2012年04月29日

机上風景「BUS DRIVER」

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眠れない夜。
ずっと薄暗い天井を見つめて
いたが、さすがに飽き布団を出る。
部屋の隅には故郷から届いた大根の山。テーブルの上
には一通の手紙。突き刺すような寒さの中、やっとの
思いで着替えると手紙をポケットにねじ込み家を出る。
「なかなか人生が上向いてこない」。頭の中でつぶや
きながら、今日の担当車両ヘ向かう。

あるバス運転士の心の中を見つめる、
机上風景第20回目の物語。
(チラシより)

 田舎町の路線バスのドライバーの夢と回想。乗ってくる客がみんな知り合いというレベルの田舎だ。主人公は一度この町を離れてから戻ってきて運転手になったようだ。田舎の濃い人付き合いがあまり好きではないらしい。そして母親と死んだ兄との関係は複雑で微妙なものになっている。

 運転手の心の声はスピーカーから流れるのだが、本人が舞台上にいるので当然それは録音だ。しかも彼のセリフの大部分が心の声なので、アフレコの逆をやっているような状態。せっかく生身の役者がそこにいるのだから、なんだか勿体無い使い方と感じた。

 私が気付かなかっただけかもしれないが、物語の意味やテーマもあまり明確にはつかめず、かといって単純に面白くて楽しい観劇体験でもない。ラストも特に何かが解決することはなく、モヤモヤした感情を残す。これまでに観た机上風景の作品と違ってすっきりしない印象だった。

2012/04/29-15:00
机上風景「BUS DRIVER」
タイニイアリス/当日清算2500円
作・演出:古川大輔
出演:浜恵美/石黒陽子/長島美穂/平家和典/根津弥生/古川大輔
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2012年04月28日

範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」

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「夢!サイケデリック!!」はタイトルの通り夢の話です。
僕がたぶんずーーーっと前から描きたかったモチーフです。
人類の創世に少し目配せしつつ、何かを圧倒的に喪失している人間が描かれます。
人間の根源的な部分が描きたい、そう、範宙遊泳のやってることはいつもだいたいそういう意思です。
ただ、この芝居は、夢です。夢の再現ではなく、夢そのものです。
俳優の身体と電波から観客が夢を受信した時、サイケなところに行けるかもしれません。
山本卓卓
(チラシより)

 サイケデリックな夢の話ということで、いかにもな展開が続く。先生役の弾けっぷりが好印象だった。最初から夢オチを宣言するようなタイトルはなかなか挑戦的だが、まあこんなものかな、という印象。

 カラフルなオブジェはいくつかあったものの、全体としては素舞台に近く、サイケデリックと言うには少々物足りなかった。ピンポン球を大量に使った演出はなかなかの迫力だったが、視覚的にインパクトがあったのはそのくらい。

 アフタートークでは、山本さんがどんなつもりで作ったかの説明?が聞かれ、なるほどと納得する部分も多かった。しかし本来そういう説明は蛇足だと思うので、説明抜きで伝わってくる・感じられる舞台を期待したいところだ。

2012/04/28-19:30
範宙遊泳「夢!サイケデリック!!」
アトリエ春風舎/当日清算2500円
作・演出:山本卓卓
出演:大橋一輝、熊川ふみ、埜本幸良、山本卓卓、福原冠
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北京蝶々「オーシャンズカジノ」

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日本の未来に、いくら賭ける?
「日本にカジノを!」
カジノ誘致の気運が高まる中、
とある地方都市がカジノ船の運航を開始する。
日本沿岸200海里
―――日本の法律が及ばない洋上で開催される
カジノ・パーティ。
VIP客に紛れ、一人の女の子がカジノ船に乗り込む。
失踪した彼氏を探し出す為に……。
「アンタは私の財産なんだから」
日本を東西に駆け抜けるアクションエンターテイメント!
(チラシより)

 ぬいぐるみハンターの池亀三太が演出を担当とのことで、確かにぬいぐるみっぽい雰囲気のあるにぎやかな舞台だった。しかし脚本は北京蝶々らしく巧妙に構成されており、かなり多いキャラクターもしっかりそれぞれの存在感を示している。

 ギャンブルの話で、ポーカー、ブラックジャック、バカラといったゲームが行われる。もちろん芝居の中なので結果は筋書き通りのはずだが、伝わってくるプレイヤーの熱狂は割とリアルだった。特に、状況がヤバくなってからのヒリヒリした感覚がいい。

 ラストの大勝負、その後のどんでん返しをまったく予想していなかった。よく考えれば予想できたかもしれない伏線がちゃんとあったのに気づかなかったので、実に心地よくしてやられた。

2012/04/28-14:30
北京蝶々「オーシャンズ・カジノ」
王子小劇場/当日清算3000円
作:大塩哲史
演出:池亀三太
出演:帯金ゆかり/森田祐吏/田渕彰展/鬼頭真也/堀越涼/ザンヨウコ/中村早香/岡本篤/浅利ねこ/甘粕阿紗子/亀田梨紗/堤千穂/安川まり/竜史/笹木皓太/飯塚美花/鈴木成美
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2012年04月21日

柿喰う客「絶頂マクベス」

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スコットランド最強の武勇を誇る将軍マクベス!!
邪悪な魔女たちが予言したのは光輝く王位の座!?
欲深い妻に駆り立てられ
現国王の殺害を夢想する─
「ヤっちまおう…
それで何もかも
終わりだ…!!」

女優たちによる
シェイクスピア上演プロジェクト第2弾!!
“絶頂”を目指す泥沼の下克上、ここに解禁!!
(チラシより)

 女体シェイクスピア第二弾。男装の麗人が独特のリズムでキメるスタイリッシュな舞台。第一弾のハムレットはシェイクスピアの悲劇で一番長い作品だったのに対してマクベスは一番短いが、柿喰う客はどちらも同じくらいの長さにまとめている。

 勇敢で忠義に篤いマクベスが、三人の魔女にそそのかされて主君を殺して王位を簒奪するが、結局は殺されてしまう悲劇。山が動かなければ大丈夫とか女の股から生まれた者には殺されないという魔女の言葉をほぼトンチみたいにクリアする所と、婦人の悪女キャラが有名だろう。

 有名な部分をどのように演出するかは当然注目されるが、そこは意外とあっさり片付けられていた。特に婦人の描き方はアフタートークでも質問されていたが、やはり重要なポイントだけにあえて軽く描いたそうだ。しかし私としてはマクダフが帝王切開を明かす場面がなんとなく手抜きな印象だった。

 そして、主役の深谷由梨香は確かにいいんだけど、ハムレットも彼女だったので今回は別の人でも良かったのではないかと思う。乱痴気公演ではなく本役で。

 とは言え、ラストシーンで勢揃いした出演者が見得を切るところは、安直なんだけどやっぱりゾクゾクした。かっこいい舞台だ。

2012/04/21-14:00
柿喰う客「絶頂マクベス」
吉祥寺シアター/事前入金3000円
原作:W.シェイクスピア
脚色・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味/深谷由梨香/葉丸あすか/内田亜希子/岡田あがさ/荻野友里/小野ゆり子/きたまり/葛木英/斎藤淳子/佃井皆美/新良エツ子/藤沢玲花/我妻三輪子/渡邊安理
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2012年04月01日

中崎町ミュージアムスクエア「NMSグレイテストヒッツ」

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 大阪コモンカフェにて2カ月に1作のペースで上演されていた、石原正一ショーの中崎町ミュージアムスクエア。それを10本まとめて東京に持ってきたのがグレイテストヒッツ。残念ながら転勤を控えて多忙だった時期のため1作しか観られませんでした。

 無理矢理時間を作って観に行ったのが「神様それではひどいなり」。悪い芝居の山ア彬が脚本を書き石原正一が演出、出演は石原正一と突劇金魚のサリngROCK。これは脚本も演出も演技も秀逸だったと思います。

 かわいい女子と貧相なおっさんの恋話‥‥と思いきやまさかの恐ろしい裏。切ないというか怖いというか、ラスト間際、彼が彼女を殴るシーンは涙が出そうでした。

2012/04/01-14:00
中崎町ミュージアムスクエア・NMSグレイテストヒッツ「神様それではひどいなり」
こまばアゴラ劇場/当日清算3000円
脚本:山ア彬
演出:石原正一
出演:サリngROCK/石原正一
posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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