2012年01月28日

テアトル・ド・アナール「ヌード・マウス」

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ある日俊哉はため息をもらした。自分が自分じゃない気がした。「人間、いつ穴に落っこちるか、ホントわかったもんじゃない」ある日とつぜん脳に損傷を受けた沙智は、忘れていた。"恐怖"という感情を失った。「ビリヤードの玉、こいつと一緒だ」そして沙智は、十数年ぶりに父と再会する。脳科学者の父、母を捨てた父。「どこに転がるか、わからない。わからないように見えていて、すべて決まっている」二人は気持ちを壊したまま、迂闊な距離の詰め方をする。「姉さんの頭の中には、何がどう転がってるんだ?」
(チラシより)

 ずっと生き別れになっていた父と息子と娘。娘が結婚の報告のために二人で父の研究所を訪れる。感慨はあるような、ないような。そして娘が交通事故によって脳を損傷。「恐怖」を失い「欲望」が止まらなくなった彼女はすっかり変わってしまう。そんな彼女を取り巻く、夫と、弟と、父と。

 [娘/姉/妻]役を演じた佐藤みゆきが大好きなので観にいった。骨太な4人芝居。舞台となる研究所の一室は、実験用のマウスを入れたガラスケージに囲まれて中央になぜかビリヤード台。演出は総じてクールであり、登場人物が少ない点も含めて好みの作品ではある。

 ただ、この作品で描かれているのが何で、脳の損傷を柱に据えた展開をなぜ選んだのかは、あまりピンとこなかった。家族の関係性とか人格の本質とか社会との距離とか、こういうことかなという候補はいくつか思いつくのだが、正解は作・演出の谷さんしか知らないのではなかろうか。

 ビリヤードはしばしば運命の物理学的解釈を説明するのに使われる。最初のショットの瞬間に玉の動きは決まる。本作でもそういうセリフがあったような気がするが、玉を抜いたら予測できなくなるという問いかけは少し斬新。自分の人生のビリヤードからも、玉をひとつかふたつ抜きたくなる時があるのだよね。

2012/01/28-14:00
テアトル・ド・アナール「ヌード・マウス」
赤坂レッドシアター/当日券5000円
作・演出:谷賢一
出演:大原研二/佐藤みゆき/増田俊樹/山本亨
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2012年01月22日

The end of company ジエン社「アドバタイズドタイラント」

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 前回公演と同じくd-倉庫で、社会が崩壊しつつある状況下の話。“不謹慎”な広告を作ったことの謝罪会見をする予定だったアーティストと広告会社の社員。しかし東京は大災害に見舞われていて、それどころではない。被災地へ向かう男女の物語が重なる。

 主人公?の広告会社社員を、三人の俳優が演じる。一人三役ではなく三人一役。しかも場面によって交代するのではなく、同時に三人が出ているという斬新な演出。さらに同時に喋ったりすりから舞台上はものすごく密度が濃くなっている。

 そしてこの男だけでなく登場人物が全体に常に同時発声状態で、全部を聞き取るのは困難なほど。同時発声と言えば平田オリザが思い起こされるが、彼の作品のように「リアル」としての演出ではなく、意図的に混乱というか喧騒を作り出すためのものだと思われる。

 話の筋とか状況を追いかけるだけでかなり疲労するが、しかし心地よい疲労感だ。あざとい手法なのかもしれないが、少なくともこの作品においては成功していたと思う。個人的にな好みの舞台だった。

2012/01/22-18:00
The end of company ジエン社「アドバタイズドタイラント」
d-倉庫/当日清算2800円
作・演出:作者本介
出演:伊神忠聡/大重わたる/岡野康弘/小見美幸/川田智美/菊沢将憲/北川未来/清水穂奈美/時田光洋/三嶋義信/松原一郎/善積元
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桃尻犬「乳首鎹」

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お寺が実家の青年が、
兄が死んでそのお通夜とお葬式のために実家のお寺に帰省した先で
昔、乳首を愛撫しあった間柄の幼馴染の女性と再開し、
お寺の跡継ぎ問題や
お金の問題、檀家の問題とか話しながら、
死んでしまったお兄ちゃんの事を思い出す
乳首が紡ぐお話。
(チラシより)

 とても面白かった。ゲラゲラ笑った。とてつもなく下らない、荒唐無稽でメチャクチャな展開、意味不明なオチ。何か深遠なテーマがあったとしても全くどうでもいい。何あのドロドロ。

 学生演劇みたいにガチャガチャした構成で、悪ノリとしか思えない展開。好き嫌いは別れる作品だろう。しかし演劇の技術としては決して低いものではなく、十分な技術を持ってバカをやっている印象だった。特にすごかったのは堂本佳世。何者なんでしょうあの人は。

2012/01/22-14:00
桃尻犬「乳首鎹」
王子小劇場/当日清算2000円
作・演出:野田慈伸
出演:成瀬正太郎/糸山和則/渡邉晋/前原駿哉/我那覇ひろの/中野のぞみ/堂本佳世/野田慈伸
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2012年01月21日

劇団うりんこ「お伽草紙/戯曲」

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瘤取り、浦島さん、カチカチ山、舌切雀…誰もが知っているおとぎ話を
かの太宰治は独自の視点でユーモア、皮肉たっぷりに描きとりました。
防空壕で父が子に語り聞かせたおとぎ話の数々、現代人には奇想天外、驚愕斬新。
(チラシより)

 古来からのお伽話を元に太宰治が書いた小説をベースとしてさらに戯曲化した舞台。色々な話をシームレスに繋いで全体が構成されていた。装置類はシンプルに見えてよく作り込まれており、照明と音響も出しゃばらずポイントを押さえた演出。とても渋い職人芸のような作品だった。

 こういう翻案では現代風に脚色されることが多い気がするが、本作ではあくまでもお伽話らしい昔っぽさが生きていた。所々、それこそ太宰治の時代くらいには近代化された演出もあったので、小説の段階では“現代化”されていたのかもしれない。しかし今観る分には十分にお伽話であり、夢のような幻想世界に引き込まれた。

 劇団うりんこの作品を観劇するのは2回目。ここは名古屋の劇団で、その名もうりんこ劇場というハコを持っている。かなり昔に一度行ったけれど、それは劇団うりんこの芝居ではなく、観たのは東京だった。客入れの最中におじいさんが一人でしゃべっていて、こてこての名古屋弁でうりんこ劇場の昔話をしている。そして時々居眠りをする。その導入が実に心地よかった。

2012/01/21-14:00
劇団うりんこ「お伽草紙/戯曲」
KAAT/事前入金3000円
原作:太宰治
戯曲:永山智行
演出:三浦基
出演:内田成信/越賀はなこ/丹羽美貴/高田博臣/牧野和彦/にいみひでお/藤本伸江/和田幸加/花山ヨージロー
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2012年01月14日

ガレキの太鼓「吐くほどに眠る」

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ひざまずいて許しを乞えば、どこから始められるだろう
私が何かをやったとて、誰に関係なんぞある
あなたが何かをやったとて、私の目には入らない
泣いてしまえというなら、その方法を教えてほしい
弱音を吐けというのなら、全て受け入れてくれるのかい
甘えるなと君は言う
強く生きろと君は言う
ならどうぞほっといて
どうか私をほっといて
お願いだからほっといて
ガレキの太鼓、女だらけの人間賛歌
1年半ぶりの再演
肩を震わせ泣いたあの子の、人生の物語
(チラシより)

 一人の女性が自分の半生を語っている。物心ついてからずっと大好きだった兄、バンドをしていた高校生時代、恋人と結婚と、母との確執、楽しい時間と辛い思い出。悪い人は出てこない。弱い所やダメな所はあっても真摯に生きていて、みんな彼女を大切にしてくれる。にも関わらず彼女は不安定になってしまう。その前に彼女の兄がどうかしちゃったわけだが。みんなして自分を責める姿は痛々しい。

 出演者は女性ばかりで、膨大な数の衣装を舞台上で次々に着替えていく。この発想は女性的だなと思った。そして男性を演じる時はおかめやひょっとこのお面を付けていたのは、男の滑稽さを示すものだろうか。ごちゃごちゃしているようで良く見ると衣装以外はシンプルで黒い舞台装置は全体の印象を引き締めていて良かった。

 個々のエピソードはいずれも面白くて味わい深い。ただ、作品全体として伝えたいものが何だったのかイマイチ掴めなかった。彼女の人生をただ語りたかったのか、その苦しみと幸せを讃えたかったのか、それともミステリーじみた裏があったのか。ひょっとしたら私が気づかなかったポイントがあったのかもしれないが、いずれにせよ消化不良だった。多分、何か見落としてると思うのだけど。

2012/01/14-18:00
ガレキの太鼓「吐くほどに眠る」
こまばアゴラ劇場/当日券3000円
作・演出:舘 そらみ
出演:井上三奈子/北川裕子/小瀧万梨子/橋智/富田真貴/南波早/由かほる/吉田紗和子
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2012年01月12日

東京の小劇場スケジュール 2011年集計

 「東京の小劇場スケジュール」の掲載公演を分析しました。

 まず、このサイトの掲載対象は「東京とその周辺で上演された、一般当日券が5000円以下の演劇公演」です。学生劇団の学内公演は原則除外していますが、大学内の常設劇場での公演は学外公演と同様に扱いました。ダンス公演やリーディング公演については基準が曖昧ですが、基本的に前者は除外、後者は掲載しています。

 具体的な掲載内容はアーカイブにしてありますので、興味ある方はご覧ください。
「東京の小劇場スケジュール 過去ログ2011年」

 2011年1月1日から同12月31日までに初日を迎えた公演は、2738件でした。各日付についてその日が上演期間に含まれる公演の数を合算したのべ公演日数は13353日であり、平均上演日数は4.9日です。ただしこれは非対称な分布のため平均値は中央値より上にずれていることに注意が必要で、5日以下の公演は全体の73%を占めています。

 公演ごとの上演日数で最も多いのは5日間で、3日間と4日間がそれに続きます。14日間以上の公演は全体の2%で、小劇場でのロングランはまだ極めて少ないと言えるでしょう。なお、飛び石的な公演はばらしてカウントしている(例えば土日だけの公演を4週間くりかえす場合は2日間の公演を4回とカウントしている)ので、このタイプのものをロングランとみなすならもう少し増えますが、微々たるもので大勢に影響はないと思われます。

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 月別の集計は、日付ごとの上演数を合算した「月別のべ公演数」と、その月に初日を迎えた公演を数えた「初日月別公演数」の二種類で集計しましたが、どちらも11月前後が多く1月と8月が少ない傾向です。

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 曜日別では当然土日が多く、最少は火曜でした。なお祝日は考慮していませんので月曜はもう少し多いかと思いましたが、意外にも火曜の次に少ない結果でした。ちなみに2011年は土曜で始まって土曜で終わったので、土曜のみ53日、他は52日ありました。

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 最後に、初日と楽日の曜日を集計しました。楽日が極端に日曜に集中しているのは予想通りで、全公演の67%が日曜を楽日にしています。初日は金曜が最多で、水曜と木曜がそれに続いています。
 よく見ると、初日の曜日のグラフの形が上演日数別公演数と似た形になっていることがわかります。これは、まず日曜を楽日に決めてから公演日数を逆算して初日が決まっているからだと考えられます。

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2012年01月08日

本当に悪い芝居「猿に恋〜進化Ver〜」

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何 を 隠 そ う た だ の 原 始 時 代 ご っ こ
芝居を観よう。悪い芝居を観よう。どうせ観るなら本当に悪い芝居を観よう。
昨年、砂の上で暴れまわり 京都限定で上演された、あの伝説の原始口語演劇が、
新春まさかの駅前劇場へタイムトラベル!
全編身体を元にした理解できない"コトバのようなもの"で進行し、
無声劇のような ダンスのような 原始人ごっこのような 歴史教育番組のような
圧倒的なカタルシスと 理解出来ないいらだちが駆け抜ける!!
マンモス! イエイ!
石器! イエイ!
土器! ワオ!
稲作! ゲッチュ!
2012年、観劇初め、基準作品に是非どうぞ。
(チラシより)

 言葉を使わないいわゆるノンバーバルパフォーマンス。ウーウー言いながらじゃれあっていた原始人の集まりが、物々交換をするようになり、やがて稲作や野球みたいなゲームをしたりとだんだん進化して、最後は一気に現代人になっていく。ある程度文明が生まれてからは喋りだしていました。

 ノンバーバルっていうのは言葉を使える人が言葉に頼らない表現を試みるものであって、そもそも言葉を持たない原始人の演技は違うんじゃないのかという疑問もありますが、身体だけで一応の展開を表現していた役者は頑張っていたと思います。

 とは言え、主催の山崎さんを始めとする悪い芝居のメンバーがこの実験的作品で何を目指していたのかについては、イマイチよくわからなかったというのが正直な感想で、そのためどういう視点でこれを評価すべきかもわかりません。言葉を使わない方がよりよく伝わるものがあるという観点があるなら、それは何だったのでしょうか。

2012/01/08-19:00
本当に悪い芝居「猿に恋〜進化Ver〜」
駅前劇場/当日清算2000円
作・演出:山崎彬
出演:池川貴清/畑中華香/大川原瑞穂/植田順平/宮下絵馬/呉城久美
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ぬいぐるみハンター「軽快にポンポコと君は」

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故郷を取り戻すため彼らは何百年も前から計画を立てていた。
今がそのとき!地球がグルッと激しく動いて世界の歴史が変わるとき、
遥か遠くから彼らの軽快な「ポンポコ」の叫びが聞こえた気がした。
壮大なスケールで描くまぬけなポンポコ劇。
(チラシより)

 テンポ良く進む展開とノリノリなダンスでワクワクさせてくれるスタイルは相変わらず楽しい。手前で二人が会話している時に奥で残りの役者が並んでダンスしているという演出のはまり方はピカイチの劇団でしょう。前回や前々回の王子小劇場に比べるとやや狭いためシンプルなセットになっていましたが、その分人数が少なくなっていたのでちょうど良かったと思います。

 ぬいぐるみハンターを観劇するのは本公演が3回目、15 minutes madeの短編を含めて4回目。いずれもワチャワチャした賑やかな演出でありながらストーリーは意外と重かったり切なかったり。終わった後はふとお祭り後のような寂しさを感じたりします。このバランスが憎いところ。

 今回はクーポン役を演じた浅利ねこがとても可愛くてツボだった。タヌキメイクの顔も可愛いけど、何よりあの動きがいいね。それこそペットにして眺めていたくなりますよ。

2012/01/08-14:30
ぬいぐるみハンター「軽快にポンポコと君は」
OFF・OFFシアター/当日清算2500円
作・演出:池亀三太
出演:神戸アキコ/浅利ねこ/石黒淳士/浅見臣樹/本山歩/森崎健吾/山口航太/本井博之/なすび
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2012年01月07日

あんかけフラミンゴ「俺という宗教、女神のSEX」

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「別れよっか」 「それ本気で言ってる?」
仕事なくして怖くなって、彼女から逃げたい。
出家しよう、セックスフリーの宗教に。
「慈しみなさい。愛しなさい。」逃げてよかったガハハハハハ
ある日、彼女がその宗教を訪れた。
来んなよ・・・へこむわ・・・けどちょっと勃起。
(チラシより)

 あんかけフラミンゴは慶応の学生劇団から派生して今回が旗揚げ公演。メンバーは全員が学生というわけではないようですが、作風はいかにも学生劇団という印象のガチャガチャした賑やかなお芝居でした。宗教とセックスという切り口でエログロさを表現するのはありがちかなあ。小劇場界の内輪ネタも織り交ぜて笑いを取るのは、客層が大体その界隈の人だからでしょうか。

 脇役だがかなりキレてる信者を演じた小林さんがなかなか面白かった。特権的肉体というには貧弱だが、あの役はあの体じゃないとできない気がする。他の役者も総じて若いためか、ダンスの動きのキレは良かったし、お尻を出す場面ではプリッとした肌に若いなーっと思いました。

 しかしエログロな演出という面ではまだ吹っ切れてない感じで、題材として使ってはみたものの、標準的な発想を超えた表現には至ってなかった気がします。というかセックス宗教とか金集めのカルトってわりと使い古されたネタだよね。いまさらそういう題材を使うならもっと新しい展開を持ち込むか、観ていて吐き気がするくらい生々しく描くなどしてほしかったと思います。

 また、前半(真っ黒の章)と後半(真っ白の章)でほぼ同じ場面を視点を変えて演じ、後半がいわば種明かしになっているタイプの演出手法をとっていました。しかし、この方法はもっと短い作品(トータル1時間以内)には良いものの、1時間50分という本作では間延びしてしまってインパクトが薄くなると思われます。さらに後半で明かされる裏側が前半でだいたい予想できてしまうこともあり、やや残念なものとなっていました。

2012/01/07-19:00
あんかけフラミンゴ「俺という宗教、女神のSEX」
しもきた空間リバティ/当日清算2000円
作・演出:島田真吾
出演:小山沙織/島田真吾/大山修一郎/熊谷利大/小林光/近藤伸哉/笹木皓太/椎谷万里江/村上淳也/山田佳奈/竜史
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TOKYO PLAYERS COLLECTION × ギグルTV「全 員 彼 女」

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次の朝、目覚めると
僕の彼女が増えていた。

ある夜、彼女が泊まりに来て、次の朝目覚めると彼女が増えていた。
その日から、僕と増えた彼女(たち)との共同生活が始まる。
若い君、大人の君、一途な君、嘘をつく君。どれも本当の君なの?
やがて彼女(たち)は僕に告げる。「話があるの」と。
(チラシより)

 マンガかアニメみたいな設定ですがストーリーはむしろ恋愛モノの王道に近い気がしました。主題はあくまでもカップルの気持ちと行動であって、彼女が増えたというのはそのための小道具に過ぎません。荒唐無稽なファンタジーかと思ったらものすごくシビアな現実を観せられたような舞台でした。

 「彼女」の人格の様々な側面が独立した5人に分裂して、どの彼女が好きなのか…みたいな話を想像していましたが意外にそうでもない。分裂じゃなく増殖というか、「増えたらもっと一緒にいられると思った」とセリフにあるように、付き合い方の理想として増殖を試してみたような感じ。それでやっぱり一人がいいと思って戻ったり、もう一度増殖してみたり。それで彼氏の本音を探るような。

 前半で普通に演じられた場面が、後半で心の声を重ねて再度演じられる。実はあの時こんなことを考えてたんだ、という種明かしのような演出。これ自体は珍しいわけではないが、脚本を書いたのが男性でありながら女性の心の声を描いているところがスゴイなあと思いました。上野友之はきっと半分女性に違いない。

2012/01/07-14:30
TOKYO PLAYERS COLLECTION「全 員 彼 女」
王子小劇場/当日清算2500円
脚本・構成・演出:上野友之
出演:加藤岳史/黒木絵美花/小鶴璃奈/近藤瑞季/冬月ちき/三谷有紀/安川まり/安田友加/李そじん
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