2011年秋、トーキョーの死と再生の塔へと捧げる、鎮魂と予祝の演劇。
(チラシより)
東京タワーのふもとにある公園を使った野外劇。11月の野外ですから相当に寒く、真冬の服装で来ることを推奨されていましたが、実際それが適切でした。昼間の気温が高かったので油断して秋の服装にしたら、途中からガクガクブルブル。一応使い捨てカイロを持参したからなんとかなりましたが、まさに芯から冷え込みました。
しかし芝居は決して寒いものではありません。午後7時の開演時刻にはすっかり暗くなり、客席から見て舞台の向こう側にそびえる東京タワーはライトアップされています。物語は近未来。汚染によって放棄され、野犬の遠吠えが響くこの街に戻ってきた人々が、モニュメントとしての東京タワーに再び明りを灯し、復活させようとするところから始まります。
テレビ(モニター?)を並べたセットは客席からかなり遠くにあり、その間にあるグラウンドで自動車や自転車が走り回ります。これがやりたくて野外劇にしたのかと思うほど、空間と場所を支配してそこに世界を築いていました。全体の雰囲気としては精神的極彩色ともいうべきもので、にじみ出る毒々しさがあり、野外だからこそ空に発散していくけれど、閉じた空間だったら息苦しかったかもしれません。
気になったのは、物語の冒頭ではなんとなく震災後の破局があったことを思わせる言葉が散見されましたが、中盤以降のロードストーリー的な展開の中ではそういう設定はあまり関係なかったような気がした点。単純に私が読み取れなかっただけかもしれませんが、表面的にだけ震災を利用したような印象がありました。
舞台の雰囲気は大阪の子供鉅人の作品に近いものがあり、直後から感じましたが時間が経つに連れてダブってきました。繋がりがあるかどうかは存じませんが。
2011/11/03-19:00
ピーチャム・カンパニー「復活」
都立芝公園集会場/当日清算3300円
脚本:清末浩平
演出:川口典成
出演:堂下勝気/八重柏泰士/岩崎雄大/平川直大/日ヶ久保香/小野千鶴/金崎敬江/古市海見子/ワダタワー/浅倉洋介/神保良介/飯塚克之/本多菊雄/中里順子/羽田真/永濱佑子/丸房君子/松永明子/杉亜由子/中坪俊/山内一生/如月せいいちろー
続きを読む:スタッフリスト