2011年12月26日

中野成樹+フランケンズ「ゆめみたい(2LP)」

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違う、違わない、それはどうでもいい
(チラシより)

 内容はシェイクスピアのハムレット。演出は凝っているが話の筋は変えていない。舞台中央に客席中段まで続く大きな壁を設け、基本的に観客はどちらか半分しか見えない。後方座席なら両側が見えるものの距離が遠くなる。私にな初めての経験だったが、当日パンフレットによると中野成樹の「はんぶんみえない三部作」なのだそうだ。

 確かに、半分が見えないことによって全部見える場合とは異なる面白さがあった。単純な作品にひねりを加えるといった所だろう。最初から半分しか演じないのではなく、観客自身が反対側の座席を選んでいれば見えたはずのものが見えないからこそモヤモヤが生まれ、それが演出効果になっている。とはいえ、それがどのくらい意義のあることかは疑問が残る。

 演出自体は、大仰なセリフ回しを排して現代風の軽いノリにしている感じだ。この辺はどうしても最近観た柿喰う客の「悩殺ハムレット」と比較してしまう。柿喰う客が現代風の言葉でありながら劇的な演出だったのに対し、今作は本当に軽かった気がする。この演出意図がどこにあったのか聞いてみたいところだ。

2011/12/26-19:30
中野成樹+フランケンズ「ゆめみたい(2LP)」
アルテリオ小劇場/当日券3500円
誤意訳・演出:中野成樹
翻訳:長島確
出演:村上聡一/福田毅/竹田英司/田中佑弥/洪雄大/野島真理/石橋志保/斎藤淳子/小泉真希/北川麗
トロンボーン:後藤篤
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2011年12月25日

芝居流通センターデス電所「STRIKE BACK 先輩」

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こうなったらおしまいだ!
人間の尊厳が半減どころか
根源から毟り取られる!
先輩がやってくる!
鼻歌交じりでやってくる!
逃げろ!身を隠せ!電気を消せ!
地元から飛び出せ!
(チラシより)

 デス電所の公演は約2年ぶりに観たが、前回観た「急襲キルフィールド」と同様、とにかく人が死にまくる凄惨で狂気じみた話だ。先輩は殺人鬼といっても自分では手を下さず、あれこれもっともらしい理屈をつけて後輩たちに殺戮を強いていく。本人が暴れるわけでない分、却ってタチが悪いだろう。地味に嫌な気分になる人物だ。だがこの役を演じた今奈良孝行、実にはまり役だったと思う。

 しかし「急襲キルフィールド」の後半があまり意味があると思えない殺戮の連続でだんだん飽きてきたのに対して、今回は最後まできっちり納得のいく展開で面白かった。主人公の幻覚と現実が交錯し、最終的には全部悪い方向に進んでいる感じだが、完全にバッドエンドにも関わらず妙に爽快感があった。

 今奈良孝行と同様に客演の正統派美人女優・葛木英は鎖で繋がれたダサい格好で現れるが、やはり美人だ。しかしラスト近くの格闘シーンで妙にギクシャクした動きだったのはわざとだろうか?その方が可愛いけれど、もっと華麗に舞うように戦ったら最高にかっこよかったと思う。

2011/12/25-14:00
芝居流通センターデス電所「STRIKE BACK 先輩」
ザ・ポケット/前売券3500円
作・演出:竹内佑
音楽・演奏:和田俊輔
振付:豊田真吾
出演:今奈良孝行/山村涼子/田嶋杏子/丸山英彦/豊田真吾/福田靖久/浅見紘至/羽鳥名美子/葛木英/吉川莉早/四宮章吾/根田亜夢
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2011年12月24日

こゆび侍「うつくしい世界」

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ぼくは、しあわせものだなぁ
とあるところに『ふうせんにんげん』という男の子がいました。それはそれはかわいらしい男の子で、みーんな、ふうせんにんげんのことが、大好きでした。
しかし困ったことに、ふうせんにんげんは、好意的なことばをかけられると体がふくらみ、やがては破裂してしまうのです。ふうせんにんげんには彼女がいました。彼女は毎日、めいっぱいの愛をこめて、思いつく限りの口汚いことばで彼をののしります。彼女にののしられながらも、ふうせんにんげんは思っていました。
『ぼくは、しあわせものだなぁ』
これは、ふうせんにんげんとその彼女を取りまく、いびつな世界のものがたりです。
(チラシより)

 この劇団の公演を見るのは二回目。前回公演「Sea on a Spoon」がかなりツボだったで今回も足を運びました。前作は序盤にファンタジーかミステリーのような部分があったものの話の中心はシリアスな現代劇でしたが、今回はほぼ全編を通じておとぎ話でした。ただ、“世界が汚染されて空気が配給制になってしまった”という設定は、恐らく現実の何かを暗示するものでしょう。

 なんとなく雰囲気は良いのですが、ファンタジーとしては状況設定が理解しづらかったりブレを感じる部分が多く、ちょっと残念でした。ふうせんにんげんである少年は、好意的な言葉をかけられると膨らみつつ空気を作り出すということなのですが、誰に言われても起こるような話だったのに実は特定の(本当に愛情を持っている)相手からでないと効果がなかったり、そもそも空気も普段からずっとボンベ状の容器から吸っているわけでもないなど、やや設定の細部に甘さを感じました。なによりラストがどうしてああなったのか全くわかりません。

 いい話だとは思うのですが、そういう設定の詰めが甘いと気になってしまって感情移入しきれませんでした。そして佐藤みゆきは乞食の役を演じていて、それはそれで立派だったのですが、なんであえて彼女にその役をやらせたのかがちっともわかりません。勿体無い。まあこれは完全に個人的な思い入れなんですが。

2011/12/24-19:00
こゆび侍「うつくしい世界」
サンモールスタジオ/前売券3300円
作・演出:成島秀和
出演:廣瀬友美/佐藤みゆき/福島崇之/浅野千鶴/浅川千絵/猪股和麿/小石川祐子/古賀裕之/笹野鈴々音/永山智啓/宮崎雄真
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2011年12月23日

チェルフィッチュ「三月の5日間」

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六本木のライブハウスで知り合い、渋谷のラブホテルに5日間居続けることになったミノベとユッキー。
ミノベの友人で、少しばかり電波系の少女ミッフィーと映画館で出会うアズマ。
渋谷の街を更新する反戦デモに「ゆるい」感じで参加するヤスイとイシハラ。
2003年、アメリカ軍がイラク空爆を開始した3月21日を間に挟んだ5日間における、数組の若者たちの行動を語る戯曲。
2004年に初演を迎え、2005年第49回岸田國士戯曲賞を受賞。その後、13カ国27都市をめぐり、公演回数100回を超えた。
「戦争」という巨大な出来事と、些末でリアルな日常を巧妙に対比させ、
日本の若者たちの、とらえどころのない現実感を見事に構造化した本作が、初演から7年を経たいま、
我々の目にどのように映るのだろうか。
(当日パンフより)

 2007年12月に大阪の国立国際美術館で上演されたのを観たので今回は観ないつもりだったが、終了間際に急に思い立って、KAATの千秋楽を観てきた。役者は変わっているが基本的な演出は同じ。その日に起きたことを語ったり演じたりして説明して行く。役者が登場人物を演じるという演劇の常識を破った表現のスタイルは今観ても新鮮だ。新鮮に感じるということは、そういう手法が今も一般化はしていないからで、ある意味一発ネタだったと言えるかもしれない。一発ネタで7年も続けられるのは凄いことだろう。

 もちろん話の舞台は2003年から変わっていないので、語られる内容は過去のものになっている。ただ心配したほど古くはなっていなかった。若者の喋り方は今も大差ないし、具体的な時期と場所を特定した話であるからこそ、古びていかないのだろう。この話は「イマドキの若者の話」ではなく、「2003年3月の東京の若者の話」なのだ。10年後に上演したってやっぱりそれは変わらないだろう。いや、下手に話題をいじって(例えばデモの内容をイラク戦争反対から原発反対にするとか)ごまかすようなことは絶対にやって欲しくないと思う。

 初演を東京で観た人と、3年後に大阪で観た私と、7年後に横浜で観た今回の新しい観客と、その間に海外で観た外国人と、受け止め方はそれぞれ大きく違うことだろう。なんだか意味がわからないという人も少なくないと思う。大阪で観た時は「新しい表現手法の登場だ!」とも思ったが、上述のように一般化しなかったのだから「登場」という判断は誤りで、この作品の評価は単純に好きというに留めるべきなのかもしれない。まあ、観客としてはそれで十分だ。

 ところでミッフィーちゃん(アズマくんが映画館で会った電波系の女の子)みたいな子は結構好きだ。実際に会ったらかなりめんどくさそうだけど。

2011/12/23-17:00
チェルフィッチュ「三月の5日間」
神奈川芸術劇場中ホール/当日券4000円
作・演出:岡田利規
出演:山縣太一/松村翔子/武田力/青柳いづみ/渕野修平/鷲尾英彰/太田信吾
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2011年12月18日

あおきりみかん「歯に衣着せない」

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ある日、男は、言いたいことを全部言うことにした。女も、言いたいことを全部言うことにした。
そしたらみんな、言いたいことを全部言うようになっちまった。言いたいことって何なんだ?
言いたいことってどんくらい、こん中にたまってんだ?
っていうか言いたいことなんて、ホントにあんのか?
言いたいこと言えたら、すっきりすんのか?
歯に衣着せぬ奴らの、罵倒と欲望と気遣いのハナシ。
(チラシより)

 突然、思ったことが全部口に出てしまって喋るのを止められなくなった男。おかげで恋人も仕事も失いかけている。どうやら原因はお参りに行った神社にあるようだ。そこで同じ状態の女性や、うさんくさい神主に出会う。

 設定が設定だけにほとんどずっとしゃべり続けることになった役者たち、喉を潰さないようにするの大変だったろう。それにしても滑舌はよく、どれだけ怒涛のように喋っていても聞き取れないことは全然なかった。今回なそんな、役者の基礎体力・基礎技能を試される舞台だったと思う。

 そういうアイデア勝負の作品がなので、話として面白いかと言うと、まあ悪くはないけどそんなにインパクトがあるわけでもなかった。状況がわかって以降は、観劇しながらも役者の喉を心配してしまった。

2011/12/18-13:00
あおきりみかん「歯に衣着せない」
シアターモリエール/前売券2500円
作・演出:鹿目由紀
出演:山内庸平/松井真人/花村広大/篠原タイヨヲ/登澤良平/木下佑一郎/カズ祥/手嶋仁美/木村仁美/松野有加里/川本麻里那/松井純子/鹿目由紀/みちこ/近藤絵理
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2011年12月17日

動物電気「タッパー!男の器」

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 ほどほどに田舎の町の蕎麦屋の女将さんと、流れ者っぽい板前。店に集う常連客たち。状況としては昔の日本映画のようだ。しかし登場人物はあらかた変な人というか変態で、ハチャメチャな事件が次々に起こる。でもなんだかんだで丸く収まって大団円を迎えた…と言えるか難しいが、どうにかなる。

 これぞエンターテイメント、ただただ楽しい小劇場のお芝居だ。とっても下らないけど、意味もなく可笑しきて笑っていた。無茶な奴らに翻弄されながらキッパリ怒鳴りつける女将さんを演じた帯金ゆかり、堂に行っていました。そして婚約者にしばしば暴力を振るう変態役の辻修は、先日ゴジゲンでも激しい変態を演じていた。あの人実際どんな人なんだろう。

2011/12/17-19:00
動物電気「タッパー!男の器」
駅前劇場/指定席前売券3500円
作・演出:政岡泰志
出演:小林健一/辻修/森戸宏明/松下幸史/ヨシケン /浜松ユタカ/吉田麻生/姫野洋志/政岡泰志/三宅知明/大村わたる/松本大輔/谷部聖子/藤咲マコト/帯金ゆかり
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2011年12月16日

Minami Produce「バータイム/パラダイム」

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『密室からではなく、時間からの脱出。』
平日深夜、バーに流れる時間は伸びたり縮んだりする。デートの最後にここへ来たあの若い男女にとっておそらく一瞬に過ぎてしまうこの時間は、いつも角の席を占有している職業のわからない常連の女にとって永劫かもしれない。しかし、俺は、俺にはわからない。
俺の目の前にはおおぶりの氷がひとつ入ったスコッチウイスキーのロック。グレン・リヴェット。「お前には似合わない酒だよ」 と言ったマスターの言葉が俺の耳にまだ残っている。だが、この酒は、俺は、一体何杯飲んだ?俺の記憶には飲み干されたロック グラスが何百とならんでいる。
だけど、俺の前にはまた、琥珀色の液体に満たされたグラスが置かれている。 俺は、この時間の牢獄からかならず抜け出す。
(サイトより)

 エビス駅前バーで、バーを舞台にした芝居。この会場は必然的にそうせざるを得ないと思うので、その点では直球だ。同じ時間の中をループし続ける男が、ループの原因を探して脱出を試みるのだが、ファンタジーかと思ったら実はミステリー。一時間強という短い中で意外と複雑な展開があった。所々挿入される時間に関するウンチクに、過去に読むのを挫折した本に書いてあった内容が出てきてちょっと驚いた。

 ループしているので同じ場面が何度も繰り返される、しかしちょっとずつ変化する。脱出ゲームはやったことがないのでピンと来ませんが、世界が試行錯誤する様子を外から眺める感覚はなかなか面白い。真相の種明かしについては多分、推理小説的には反則だろうけれど、ドラマとしてならOKの範囲か。

 観ていて、なんとなくテレビドラマのような印象を受けたのだが、あとから考えると「世にも奇妙な物語」に似ていたのだ。前回観た「とても個人的な物語」は小説を朗読しているような感覚があったし、南さんの書く戯曲は芝居らしからぬ面があるのかもしれない。

2011/12/16-21:00
Minami Produce「バータイム/パラダイム」
エビス駅前バー/前売券2300円
http://minami-produce.com/
脚本:南慎介
演出:高梨由
出演:田中正伸/島田雅之/小島明之/榊菜津美/水津亜子/根本沙織/だてあずみ。/三浦佑介
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2011年12月11日

舞台芸術集団地下空港「増殖島のスキャンダル」

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とある島で勃発する、奇妙で破廉恥で恐ろしい騒動。
男と女、入り乱れて消しがたき化け物達のアバンチュール。
目を見開いて飛び込んだ、波打ち際の青い恋。
(サイトより)

 地下の劇場に入ると、閑散とした空間に組み立て式の椅子と分厚いファイルが並べられている。観客は入り口で選んだ場所の椅子を自分で組み立てて座る。舞台と客席の区別はなく、役者が客席の間を行き来する。音楽はチェロの生演奏。キネクトを用いた投影。まさに実験公演の名にふさわしい、実験的アイデアが盛りだくさんな作品だった。

 ファイルに綴じられていたのは原子力の研究開発にまつわる歴史年表だった。19世紀の科学者による放射線の発見から、様々な放射性物質の発見と命名、戦争と原子爆弾の製造と使用、原子力発電の開発と発展…。芝居の内容は当初それらとなんら関係のない、ある大女優のファンイベントとして始まる。映画にゆかりの島にやってきたファンたちは豪華なホテルに泊まるが、そこで不思議な事件が起きる。大女優の正体は…。という感じ。女優とその娘が原子力のメタファーであることに気づいたのは結構遅くなってからで、むしろそれに気づく前の方が素直に観られた気がする。

 実験なので必ずしもすべての試みが成功しなくても良いと思われるが、舞台と客席の構造は非常に難しそうだが成功していたと思う。キネクトは面白いけど別に必要なかった。生演奏は(新しいというわけではないが)とても良かった。女優の体の作り方と動かし方は良かった。物語の比喩性は無理に話題を押し込んだような印象で良くなかった。

 しかし不思議なのは、どうして椅子を自分で組み立てるようにしたのかという点。ステージごとにバラして並べるのだから、最初にスタッフが組んでしまう方がずっと簡単だっただろう。わざわざ手間をかけて観客に作らせる意図は何だったのだろう。そこは解らなかった。

2011/12/11-18:00
舞台芸術集団地下空港 番外実験公演「増殖島のスキャンダル」
ギャラリーSite/前売券3000円
脚本・演出:伊藤靖朗
出演:今村洋一/川根有子/佐藤美佐子/田代エマ/趙栄昊/野田孝之輔/伊藤駿佑
CORUS:金子さやか/田辺あゆみ/三森あかね
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乞局「乞局」

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目覚めると夫が異様に優しいではないか。
その夫は私の知る夫ではない。
夫に違いないのだけれど、その顔は知っているけれど、
私を異様に窺っているのも確かなのだ。
それは私が莫迦になったから。
何にもないけど、兎に角御免なさい。
(チラシより)

 劇団名を冠した戯曲、今回が再再演になるそうですが、前回つまり再演を観ました。役者や細かい演出などは変わっていたものの基本的には同じで、観ているうちに段々思い出してきました。田舎でもないが都会とも言い難い規模の町の商店街にある、一晩眠ると記憶がなくなる妻を持つ男が営む喫茶店が舞台。虫にちなんだ名前を持つ住民たち。

 前回の感想を読み返してみると、今回とほぼ同じでした。代表作の名に恥じない良作。当然と言えば当然ですが、非常に安定した表現力を持つ劇団だと思います。

2011/12/11-14:00
乞局「乞局」
王子小劇場/前売券2800円
作・演出:下西啓正
出演:石田潤一郎/岩本えり/墨井鯨子/三橋良平/浅井浩介/佐野陽一/柴田洋佑/用松亮/善積元/石村みか/ザンヨウコ/田中のり子/徳橋みのり/西田麻耶
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2011年12月10日

黒色綺譚カナリア派「誤/娯楽」

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 耽美的というのかアングラというのか、独特のカラーを持つ黒色綺譚カナリア派。五年前に一度観たきりでしたが、今回は最終公演で出演者も豪華ということで足を運びました。

 こまばアゴラ劇場の奥と手前に客席を設け、田舎の家と庭のセットが中央を横断するように組まれている。天井から吊られた鳥籠に囚われた娘が一人。彼女はどうやら生贄(あれ設定としてはどこから吊られていたのだろう?木の枝?)。その町の住民は基本的にみんな歪んだ人格で、区役所から来た役人だけが一応の常識人だが、区役所って都会にしかないよね?

 実を言うと軽くワインを飲んでから行ったため、いい感じにほろ酔いからウトウトしつつの観劇になってしまいました。多分、話の内容は二割くらいしか把握できてない。でも基本的に物語の展開を追うより世界観の匂いに包まれることで堪能するタイプの芝居だと思うので、問題なかったに違いないと信じている(ごめんなさい)。

 そして正直な所、作品の出来はどうあれ、あのタイプの芝居はそんなに私の好みではなかったようだと思う。

2011/12/10-19:00
黒色綺譚カナリア派「誤/娯楽」
こまばアゴラ劇場 /前売券3000円
作・演出 赤澤ムック
出演:牛水里美/山下恵/芝原弘/中里順子/赤澤ムック/弦巻啓太/山田百次/山崎彬/江崎穣/片桐はづき/福原冠/加藤文也
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オーストラ・マコンドー「トーキョービッチ,アイラブユー」

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 近松門左衛門の曽根先心中を現代にアレンジした作品。女郎のお初は風俗嬢だが商家の手代(番頭)の徳兵衛は区役所?の公務員になっていた。そして原作の徳兵衛は独身で見合いを強要されるのだが本作では妻がいる。まあそのくらいの調整をしないと現代にはそぐわなくなるだろう。ちなみに原作の内容は全く知らずに感激して後からWikipediaで調べました。

 ほぼ素舞台で、人一人乗れる程度の木箱が効果的に用いられる。脇役が木箱を運んで並べ、メインの演者はその上を移動して行く。そのため主役たちは自由に動き回れない。文字通り身動きが取れない様子が彼らの置かれた状況と心理を象徴しているようだった。

 以下にネタバレがあります。

 理不尽に借金で追い詰められた徳兵衛は、一緒に死のうとお初に頼む。原作ではもちろんタイトル通り心中しているわけだが、本作のラストは不思議な終わり方だった。心中寸前まで行くものの、徳兵衛は最後に怖気付いたのか心中をやめてしまう。残されたお初は一人で死ぬ場合と、死なない場合の両方が描かれる。これはなかなか解釈に苦しむが、現代は江戸時代ほどにはシンプルじゃないのだろう。

2011/12/10-14:30
オーストラ・マコンドー「トーキョービッチ,アイラブユー」
サンモールスタジオ/前売券 2500円
原作:近松門左衛門 「曽根崎心中」
演出:倉本朋幸
脚色・構成:上本聡
出演:東亜優/渡邊安理/須貝英/神戸アキコ/後藤剛範/カトウシンスケ/兼多利明
ライブ演奏:MOGMOS & ALL STARS
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2011年12月08日

ままごと「あゆみ」

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 一人の女性の人生を八人の女優が描く。初めの一歩から、最後の一歩まで、いろんなことがあって、たくさんの分かれ道があって、選んだ道と選ばなかった道があって、過去と未来と今の自分がいる。描かれるのは平凡な人生だ。でも大切な人生だ。誰もが自分の人生を重ねられるだろう。何もない広い床に光で道が示される。大事なことが何回も繰り返される。

 ままごとを観るのは初めて。横浜赤レンガ倉庫に行くのも初めてです。かなり話題になった「わが星」は観にいけなかったので、今回は何とか時間を作って平日に足を運びました。

 いやはや、観て良かった。物語として何かすごいものがあるわけじゃないけれど、だからこそ心に響く。この劇団の表現技法は何と言うのだろう。ジワジワと染み込んできます。残念なのは役者さんの顔と名前が一致させられないこと。いや別にいいんですけど。

2011/12/08-19:30
ままごと「あゆみ」
横浜赤レンガ倉庫/当日券3500円
作・演出:柴幸男
出演:秋葉由麻/黒宮万理/鈴木亜由子/長沼久美子/藤吉みわ/フタヲカルリ/真嶋一歌/吉田愛
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2011年12月02日

劇団鋼鉄村松「二手目8七飛車成り戦法」

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3月から、はみだした、ライオンたち
劇団鋼鉄村松が届ける、マシュマロ感覚ドリーミング将棋ラブ。
名人の座は誰の手に!


 プロ棋士とそれを目指す卵たちがピリピリと対局を積み重ねる。そこへ未来からきたコンピュータとか宇宙人とかガンプラとかが絡み合って、でもやっぱり男と女がいて、勝負の世界は残酷で、人生を賭けている姿はかっこよくて。

 私がこの劇団の作品を観たの初めてですが、17年も小劇場でやってきた劇団。作演出を務められるメンバーが二人(ボス村松氏とバブルムラマツ氏)いて、今回はボス村松氏の作品。彼の将棋に対する想いが溢れる舞台となっていました。それでいてこれだけ吹っ飛んだ展開にできるのは劇作家としての姿勢でしょう。かなり登場人物が多くて覚え切れませんでしたが、名人役を演じたムラマツベス氏は流石に看板役者というだけあって堂々たる変態っぷりでした。

 17年と言えば、だいたい私が小劇場演劇と出会ったのと同じ頃からということ。そのせいか、「古き良き時代の小劇場演劇」という印象を受けました。アフタートークとその後の飲み会でもボス村松氏に直接そんなことを言ったらやや不満そうでしたが、悪い意味ではありません。最近はこういうエピソードてんこ盛りで起承転転転転結って感じの濃密な話より、シンプルなテーマを大きく引き伸ばしたようなイメージの作品がもてはやされてきている気がするので、それらとの比較です。逆に言えばこういうタイプの芝居は減っている気もしますので、持ち味として継承してほしいと思います。

2011/12/02-19:30
劇団鋼鉄村松「二手目8七飛車成り戦法」
ザムザ阿佐谷/アフタートーク招待
作・演出:ボス村松
出演:後藤裕哉/小山沙織/ムラマツベス/バブルムラマツ/村松かずお/村松ママンスキー/後藤和/沖田裕樹/廣岡篤/千頭和直輝/八幡眞理/大寄正典/山村誠二/ボス村松/藤堂巧/サラリーマン村松/市橋純平/鳥原弓里江/岩井正宣/多田無情
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