あるとき王冠を頭に載せた男が女を連れてやってきた。王様だと言っている。(チラシより)
そしてこの女は私の妻だと言っている。
王様は言葉を教えてくれ、王国のすばらしい暮らしぶりを教えてくれたので、そのおかえしに仕事を教えてやった。
人の数を減らすというのがわたしの仕事だが、あまり減らしすぎたのでちょうどやることがなくなっていたのだ。
王様はなかなか覚えない。かわりに覚えた女が間違って王様を減らしてしまう。
王冠が残る。ちょっと頭に載せてみる。
感情を抑えて淡々と物語が綴られていく様子はどこか朗読劇のような雰囲気がある。過去に観た壁ノ花団の公園も多かれ少なかれそんな面があったと思う。気を抜くと眠りに落ちてしまうようなゆったりとした時間が流れる感激体験。それでも退屈という印象は特に受けないのが、さすがは京都の劇団だ。偏見だけど。
だから3分の1は寝ていたし、3分の1はセリフをあまり聞いていなかったから、何がどうなったのかはよく覚えていない。表面的に語られたものとは違う何か深遠なテーマが隠されていたのかもしれないが、気づかなかった。王様とお妃様は本当に王様だったのか、そう思いこんでる狂人だったのか、村の男は本当は何者だったのか、疑いだしたらきりがない。
でもそんな裏とか奥は別になくて、見えたものがすべてだと言われてもそれはそれで受け入れられるだろう。
2011/10/01-19:30
壁ノ花団「ヤングフォーエバー」
王子小劇場/当日券3500円
作・演出:水沼健
出演:金替康博/岡嶋秀昭/高坂勝之/青山哲也/福谷圭祐
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