2011年11月26日

スプリングマン「雨とマッシュルーム」

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その工場は鉄の音と、植物の匂いがした。
(チラシより)

 結論から言って、とても良かった。技術的にレベルが高いわけではないし、ストーリーもツッコミどころはたくさんあるのだが、ほっこりといい気分で劇場を後にできる、小劇場でお芝居を観る楽しさが存分に味わえる作品だったと思う。

 前科のある人ばかり雇っている、リサイクルの工場。そこで事務員をする女と恋人の刑事。社長は偽善者。近隣住民は偏見の塊。子供ができなくて夫との関係が冷え切っている主婦。

 それぞれの登場人物はとてもステレオタイプな描かれ方をしていたし、展開もベタと言えばベタ。法律的な話も疑問点が多数。こうやって書くと稚拙としか思えないなあ。でもそういう難点は全部どうでもいいと思えるような「良さ」が確かにあったと思います。とても素直な姿勢が感じられました。

2011/11/26-19:00
スプリングマン「雨とマッシュルーム」
劇場MOMO/前売券2500円
脚本・演出:澁谷光平
出演:苗村大祐/武藤啓太/朝倉亮子/仁後亜由美/井手昭仁/あきやまかおる/市来光弘/鳥島明
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ザ・スズナリ30周年記念公演「うお傳説」

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むかしむかし
ひとはみな
さかなだった

1981年、のちの下北沢演劇文化繚乱の時代を予兆する事件が起きた。ザ・スズナリの実質的なこけら落とし公演となった「うお傳説」〈転位・21 作・演出 山崎哲〉。当時の劇評において扇田昭彦氏は次のように書いた。「衝撃的な舞台だった。いいとか充実しているとか、よくできているといった形容詞を超える迫力と感銘がこの舞台にはある。あえていえば、何か黒く大きく重たいものがずんと身体にぶちあたってきた感じ。」(美術手帖1981年8月号より抜粋)以来30年間、伝説的に語り継がれてきた舞台が、演出家・関美能留(三条会)と実力派俳優陣の手により、
まったく新たな時代性と虚構性をともなって再びザ・スズナリの舞台によみがえる。


 第一幕が一時間、15分の休憩を挟んで第二幕が一時間半、長丁場でした。正直、第一幕は退屈でした。何となく昔の小劇場の雰囲気が垣間見れた気もしますが、面白いかといえば疑問。ちょっと寝た。しかし第二幕はじわじとテンポが良くなって、夫婦の修羅場的な掛け合いはかなり面白く見られました。

 スズナリの実質的なこけら落としとなった公演とのことですから30年前の作品。当日パンフレットによれば当時は本当の水を使って大変なことになったとか。さすがに今回は象徴的な舞台装置で表現していましたが、無茶なことをしていた当時の舞台も観てみたかったところです。

 とはいえ、今回の演出は本当の水を使うより良かったと思う。演劇におけるリアリティってのは単純に本物そっくりにすることではなく、観客がイメージする手がかりを提示することであり、観客の頭の中に描かれる光景こそが真の舞台なのだから。

2011/11/26-14:00
ザ・スズナリ30周年記念公演「うお傳説」
ザ・スズナリ/前売券3500円
劇作・脚本:山崎哲
演出:関美能留
出演:谷川昭一朗:占部房子:ノゾエ征爾:榊原毅:渡部友一郎:森下真樹:中島愛子
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2011年11月19日

Bobjack theater「この世の果てまで」

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君のことが大好きです
たとえ君の体が どんなに変わっても
君のことが大好きなんです
たとえ君の心に 誰がいても
中山不二人は我が世の春を謳歌していた
それは虹子の存在があったから
虹子は冴えない自分への神様からの贈り物 この世のエンジェル
しかし 不二人の春は終りを告げようとしていた
それは 虹子がすっかり変わってしまったからで…
ボブジャックシアターが送る 少し不思議な恋の話
(チラシより)

 この劇団の作品を観たのは二回目ですが、前回同様に少女漫画的な作風でした。設定はSFとファンタジーが半々というところ。いい話ですが、私にはちょっと毒が薄くて物足りない感じでした。登場人物がみんないい人すぎ。どうしようもなく腐ったクズみたいな奴が一人は出てきてもいいんじゃないかな。

 年頃の女の子であれば主人公の娘に感情移入するのでしょう、観劇後に泣いてるお客さんも結構いました。しかしおっさんの自分はマッドサイエンティスト的な研究者の方に親近感がありました。主役のカップルより彼の方が純情だと思うんですよ。彼と幼馴染の関係も多分に少女漫画チックなんですけどね。泣きはしません。がんばれよって声をかけたくなるような感覚です。

2011/11/19-19:00
Bobjack theater「この世の果てまで」
シアターKASSAI/前売券 2500円
作・演出:守山カオリ
出演:丸山正吾/宮井洋治/扇田賢/植木希実子/片岡由帆/渡辺宏明/民本しょうこ/八木橋里紗/佐々木仁/山岡亜紀/江島朋洋/竹村彩子/関口あきら
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悪い芝居「駄々の塊です」

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芝居を観よう。芝居を観よう。どうせ観るなら「悪い芝居」を観よう。

何もかもが中途半端な街にデンと山があった。
山の頂きにその動物園はあった。
麓の町を追われた一万は飼育員として働いていた。

ある夜、動物園の動物がすべていなくなるという事件が起こる。

事件の翌朝、
動物園に突如現れた股間が光る男は、ツタヤにDVDを返しに行きたい。
事件の翌朝、
麓の街から直は、兄のいる動物園に向かう。
事件の翌朝、
体の側面に火傷跡がある誰太は、点子を後部座席に乗せ、
そのリムジンを動物園へと向かわせる。

動物園に偶然居合わせることになった人間たちが再び、
動物を追って麓の街を目指すとき、街は最後の夜を迎える。

当事者じゃないすべての中途半端な人々に送る、
最初の朝に起きた中途半端な希望の物語。
悪い芝居が満を持して放つ、1年ぶりの待望の本公演
『駄々の塊です』

すべてのことが、起こる。
ご期待ください。
(チラシより)

 展開としては上記のあらすじの通りで、加えるなら動物園のオーナーはホームレスを拾って雇ってあげているがろくな給料も払わない偽善者。動物がいなくなったことを知った時の彼の激怒ぶりがイマイチ理解できなかった。その他各登場人物がそれぞれ何かモヤモヤしたものを抱えているのだが、どれもスッキリしない。そのスッキリしなさ加減を巧みに舞台に載せた作品だとも解釈できるだろう。クライマックス的な演出のラストまでたどり着いても、モヤモヤは何ひとつ解決しない。もう、それでいいじゃんといった態度で幕を引く。

 演出面では、回転する舞台を巧みに使ってスピーディな場面転換を可能にしていた。さらに最後はチビ黒サンボのトラのようにぐるぐる回って全部溶け合ってしまうような形だ。回すのは人力だがあれだけスムーズに回るのはかなりのしっかり作られていたのだろう。それから今回はこれまでより派手な音と光も多用していた気がする。舞台装置は以前から凝っていたが、音響と照明におる演出でこんなに露骨なやり方は何か方針転換だろうか。しかしやや安直な印象があり、もっと役者による演技を活かしてほしかった。

 そして、なぜか解らないが従来に比べて挑戦的姿勢が後退した気がした。これまでにみた悪い芝居は、舞台上の覇気が客席まで襲ってくるような、既存の演劇の方法論を否定するような、その中からなんとか新しい表現を生み出して行こうとする意識が感じられたのだが、今回はむしろ舞台の上でまとまってしまったように見えた。舞台装置の構造のせいかもしれないが、役者の意識が舞台上に留まってしまっていたのではないだろうか。

 Twitterを見ていたら色んな人が絶賛しているようだが、悪い芝居のポテンシャルはこんなものじゃないはずでしょ?という気持ちを込めて、今回はあんまり面白くなかったと言っておきたい。

2011/11/19-15:00
悪い芝居「駄々の塊です」
王子小劇場/事前精算2500円
作・演出:山崎彬
出演:池川貴清/大川原瑞穂/植田順平/呉城久美/宮下絵馬/畑中華香/森井めぐみ/山崎彬/仲里玲央/大原渉平
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2011年11月12日

elePHANTMoon「業に向かって唾を吐く」

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問題を抱えた生徒ばかりを受け持つ教師のもとに生徒の母親が訪ねてきた。
「生徒たちの成績が良くなってますがどういうことですか?」
母親の問いに一瞬理解ができない教師。
話を聞くと、生徒たちの成績が良くなり問題も起こさなくなっていることに対し、
その急な変わりように保護者たちは良い事のはずだが少し戸惑っているようだ。
今日は保護者を代表して自分が来たことを告げる母親。
とにかく不安がる母親を教師はやはり理解できないでいた。
(チラシより)

 ネタバレかもしれないが、宗教団体を扱った話だ。仏教系っぽい用語やお経(作中では「お言葉」と呼ばれている)が頻出するが、実態は金集めのためのエセ宗教団体であり、カルトというほどの重さもない、単なる詐欺だ。しかし一部の信者は本気で信じて、信じるが故に救われている。そして中には教祖以上の信仰心を持って、半ば本物になっていく信者もいる。上記のあらすじに出てくる教師は、そんな団体にのめり込んでいる兄と同居している。教祖たちも含めた宗教団体「ほほえみ」の中で一番純粋に信仰しているのがその兄だった。

 どうやら生徒たちが改心したのも宗教と関係があるようだが、その経緯ははっきり描かれない。また、時間軸もやや複雑なところがあり、恐らくは過去と現在が混じっていたと思う。さらにこの教師も元会社員で、その会社も何か怪しい。つまるところ、誰も彼もがちょっと変だ。宗教団体の中で行われている「浄化」の儀式は、ある意味ステレオタイプなほどグロテスクで気持ち悪かった。あれは生理的に受け付けない。暴力シーンもかなり迫真の演技で、これも見ているのが嫌だった。

 elePHANTMoonは前作「劣る人」がとても良かったので期待して観たのだが、そういう気持ち悪さが強く印象がに残った。役者はすごいと思う。けれどそのすごさは私には不快なだけで、せっかくの努力と覚悟が生かされていなかったと思う。もちろんあれが良かったと評する人もいるだろうけれど。

2011/11/12-19:30
elePHANTMoon「業に向かって唾を吐く」
サンモールスタジオ/前売券3000円
脚本・演出:マキタカズオミ
出演:永山智啓/江ばら大介/山口オン/菊地奈緒/伊藤毅/岡野康弘/小西耕一/立浪伸一/塚越健一/中村真沙海/成澤優子
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箱庭円舞曲「いつも誰かのせいにする」

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恥ずかしくありません?
そんな生き方していて。

自分のことは棚に上げて、
いつも誰かのせいにして、
たまに社会のせいにして、
最後は世界のせいにして。(後略)
(チラシより)

 舞台は映画制作会社。この業界の仕組みは知りませんが、映画を作る団体とそれを買ってプロモーションする会社は別の模様。頑張っていい作品を作っても宣伝が十分できなければお客は入らない。宣伝する為には資金と媒体が必要で、だからそれを持っているプロモーション会社の方が作り手より強い。もちろん作品も「売れる要素」を常に意識しつつ、芸術性とか主義主張といった側面と折り合いをつけなくてはいけない。そして制作には作家や役者だけでなく大勢の人が関わるものだから、人間関係も複雑になる。

 前半はそんな業界の実情を割とわかりやすく表現するような内容だが、それで終わるわけはない。この会社が作る映画はすでに何度もこけており、作品を買ってくれるプロモーション会社が見つからない。それでも経費はかかり、支払いは迫る。資金調達先はカタギだけでなくなっている…。

 全体としては好みの雰囲気を持つ作品だったが、一番重要な点がどうもよく理解できなかった。制作会社の女性プロデューサー(片桐はづき)が、テキパキと仕事をしているように見えるが実は諸悪の根源であるという所。映画好きな青年…と見せかけて実は金を貸しているヤクザから送り込まれた男(須貝英)が彼女を責め立てるシーンがあるのだが、彼女の何がいけないのか、彼女自身と同じように私にも解らなかった。そしてラスト近く、彼女が必死で自己弁護する場面、どうしてみんなジッと彼女を見ているのか。

 また、最初のシーンも何らかの伏線になっていると思うのだが、どこにどう繋がっているのか解らなかった。何かうっかり見落としたのだろうか…。指摘されたらとても簡単なことだったりしそうで不安だが、できれば誰かに解説してほしいところだ。

2011/11/12-14:00
箱庭円舞曲「いつも誰かのせいにする」
駅前劇場/前売券3000円
脚本・演出:古川貴義
出演:須貝英/爺隠才蔵/片桐はづき/井上裕朗/村上直子/清水穂奈美/ザンヨウコ/小林タクシー/原田優理子/菊池明明/大谷幸広
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2011年11月06日

はちみつシアター「女と、12人の女」

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作品テーマ【生まれ変わる方法】
優しさを求め、優しい⼈間になりたいと⽣きてきた主⼈公の⼥の半⽣を軸に
【自分自身が⽣まれ変わる⽅法】また⼥に関わる⼈間が【⼥を⽣まれ変わらせる⽅法】を⾒つけ出していく。本当の優しさとは何か?目に⾒えない優しさを知った時、
⼈は⽣まれ変わることができる。
(サイトより)

 エンターテイメント性の強いショー演劇。しかし描いている物語自体は決して軽いものではない。死を考えている一人の女性の前に現れた不思議なテーマパークが、彼女の半生を振り返る旅に連れていく。12人の女とは、つまり過去の自分のことだ。現実にこんな波瀾万丈な人生を送ってる人はいない…と言うほど荒唐無稽なわけでもない微妙なリアルさ。たぶん多くの人が、エピソードのうちのいくつかで自分を重ねてしまうのではなかろうか。

 入場時に渡されたサイリウムでプチ観客参加。実はサイリウムを使ったのは初めてなのでちょっとドキドキしたが、降るタイミングはなかなか難しい。前の方の席だったため後ろの人達の動きが見えず、おずおずと上げて降っていた。ああいうのはむしろ客席にサクラでも混ぜておいてくれればいいのにと思う。あるいは舞台上からうまいことリードするか。

 ショー要素を前面に出しているものの、観客の盛り上げ方はまだ洗練されていない気がした。特に、「盛り上がりましょう」とか「テンション上がってます」などと直接言葉で言うのは、お笑いの舞台で「たくさん笑ってください」と司会者が言うくらい野暮なことだ。それは演出で引っ張るべき所だと思う。

 ほぼ全員が女優なので華やかな舞台ではあるのだが、ちょうど石原正一ショーやミジンコターボが同様に女優だけで超エンタメな作品を持ってきたのを観た後なだけに、東京の女の子っぽいというか、吹っ切れ方がまだ足りないという印象を受けた。いや関西の子が吹っ切ってるわけではないと思うが。

2011/11/06-14:00
はちみつシアター「女と、12人の女」
テアトルBONBON/前売券3200円
脚本・演出:巣鴨五反田
出演:田渕恭子/氏家康介/郡司みわ/秋元佐和紀/栗野未悠/前園幸子/のもとあき/山本陽子/山川多恵/野中理絵/若尾桂子/
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2011年11月05日

劇団競泳水着「いと愛し」

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一人の人間には、生きてきた年齢分の重みがある。
人が集まれば、人数分の重みが絡み合う。

そしてそこにいるはずの誰かが消えた時、その人間の重みによって保たれていたバランスは、
歪みとなって残されたものを襲い、埋めがたい隙間が生まれる。

その隙間を埋めるもの。 それを人は「愛」と名付けた。

劇団競泳水着、一年ぶりの本公演。
活動再開としてお届けするのは、初めての、劇団員三人のみによる三人芝居。
(チラシより)

 作曲家の男性が亡くなった後の仕事場で、彼の娘とマネージャーと教え子が集まる。意図して集まったのではなく偶然鉢合わせしてしまったような状況で、お互いの距離を測りながら進められる会話劇。男性は浮気性だったようで、教え子の母親とは関係があったらしく、マネージャーとも愛人関係だったんじゃないかと娘は疑ってる。そんな愛憎劇的な状況だけど本人は死んじゃってるので探った所でただ虚しい。

 この三人が男性を取り合ったわけでもないのだからお互いをどうこう言っても仕方ないんだけど、でもやっぱり色々引っかかりながらの会話になってしまう。その感情は恐らく女性特有なんだろうと思う。男同士だとそうはならないのではないか(幸いこういう状況は経験がないから想像ですが)。とは言いつつこの戯曲書いてるのは男性なんだよね。今作に限らず女性を描くことが多いようですが、どうやって異性の心情を思い描き表現しているのだろうか。

2011/11/05-19:30
劇団競泳水着「いと愛し」
SPACE雑遊/前売券2800円
脚本・演出:上野友之
出演:大川翔子/河村紗也/細野今日子
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ミジンコターボ「儂が燃えて死ぬまでの噺(大炎上)」

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めっちゃ燃えてるやんか。
ご存知「本能寺の変」を男優のみの関西弁でお届け!
(チラシより)

 ミジンコターボの東京公演、男優チームは戦国のお話。明智光秀の軍勢に囲まれて燃え盛る本能寺の一室で、信長と蘭丸とその他の武士や大工が騒いだり遊んだりしている。逃げようと慌てる大工を抑えて逃げ道があると余裕の信長だったが、逃げ道は繋がっていない。得体のしれない幽霊も見えてきて、さあどうするどうなる?

 短い生涯を一気に駆け抜けた男達の喜怒哀楽が全部詰まっているような作品。お調子者な信長と真面目な森蘭丸というキャラ設定だが、しかし実はそれぞれの正体は‥‥。それでも本能寺は燃えて、史実通りそこで皆燃えて死ぬ(幽霊は残ってる)。女優版と同じくパワーと勢いのあるコメディだが、最後はビシッとかっこよくまとめられて圧巻だった。

 舞台装置(というか背景)は女優版との入れ替えを素早く行う必要があってシンプルになったのだと思うが、とてもセンスが良いものだった。

2011/11/05-16:00
ミジンコターボ「儂が燃えて死ぬまでの噺(大炎上)」
王子小劇場/0円(2公演通し前売券)
脚本・演出:片岡百萬両
出演:片岡百萬両/山田まさゆき/吉田青弘/鈴木洋平/菊池祐太/大塚宣幸/武信貴行/江本祥
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ミジンコターボ「スーパーソニックジェット赤子(大往生)」

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アッチへコッチへ大冒険!
痛快大散歩活劇を女優のみでお届け!
(チラシより)

 大阪の元気な劇団ミジンコターボが初の東京単独公演。いずれも1時間程度とコンパクトにまとめられた2作品を持ってきた。女優だけで演じられた本作は、犬と女の子が繰り広げる冒険譚。

 賢くはないけど元気いっぱいの女の子と、やたら賢いしゃべる犬。ふたりは行く先々でいろんな人(大体みんな変人)に会い、いろんな事件に巻き込まれていく。こう書くとよくあるパターンのようだが、事件のスケールがものすごい勢いででっかくなって行き、コンビニから出発して国際問題から果ては宇宙にまで飛び出して最後は宇宙人とも遭遇してしまう。まさにスーパーソニックジェットのタイトル通りの急展開だ。

 冷静に考えたら無理もいいところな話だが、とにかく勢いがあって、観る者を強引に引っ張っていく。女優しか出演しないのにパワフル。やはり関西の劇団だからだろうか、コミカルな演技が当然のように演じられる。東京の女優なら、“コミカルな演技してます面白いでしょう”という意識がうっすら見えることが多いが、それが全くないのだ。先日の石原正一ショーを観た時にも思ったが、東西の違いは特に「女の子の雰囲気」に現れるのかもしれない。

2011/11/05-14:00
ミジンコターボ「スーパーソニックジェット赤子(大往生)」
王子小劇場/2公演通し前売券5000円
脚本・演出:片岡百萬両
出演:川端優紀/Sun!!/竜崎だいち/袋小路林檎/一瀬尚代/南雲飛鳥/モリマリコ/片山誠子/高島奈々/西分綾香/西村朋恵/丹下真寿美/竹田桃子
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2011年11月03日

ピーチャム・カンパニー「復活」

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2011年秋、トーキョーの死と再生の塔へと捧げる、鎮魂と予祝の演劇。
(チラシより)

 東京タワーのふもとにある公園を使った野外劇。11月の野外ですから相当に寒く、真冬の服装で来ることを推奨されていましたが、実際それが適切でした。昼間の気温が高かったので油断して秋の服装にしたら、途中からガクガクブルブル。一応使い捨てカイロを持参したからなんとかなりましたが、まさに芯から冷え込みました。

 しかし芝居は決して寒いものではありません。午後7時の開演時刻にはすっかり暗くなり、客席から見て舞台の向こう側にそびえる東京タワーはライトアップされています。物語は近未来。汚染によって放棄され、野犬の遠吠えが響くこの街に戻ってきた人々が、モニュメントとしての東京タワーに再び明りを灯し、復活させようとするところから始まります。

 テレビ(モニター?)を並べたセットは客席からかなり遠くにあり、その間にあるグラウンドで自動車や自転車が走り回ります。これがやりたくて野外劇にしたのかと思うほど、空間と場所を支配してそこに世界を築いていました。全体の雰囲気としては精神的極彩色ともいうべきもので、にじみ出る毒々しさがあり、野外だからこそ空に発散していくけれど、閉じた空間だったら息苦しかったかもしれません。

 気になったのは、物語の冒頭ではなんとなく震災後の破局があったことを思わせる言葉が散見されましたが、中盤以降のロードストーリー的な展開の中ではそういう設定はあまり関係なかったような気がした点。単純に私が読み取れなかっただけかもしれませんが、表面的にだけ震災を利用したような印象がありました。

 舞台の雰囲気は大阪の子供鉅人の作品に近いものがあり、直後から感じましたが時間が経つに連れてダブってきました。繋がりがあるかどうかは存じませんが。

2011/11/03-19:00
ピーチャム・カンパニー「復活」
都立芝公園集会場/当日清算3300円
脚本:清末浩平
演出:川口典成
出演:堂下勝気/八重柏泰士/岩崎雄大/平川直大/日ヶ久保香/小野千鶴/金崎敬江/古市海見子/ワダタワー/浅倉洋介/神保良介/飯塚克之/本多菊雄/中里順子/羽田真/永濱佑子/丸房君子/松永明子/杉亜由子/中坪俊/山内一生/如月せいいちろー
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味わい堂々「タマゴの秘密」

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【悩み】
1 なんで学校行かなきゃいけないの?
2 生理っていつ来るの?
3 付き合うって何するの?
4 どうしてタマゴは割れたの?
(チラシより)

 中学生の話。学校で飼っているニワトリのタマゴが割れてしまった。休みがちな同級生はどうしてあそこにいたの。女の子は初潮を迎えてたり迎えてなかったり。男子と女子のふわふわした距離感。大人になってから振り返ると些細なことでも、その時は大問題だった、少年少女たちの日常生活。甘酸っぱいような、懐かしいような。

 そうそう、中学生の時ってあんな感じだよね。まだ知らないこともたくさんあるんだけど、知ってる範囲で精一杯考えて、真剣に悩んで、喧嘩したり仲良くしたり、毎日が劇的だった。最近は中二病なんて揶揄したりもするけど、それはとても大事な時期で、知識はともかく精神の基本的な部分はきっとあの時期に完成していたのだと思う。

 出演した役者さんたちの実年齢がどの位かわからないが、大人の役者が子供を演じるのはなかなか大変だと思う。かなり痛々しいことになってしまっている芝居もよくあるが、今回は実に自然に演じられていて良かった。芝居の質感というか肌触りみたいなものがとても心地よくて、なんとも優しい気持ちになれるお芝居でした。

2011/11/03-14:00
味わい堂々「タマゴの秘密」
ギャラリー・ルデコ5F/当日券2500円
作・演出:岸野聡子
出演:岸野聡子/浅野千鶴/川口恵理/タカハシカナコ/宮本奈津美/中田麦平/用松亮
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