ/藤一平/枡野浩一
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2013年02月03日

「モジョ・ミキボー」

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一九七〇年・夏、ベルファスト 僕らは出逢い、そして別れた
「明日に向かって撃て!」が後悔された1970年のベルファスト。映画の中のブッチとサンダンスに憧れるふたりの少年、モジョとミキボー。
異なる宗教の家庭に育った二人は出会い、越えてはならないと告げられていた橋を渡る。
ギャングの契りを交わし、大人たちの身勝手なルールなんかには従わず、異国オーストリアの大地を夢見てひた走るが、その先にあったものは‥‥。
(チラシより)

 役者二人で17役を演じ分けるという作品で、その演技力というか演じ分けの技量は確かにすごかった。確かにしっかりとキャラクターは描けていた。ある意味、芸達者な役者をめでる一時だった。

 しかし物語としては特別目新しいものでもなかったという印象。深刻な宗教対立のあるアイルランドで別々の宗教の家庭に生まれた二人の少年の物語。実は後半少し寝ていたのでクライマックスを見逃していたかもしれないが、わりと普通の作品だったように思われる。

 Twitterで知人が絶賛していたので観に行きましたが、残念ながらそれほどインパクトはなかったというのが正直な感想です。

2013/02/03-14:00
「モジョ・ミキボー」上演委員会「モジョ ミキボー」
OFF・OFFシアター/事前クレジットカード決済3710円
脚本:オーウェン・マカファーティ
翻訳:平川大作
演出:鵜山仁
出演:浅野雅博/石橋徹郎
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2013年02月02日

はらぺこペンギン「朝日一家の挑戦状」

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愛だけじゃ地球なんか救えません。
現実にこんな奇跡は起こらないと分かっているけど、
絵本の中ならいいじゃない。
これはある一家に訪れる、嘘みたいな奇跡の数々の物語。
ただひたすらに暖かい喜劇です。
(チラシより)

 知的障害のある弟を持つ兄が事故で死んでしまう。天使となった彼は、一度だけ地上に降りることができるという権利を使って、もうすぐ結婚するという弟の住む街に戻ってくるが、他人の体を借りてしか動けない…

 知的障害者を演じるのはかなり勇気と演技力がいると思うが、今回の二人はかなりレベルが高かったと思う。花嫁になる女の子の方を演じた金崎敬江とは知り合いですが、始まってしばらくは彼女と気づきませんでした。

 作業場の人々を中心として天使たちとテレビ局のスタッフたちが絡むという構成は、ある意味ベタかもしれないがスッキリしていて良かったと思う。ただ人数がかなり多くて細かいネタもいっぱい散りばめられているため、ネタを流していかないとお腹いっぱいになってしまいそうだった。

2013/02/02-19:00
はらぺこペンギン「朝日一家の挑戦状」
吉祥寺シアター/当日清算3300円
作・演出:白坂英晃
出演:三原一太/立浪伸一/園田裕樹/川本喬介/村田康二/金崎敬江/辻沢綾香/熊坂貢児/岡見文克/土橋建太/三宅法仁/大竹絵梨/柴田さやか/片山萌美/南綾
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日本劇団協議会「ウェルズロード12番地」

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いつの話なのかは分からない。
とにかくロンドンにある日本食レストラン「有栖川」。
日本食が定着しているので、どこの日本食レストランも地元の人などで賑わうのだが、ここだけは違った。
ロンドンの生活に馴染めない日本人たちの吹きだまりなのだ。
だったら日本に帰ればいいのにと思うような人ばかりが集まっている。

例えば・・・・・・会社をリタイアして夢を追うとロンドンにやって来た中年の男は、
当初の目的を忘れて、サラリーマン時代の自慢話ばかりしている。
他の人達も同じだ。日本でもうまく行かず、そしてロンドンでもうまく行かず。
そんな彼らがなぜここに集まるのか?
傷を舐め合う為か、それとも憩いを求める為か?・・・・・・しかし彼らは見栄の張り合いを続ける。
彼らはここで傷つき続ける。それでも他に行く場所はないのだ。
ああ、ダメな人達の集まる場所。そのレストランはお洒落なノッティングヒルからやや西、ウェルズロード12番地にあった。
そんな中、日本とイギリスの関係が突然、悪くなったようだ。大丈夫なのか?
(チラシより)

 作・演出はMONOの土田英生。女優の割合が多いせいか、MONOの作品とは一味違う仕上がりになっていた。舞台はレストランだが、セットの配置は観客席がカウンターの背後になっていて、店員の背中越しに見る形だ。話の中心がレストランの客達で店員は見守る側なので、これは正しい配置とも言えるが、ちょっと珍しい気がした。

 話の背景はあらすじにある通り。見栄の張り合いを続ける人々の痛々しさがなんとも物悲しくて滑稽だ。ああいうのは同情するより笑い飛ばした方がいいのだろう。店のウェイトレス役を演じた七味まゆ味はお友達なので観に行きましたが、彼女の持ち味は生かしきれてなかったと思う。登場人物で一番「良い人」でしたが、もっと毒々しい役の方が似合ってると思うのです。

2013/02/02-14:00
日本劇団協議会「ウェルズロード12番地」
青年座劇場/当日清算4500円
作・演出:土田英生
出演:柴田義之/藤野節子/椎原克知/広瀬彩/石田登星/笠原浩夫/椿真由美/木津誠之/坂口修一/保科由里子/七味まゆ味/前田聖太/シンシア・チェストン
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