2012年08月25日

十七戦地「艶やかな骨」

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2017年、夏。
渋谷に新設された緑化技術研究センターで、画期的な新種の稲が開発される。

どんな環境でも豊かに実るその稲には、人類に食糧をもたらした女神の名がつけられていた。

一方、日本全国の子どもたちの間で穀物や野菜のアレルギーが急増。
原因究明に奔走する若き研究者は、謎の死を遂げた農学博士の研究論文にたどり着く。

「私は神の骨を見た。白金に輝く艶やかな骨だった」

奇妙な一文が記された論文は、女神の稲と子どもたちのアレルギーを結びつけ、
やがて緑化技術研究センターに隠された秘密を暴き出す。
(チラシより)

 上記の「あらすじ」は前提みたいなもので、演じられた内容はその先の展開。疑惑を追求しようとする青年が研究所にやってくる(というか押しかけてくる)所から物語が始まる。青年に対し研究所員たちは笑って追い返そうとするが、彼の追求によって少しずつ風向きが変わっていく。一人また一人と青年の味方になっていくのは、「十二人の怒れる男」の様な感じだった。

 舞台はずっと研究所の一室というワンシチュエーションで、時々象徴的なアクションはあるものの、大半は会話で物語が進められて行く。短い上演時間に多くの展開を詰め込んだ感じで、特に前半は演技が唐突で大げさなものが多く、なんとも大根な印象を受けた。この調子で最後まで続いたら辛いなと思ったが、幸い中盤から次第にスマートな雰囲気になってきて、後半は納得の行く仕上がりになっていたと思う。

 なお、作品とは直接関係ないが、この劇場備え付けの椅子は座面がまったくクッション性のないプラスチック製で、一時間を超えるとお尻が耐えられない。今回は一時間程度だったからギリギリ大丈夫だったが。

2012/08/25-18:00
十七戦地「艶やかな骨」
ギャラリー・ルデコ/当日清算2000円
脚本・演出:柳井祥緒
出演:北川義彦/柳澤有毅/佐藤幾優/三原一太/宮本敏和/向原徹
※男性版と女性版があったが、私が観劇したのは男性版のみです。
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ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」

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この世のものは全てがゴミ予備軍。
だからみんなゴミくずみたいで可愛い。
丸い地球の上で、跳ねて、踊って、喋って、ゴミになる。
世界を手にしてしまったある男と、
世界の片隅でゴミくずと暮らす人々の地球みたいに回る話。
それが、ゴミくずちゃん可愛い。
(チラシより)

 前作の「愛はタンパク質で育ってる」が少々異質だったが、今回は従来のスタイルに戻った印象だ。生まれてすぐにゴミ溜めに捨てられてそこで暮らす主人公と、その家族的な仲間たち。設定としては「愛情爆心地はボクのココ」と似ている。キュートでポップな演出は安心して観られる。

 世界的大企業の本社前でデモ(?)をするなど時事ネタ的な要素も取り入れてはいるが、あくまでもスパイスであって作品のテーマをそちらに持っていったわけではないようだ。まあ、どう考えてもそういうのが似合う劇団ではないだろう。

 ただ、「愛情爆心地はボクのココ」の時も思ったが、ストリートチルドレンを甘く描きすぎじゃないだろうか。別にリアルさを追求するドキュメンタリーじゃないのだから構わないと言えば構わないのだが、何かちょっと引っかかるものがあった。

2012/08/25-14:30
ぬいぐるみハンター「ゴミくずちゃん可愛い」
王子小劇場/劇場支援会員
作・演出:池亀三太
出演:浅利ねこ/石黒淳士/猪股和磨/竹田有希子/浅見紘至/江幡朋子/川本直人/工藤史子/佐賀モトキ/富山恵理子/橋口克哉/平舘宏大/満間昂平
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2012年08月19日

世田谷シルク「緑の指」

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ある日同棲してる彼氏にニャアンって甘えたら別れようって言われた。
目がマジだったから思わずやだよぉって泣いたら次の瞬間、
トラックが突っ込んできて夜空の星が屋根の隙間からチラついた。
部屋っていうかアパートが大破。

これって事故?借金取り?それとも神さま?

煙がもくもくして辺りは見えないけど、
エンジンの音が怖かったから、やられると思ってどっかにいる彼氏置いてスタコラ逃げた。

あたしはいつものイタトマに入って、
でもお財布持ってないから、席で水ばっか飲んでて、
そしたら優しそうな人が緑化運動しませんかって話しかけてきた。

あたしには今どこにも行くとこがない。

おごってくれたモッツァレラチーズのトマトクリームスパゲティ食べながら
思わずこくんてうなずいてた。
(チラシより)

 あらすじにあるような経緯で主人公が入会することになった団体「緑の指」は、緑化活動を推進することで世界中の子供達を笑顔にしよう、といったことを掲げている。しかしその雰囲気はカルト宗教団体そのもので、案の定、内側の人間関係はドロドロしている。しかし話はそれだけで終わらない。そもそも主人公の身を襲った事故の真相は…?

 世田谷シルクは15 minutes madeに参加していたのを観たことがあり、本公演は初見。ダンスというか群舞を交えてやや幻想的な世界観を表現する手法は少年王者舘やひょっとこ乱舞(現アマヤドリ)に似ている印象だ。いずれもダンスはキレが良くて、観ているだけで気持ちいい。

 物語は少々掘り下げが足りない気がした。なんとなく思わせぶりで伏線ぽいエピソードがたくさんあるのだが、最後まで回収されずに踊ってごまかされたように思う。

2012/08/19-17:00
世田谷シルク「緑の指」
シアター711/当日清算3000円
脚本・演出:堀川炎
出演:下山マリナ/守美樹/堀川炎/岩田裕耳/塚田まい子/野口雄介/和知龍範
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ロリータ男爵「はんぶん隠し味」

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【ストーリー】高齢化を見込んでオープンした姥捨山の頂上に、今もポツンと残る喫茶店“不死鳥”。そこの厨房でシノ子は出汁として働いていた。しかし姥捨山の閉山が決まり、不死鳥も存続の危機に!起死回生のアイデアとして持ち上がったのは、猫カフェとしてのリニューアルオープンだった。
(チラシより)

 ドタバタ・ナンセンスのコメディだが、色々な要素にちゃんと伏線があり、ラストで明かされる物語の真相もなるほどそうだったのかと納得する。もちろんそれでもナンセンスなのだが、じんと来るいい話だった。

 初めて観る劇団でまったく予備知識がなかったが、前回のホチキスに出演していて印象深かった丹野晶子が出ていた。というかこの劇団の人だった。それと犬と串の鈴木アメリも出ていた。鈴木アメリはあまり美人じゃないと思ってたんだけど、この作品ですごく美人に見えた。カニの着ぐるみという衣装だったのに。

2012/08/19-14:00
ロリータ男爵「はんぶん隠し味」
OFF・OFFシアター/当日券3000円
作・演出:田辺茂範
出演:丹野晶子/足立雲平/福屋吉史/清水くん/キジマチカ/鈴木アメリ/佐伯さち子
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2012年08月18日

少年王者舘「累(かさね)」

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 パターン的にはいつも通りなので特筆することはないが、前説からリピートを仕掛けてきたのはちょっと笑った。初めて観る人ならなにごとかと思っただろう。ヨーロッパ企画から客演の中川さんが主役的な位置づけでいじられていたが、王者舘もこういうことするようになったんだなあ。

 ところで少年王者舘の役者さんの顔と名前がいまだに一致しない。いつも舞台で見る顔、いつもパンフレットで見る名前がそれぞれあるのに。写真付きのパンフレットを作ってほしいものだ。

 今回は某劇団の女優さんをお誘いして一緒に観ることになったのだが、人と一緒だとその人がどういう感想を抱いたか、楽しんでいるか気に入っているかがつい気になってしまう。どうやら堪能してもらえたようでホッとした。

2012/08/18-19:30
少年王者舘「累(かさね)」
ザ・スズナリ/事前入金3500円
作・演出:天野天街
出演:夕沈/白鷗文子/虎馬鯨/黒宮万理/ひのみもく/小林夢二/宮璃アリ/池田遼/街乃珠衣/井村昂/中川晴樹/水谷圭一
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ピンク地底人「明日を落としても」

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極限の直射日光ロングショット社会派演劇!
あらすじ。消えちまいたい。と思いながら、眠ったのに、朝、目が覚めたら、やっぱり俺はここにいる。レンタルビデオの返却は今日の午前十時まで今、何時?やべー。もう9時半かよ。さっさと返しに行かないと、延滞料を払う金さえ俺にはねぇってのに自転車がねぇ。誰だ、俺のチャリパクったやつ。ぶっ殺す。周りのチャリを将棋倒しでザマーミロ!って痛ぇ!チャリがこっちに倒れてきて超足痛ぇんだけどふざけんな。俺は足を引きずりながら走る。ビデオ屋への道を。太陽がやばい超あちー。汗はだくだく。煙草の吸い過ぎで息ができない。肺が爆発しそう。マジでもう無理すぐに走る気ゼロでノロノロ歩く。今、何時?9時55分。ギリギリセーフでビデオ屋へ。間に合ったぜやべ。店員の子、可愛い。けど俺の顔面汗まみれ。終わってる。死にたい。え?何?ケースの中身が空だって?マジで最悪。とか思ってたら、今日一日が終わってる。クソったれ・マジで俺って生きてる価値ないわ。消えちまいたい。
(チラシより)
 京都の劇団なので大阪にいた頃から名前は聞いていたが、観たのは初めて。名前はアングラっぽいし実際ストレートプレイではないけれど、とても前向きに作品を作り込んでいる印象を受けた。

 行方不明の息子を探す老母、息子が家を出たことを喜ぶ母親、息子の好物である豚キムチを作ってあげる母親、スキャンダルでも子供を生みたいと願う若いアイドル。困難を極める母と息子の半生を逆回しで描いていく。

 音楽も逆再生。客席が通常と反対側に設営されていたのも逆転を意図していたのかもしれない。そしてほぼすべての効果音を役者達が声で行うスタイルは、最初のうちはちょっと違和感があったものの、慣れてくるといい感じに落ち着いた。これらの演出技法はそれだけに注意すると凝りすぎな感もあるが、何も考えずに観ている分にはとても上手く作品にマッチしており、それ以外にないような気もしてくる。

 余談だが、ピンク地底人2号は何度か笑の内閣に客演しているのを観たことがあり、その時はいかにもコメディエンヌという印象で、役者としての印象は高くなかった。ところが今回は堂々たる女優っぷりを示しており、わーこの人実はすごいんだと感心すると同時に、やっぱり笑の内閣はヘタウマなんだなと納得した。

2012/08/18-14:00
ピンク地底人「明日を落としても」
王子小劇場/劇場支援会員
作・演出:ピンク地底人3号
ピンク地底人2号/クリスティーナ竹子/ピンク地底人5号/ピンク地底人6号大原渉平/片桐慎和子/勝二繁/高山涼/殿井歩/諸江翔大朗/脇田友
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2012年08月12日

電動夏子安置システム「また悪だくみをしているのね」

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私ね、アナタを誘拐しようと思うんです。
(チラシより)

 大きなお屋敷の中で、いくつもの事件が同時進行で起こる。整理すれば発端は3つなのだが、人によって知っていることと企んでいることが違うので会話が噛み合わず勘違いの連鎖が起こり、事態はどんどんややこしくなっていく。

 コメディのパターンとしてはありがちだし、設定がご都合主義的だったり会話が無理矢理だろうって場面も多々あるのだが、それを強引に押し切って文句を言わせないくらい怒涛の情報量。今回は誰が何を知っているのか把握して展開についていくだけでも精一杯な盛り込み方で、最後の最後まで明かされない真相もあり、しばらく反芻が必要に感じるほど濃厚だった。

 複数の部屋をひとつのセットで表現する演出も特筆に値する。普通はセットを少し動かしたり暗転を挟んだりして場面転換を示すものだが、この作品ではそんなせこいことはせず、同時に別の部屋の場面を重なって演じる。このスタイルは初めて見たわけではないが、これだけ多用してしかも見づらくないのは演出技術としてかなりハイレベルではなかろうか。

2012/08/12-19:00
電動夏子安置システム「また悪だくみをしているのね」
シアターKASSAI/当日清算2800円
脚本・演出:竹田哲士
出演:道井良樹/蒻崎今日子/小舘絵梨/じょん/なしお成/横島裕/岩田裕耳/四條久美子/田口愛/高田淳/小原雄平添野豪
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パラドックス定数「東京裁判」

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おそらくあと一時間もすれば、
此処は傍聴人で溢れ返るだろう。
煌々と照らされたその空間の片隅に、
彼ら五人の席がある。

弁護団主任弁護人。
「人類の知る最重刑」
を求刑する検察団を相手に、
彼らは真っ向から勝負を挑む。

個人の尊厳をかけた、言葉の戦い。

1946年、東京、市ヶ谷。
極東国際軍事裁判所本法廷。

祭りの落とし前をつけるべく、
世紀の裁判が開廷する。
(チラシより)

 言わずと知れた東京裁判こと極東国際軍事裁判。その弁護人を務めた五人が、圧倒的に不利どころか勝ち目のまったく無い中で戦う姿を描く。それぞれの過去、役割の意味、なんのために被告を守るのか? 激昂したりシニカルになったり仲間割れしたりしつつ、一矢報いようとする弁護団。

 フィクションとは言いつつ半分は史実を扱っているという点でやや反則ではある。裁判自体は実際にあった話であり、そこに至る経緯は日本人なら(正確には日本で教育を受けた人なら)説明なしで理解できるので、説明はかなり簡略化できる。しかしそれを差し引いて芝居としての完成度だけを見ても、絶賛せざるを得ない作品だった。

 五人がずっと出ずっぱりで机を囲んで会話し続け、暗転もなく、わずかに照明は使っているが音響効果は皆無。この芝居をやりきることは役者として相当に大変だろうが、同時にすばらしくやりがいがあったのではないだろうか。そして、本当に良かった。

2012/08/12-14:00
パラドックス定数「東京裁判」
pit北/区域/当日清算3000円
作・演出:野木萌葱
出演:植村宏司/西原誠吾/井内勇希/今里真/小野ゆたか
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2012年08月11日

ユニークポイント「THE TUNNEL」

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福岡から釜山まで直線距離で約130キロ。両国がトンネルで結ばれたら、車で2時間ほどで韓国に到着!本場の韓国料理を食べて、海雲台(ヘウンデ)のビーチで遊んで、その日のうちに帰ってこられます。「THE TUNNEL」 はそんなトンネルが建設されることになった未来のお話。夢のような話にわくわくする一方、何かを失ってしまうかもしれなくて、ちょっぴり不安です。でも失いたくないものってなんだろう。日本らしさとか、奥ゆかしさとか?伝統とか、風習とか?何だろう?失いたくないものって。欲しいものじゃなくて、失いたくないものについて考えてみる。きっとそれは、どこか遠い知らない場所にあるのではなく、すぐ目の前にあるもの。気付いてさわって、失いたくないって、つぶやいてみればいいもの。
(チラシより)

 日本と韓国を結ぶ海底トンネルの建設を巡って起こる騒動、という着想は面白いが、物語としての広げ方や掘り下げ方は表面的であまり面白くはなっていなかった。トンネルを取り巻く様々な立場の人たちが登場するが、結局“様々な立場の人がいました”という以上の結論は導かれていない。

 なんだか学校で見せられた教育的社会派演劇か、もしくは道徳の教科書に出てくる結論のないエピソードのようだった。あれこれ考えすぎたのではないだろうか。

 釜山の劇団ドンニョクとの共同制作とのことで韓国人俳優も出演しているし、劇団外の客演も多数参加しているようなので、出演者が多すぎてうまくまとまらなくなったのではなかろうか。もっと少人数で論点を絞った鋭い作品が観てみたかった。

2012/08/11-19:00
ユニークポイント「THE TUNNEL」
座・高円寺1/当日清算3500円
脚本・演出:山田裕幸
共同脚本・演出:パク・ヨンホン
出演:明花/宍戸香那恵/古市裕貴/北見直子/久保明美/ナギケイスケ/若林瑞季/石本径代/小林英樹/古澤光徳/金恵玲/渋谷はるか/江バラ大介/栗原茂/原寿彦/野口聖員/福場俊策/齋藤緑/竹原千恵/橘あんり/宮山知衣/ペ・ジンマン/ユン・ヒョンドク/ヤン・ヒョユン
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少年社中「モマの火星探検記」

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きこえますか? このこえが。
宇宙をめぐる2つのストーリーが交差し絡み合い「宇宙とは何か?」を解き明かしていく。

《モマの物語》
宇宙飛行士のモマは、父との約束を果たすために人類初の火星探検に挑む。

「人間はどこからきたのか、なんのために生きているのか」
火星に向かう旅の中でモマはその意味を考え続けていた。

そんなある日、モマの前に「幽霊」が現れる。
驚きながらも奇妙な出来事を受け入れる中で、
モマは少しずつ人間が生きる意味について考えていくのであった…。

《ユーリの物語》
北の国に住む少女ユーリの父親は宇宙飛行士だった。
彼女が生まれる前に人類初の火星探検に旅立ち、帰らぬ人となったという。
ユーリは行方不明となった父親にメッセージを送ろうと、
仲間と小型ロケットを作り始める。
やがて、失敗を繰り返すユーリの前に一人の「幽霊」が現れる。
幽霊はユーリに問いかける。
「宇宙の境界線はどこにあると思う?」
その姿にどこか懐かしさを感じたユーリは、幽霊との対話を繰り返しながら、
仲間たちと小型ロケットを完成させる。

果たして、時空を超え、モマとユーリの思いは交錯するのか――。
(サイトより)

 宇宙に魅入られた親子三代にわたる冒険のお話。基本的に人間ドラマが中心なので科学考証はあまりシビアではないが、宇宙飛行士である毛利衛氏の著作をモチーフにしたとのことで、めちゃくちゃということもない。ミッション中の宇宙飛行士たちが情緒的すぎると思われた程度だ。

 少年社中を観るのはまだ二回目(どちらも友達が出演している)だが、勢いのある舞台はとても心地よい。ただダンスシーンはNHKの子供番組に出てくる「うたのおにいさん」のような印象があった。まさしくそういう演出の場面があったせいかもしれないが。

 決して子供向けの芝居ではないが、ごまかしがないので子供も飽きないようだ。たまたま自分の後ろに小学生らしい兄弟がいて、いちいち感想を声に出して言うのでうるさかったが、芝居が始まるとどんどんその世界に引き込まれていく様子がはっきりわかって面白かった。

 残念ながら火星への有人飛行はまだまだ遠い未来の話でしかないのが現実のようだが、夢を見るのは自由だし、宇宙のロマンは尽きない。すがすがしい観後感を得られる舞台だった。

2012/08/11-13:00
少年社中「モマの火星探検記」
吉祥寺シアター/当日清算3500円
出演:森大/堀池直毅/井俣太良/岩田有民/廿浦裕介/長谷川太郎/杉山未央/山川ありそ/内山智絵/竹内尚文/唐橋 充/松下好/川本裕之/堀口大介/萱怜子/ザンヨウコ/中村龍介/江口愛/篠ア功希/モリマリコ続きを読む:スタッフリスト
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2012年08月05日

笑の内閣「非実在少女のるてちゃん」

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漫画の世界にすむ魔法少女のるてちゃんはある日漫画の神様から人間の世界に行って青少年健全育成条例改正案を止めてくるように命令される。さっそく推進派の阿佐ヶ谷立秀高校教諭津川のもとに行き説得を試みるも失敗し魔法で懲らしめようと思ったが失敗する。実は漫画の神様は魔法にばかり頼って増長しているのるてに言葉の大切さを教えるため、魔法が通用しない人間の世界に派遣したのだ。そうとは知らず途方にくれるのるての前に津川に廃部を命じられた漫画研究会のメンツがやってくる。彼らとともに条例を阻止すべく動き出したのるてちゃん。
果たして彼女の運命は
(サイトより)

 初演時の池袋公演を観たので今回はパスするつもりでしたが、直前に知人と会ってちょっとした理由から再度足を運びました。演出が初演時とは変わっているとのことでしたが、最近の時事ネタを取り入れるなど細かい所は違っていましたが、全体の筋としては変わっていなかったと思います。

 むしろ大きく変わったのは環境でしょう。この作品は「非実在青少年」というキーワードを生んだ東京都条例がテーマ。初演時はまだ成立前でしたが今回は成立から1年以上過ぎています。そのため、あの条例そのものについてはもう諦観になっているのではないかと思いましたが、依然として初演時の熱は持続していたのが印象的でした。

 私が観た回のアフタートークは参議院議員の鈴木寛氏でした。話題は条例そのものよりもっと普遍的な話になっていましたが、とてもためになる話が聞けて有意義でした。

2012/08/05-13:00
笑の内閣「非実在少女のるてちゃん」
こまばアゴラ劇場/当日券3000円
作・演出:高間響
出演:伊集院聖羅/田中浩之/小林まゆみ/上蔀優樹/鈴木ちひろ/中西良友/由良真介/眞野ともき/藤井麻理/谷脇友斗/髭だるマン/高間響/合田団地/浪崎孝二郎/キタノ万里/征木ゆう/向坂達矢
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2012年08月04日

あひるなんちゃら「ニアニアフューチャ」

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西暦2017年、世界はそんなに変わってなかった。でも、ちょっとは変わる?70分。
(チラシより)

 あひるなんちゃらの感想はほとんど毎回同じことを書いている気がするが、今回も「ちょっとだけ未来(5年後)」という半端な設定が大して生かされるでもなく、例によって例のごとくだらだらした会話劇が続く微妙なコメディ。

 前回お休みだった黒岩三佳が復帰したものの、ずっと座って解説しているというややもったいない使い方のが残念。

 ちょうど自分が感激した回はオリンピックのサッカーがある日で客の入りが悪かったらしく、客席に椅子を並べておかずオープンなスペースにしておき、来た人から順に好きな位置に椅子を置いて座るというスタイルだった。以前にもこの劇団でこのスタイルがあった気がするが、悪くない。

2012/08/04-19:00
あひるなんちゃら「ニアニアフューチャ」
駅前劇場/当日清算2000円
脚本・演出:関村俊介
出演:篠本美帆/黒岩三佳/根津茂尚/石澤美和/異儀田夏葉/筧晋之介/三瓶大介/堀靖明/松木美路子/松本哲也
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ミナモザ「国民の生活」

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「私たちはまだ、ショックが足りないの?」
2012年1月、東京の渋谷の近くに引っ越した。 外国人モデルの写真の横に¥999と書かれたH&Mの看板の下で、
大音量の音楽を流して走る広告カーが渋滞を起こしているこの街で、 私はたくさんのものを買った。
木製の大きなテーブル、赤いリュック、コンビニの傘、 1600円もするノンシリコンシャンプー、
アメリカンアパレルのストライプのワンピース、100均のスポンジ、 トマトとモッツアレラチーズのパニーニ、古着のTシャツ、
マニキュア、マスカラ、ファンデーション、ザクロのジュース、ダウニーの柔軟剤、スマートフォン、充電式の掃除機。
全部欲しかったし、全部私を楽しい気持ちにさせてくれた。全部が必要だったかはわからない。
たくさんのモノにまみれながら、私は電気のスイッチを切り、コンセントを引っこ抜く。
この「生活」は何? 「生活」は私たちを守る。「生活」は私たちを殺す。殺される前に、することがある。
今ここにあることと、これからのこと。資本主義と、その罪と、勇気、をめぐるショートピース。
(チラシより)

 四話オムニバス。外貨FX取引の勧誘員としょぼくれたサラリーマンの会話。デートクラブの女と彼女を買ったはずの男。自称詩人のダメ男とその彼女。反原発でもに向かう途上の女性二人。

 作者が“資本主義なんか糞くらえ”という気持ちを込めたとどこかで読んだ気がするが、むしろ、“資本主義に踊り踊らされながら懸命に生きてる人間万歳”といった感覚だろうか。

 タイトルに掲げた「国民の生活」という対象をこういう視点で切り取るセンスはすごいと思う。たしかに今日もこの国のどこかでは、こんな対話が繰り広げられているのだろう。それがドラマになるとは思いもせずに、目の前にいる人に向かって真摯に語りかけているのだろう。

 いわゆる劇的な展開もなく、悪くいえばダラダラと描かれる景色に、それでもある種の愛おしさを感じさせられる奇妙な舞台だった。

2012/08/04-15:00
ミナモザ「国民の生活」
Space雑遊/当日清算3000円
作・演出:瀬戸山美咲
出演:外山弥生/西山宏幸/西尾友樹/藤原慎祐/志水衿子/石田迪子/首藤健祐
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