2011年08月29日

少年王者舘「超コンデンス」

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 いつも少年王者舘の感想は内容説明するのが難しいのでもう放棄。今回はダンスやリピートがいつもより少なめな印象でした。と言っても物足りないわけではなかったので、良い感じに洗練されてきたのかもしれません。

2011/08/29-19:30
少年王者舘「超コンデンス」
ザ・スズナリ/前売券3500円
作・演出:天野天街
出演:夕沈/白鴎文子/中村榮美子/黒宮万理/雪港/ひのみもく/☆之/水元汽色/小林夢二/宮璃アリ/水柊/池田遼/PECO/街乃珠衣/井村昂/織田圭祐
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Mrs.fictions「サヨナラ サイキック オーケストラ」

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世界の終わりは、いつも夏。

20XX年、小惑星の衝突を間近に控えた地球、日本。
世界各国が総力を結集して対策を進める中、軍事力を持たず、
資金援助以外にやることのない日本は、環境整備事業の一環として
小惑星に対処出来る能力を持った人材を一般公募。
結果として、特に行くあての無い自称超能力者達が環境省庁舎ビル屋上に集結する。
果たして彼らに世界を救う機会は訪れるのか。
(チラシより)

 透視能力者、霊感主婦、自称宇宙人、幽霊女子高生、念写ホームレス、なんか教祖様、シスコン、いじめられっこ公務員。インチキなのか本物なのか最後までよくわからなかったり、わかったようだったり。みんな笑顔になれない事情を抱えてるけど泣いたりせず、喧嘩したり、仲直りしたり、後悔したり、開き直ったり、なんとなく笑ってみたり・・・

 優しい話だ。何一つ建設的じゃないし問題解決にも繋がらないし、成功者も強者も出てこないけど、卑屈でもない。人類が滅亡する瞬間を体験することになったら、こんな感じがいいなあと思いました。

 上野ストアハウスでの観劇は初めて。立地はあまりいいとも思えないが、新しい劇場だけあってきれいな所です。

2011/08/29-15:00
Mrs.fictions「サヨナラ サイキック オーケストラ」
上野ストアハウス/前売券2800円
作・演出:中嶋康太
出演:今村圭佑/岡野康弘/夏見隆太/石井舞/萱怜子/菊池祐太/北川未来/松本哲也
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2011年08月25日

JACROW「明けない夜」

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1963年、裕福な家庭の一室。平和な日常を壊す一本の電話。ひとり娘を誘拐したとの脅迫電話から始まる。犯人捜索のために組織された本庁と所轄の刑事たち。関係者に事情聴取を続けるうち、意外な事実が浮かび上がる・・・
創りたいのは空気。それも吐き気がするほど濃密な。

今に問う。48年前の物語。それでも・・・陽は昇る。
(チラシより)

 一級品のドラマ。しかし物語の緊迫感もさることながら、「昭和38年」の雰囲気をよくもまあ上手に出せるものだと感心しました。セットも役者もタイムスリップしたかと思うほど。JACROWという劇団のカラーがそういう作風のようですが、こういうの好きな人はベタ惚れしそうな完成度です。

 ただ、あまりにも演出がうますぎて、なんだか映画を観ているような感覚になってしまいました。これも良し悪しですが。

2011/08/25-19:30
JACROW「明けない夜」
シアタートラム/前売券2500円
脚本・演出:中村暢明
出演:前田剛/今里真/川本裕之/菅野貴夫/ハマカワフミエ/岡本篤/浅井伸治/谷仲恵輔/秋澤弥里/峯岸のり子/仗桐安/蒻崎今日子/吉水雪乃
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DOLL-COLORED POP「Ceasiumberry Jam」

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「思い出さないんなら、忘れたのと同じだろう?」
 四谷にある雑々たる仕事部屋で、カメラマンは思い出していた。十年前、あの渇いた大地、打ち捨てられた寒村、そこに住む人々との思い出。「さっぱりしたよ。ありがとう」。飛行機を乗り継ぎ彼を訪ねてきた男、かつては家畜を撃ち殺して回る仕事をしていたあの独善的で高圧的なエストラゴン・ヨシフォビッチ・ベルジコフスキー。今は保健省の小役人として庭のある家に住んでいる。二人は古いネガ・フィルムとボロボロのノートを取り出し、一つ一つ、噛み含めるように、あの土地での記憶を掘り起こしていく。1991年、1993年、1994年、1995年、そして1986年。あの土地で何が起こったのか? ジャムを食ってたあの糞坊主、あいつは今、何をしているのだろうか? いや、いや、問題の核心はそこではない。俺たちは確かにあの土地にいた。しかし、一体何が起きたのか、覚えているだろうか、俺たちは?

人類史に深く刻まれたあの大事故を、綿密な取材に基づきオリジナル・ストーリーとして著した初演版から約4年。劇団躍進の契機となった野心作を新アレンジで再録した待望の再演。劇団活動再開記念&第10回記念公演として、2011年の今、上演します。
(チラシより)

 チェルノブイリという地名は出てこなかったように思うが、あの事故を題材とした話だ。放射能に汚染された村で暮らす人々の話。事故と歳月が変えてしまう人々の話。朽ちていく村の話。村を見守る男の話。通りすがりのカメラマンの話。

 初演が4年前。作品を取り巻く状況がわずか4年でこれほど劇的に変わってしまうことも珍しいだろう。間違いなく、4年前と今とでは観客の印象が違ったはずだ。残念ながら初演は観ていないが、今はこの作品を観ておかなきゃいけないと思った。

 作者がこの物語で一番描きたかったのが何なのか、それが4年前と今とで同じなのか、ちゃんと理解できている自信はないが、とにかく重くて濃い演出に絡め取られるような舞台だった。放射能に関する描写はややステレオタイプな感じもしたが、それはあまり重要ではないだろう。医学とか科学の描写ではなく、“汚染”に直面した人々の生きる姿がじわじわと伝わってきた。

 言うまでもなく、もはや他人事ではなくなった。願わくば、さらに4年後にもう一度再演してほしい。その時どんな社会になっているか、まったく予想できないけれど、どうなっていたとしてもまた今とは違った印象となるだろう。

2011/08/25-14:00
DOLL-COLORED POP「Ceasiumberry Jam」
シアターグリーンBOX in BOX THEATER/前売券3000円
作・演出:谷賢一
出演:東谷英人/大原研二/塚越健一/中村梨那/堀奈津美/若林えり/石丸さち子/井上裕朗/加藤素子/佐賀モトキ/芝原弘/田中のり子/細谷貴宏/百花亜希/守美樹/吉永輪太郎
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2011年08月23日

エビス駅前バープロデュース「くすり・ゆび・きり」

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今日、私たち離婚します。
(当日パンフより)

 離婚式、というのは実在するらしい。結婚すらしてない身なので離婚する人の心境など知る由もないが、離婚式に出席する人々がどういう態度で臨むのかは興味深いところだ。そんな離婚式(の舞台裏)を舞台にした作品。

 60分の小品ですが意外と盛り沢山なエピソードが詰め込まれており、休みなく一気に突っ走っていく感じでした。劇場が実際のバーなのでシーンの作り方に制約があると思いますが、うまいことこなして違和感なし。

 開演が21時だったので終演は22時。その後は実際のバーになるので軽く飲んで関係者や観客でわいわいと。観劇前もワンドリンクでビールを飲んでいたのでずっと飲みながら過ごすことに。酒と演劇という好きなものふたつ同時に楽しめて満足でした。

2011/08/23-21:00
エビス駅前バープロデュース「くすり・ゆび・きり」
エビス駅前バー/前売券2500円
脚本:米内山陽子
演出:板垣雄亮
出演:中村貴子/田中千佳子/平塚正信/伊丹孝利/鈴木麻美/だてあずみ。/島田雅之/山ア雅志
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2011年08月22日

マームとジプシー「塩ふる世界。」

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夏の真ん中、暑いけど、どこか寒々しい頃、八月。
街を去る人、残る人。高校生から大人までの時間と身体。
友達たちの後悔と、何かを口にしなければいけない日常。
(チラシより)

 6月公演「帰りの合図、」、7月公演「待ってた食卓、」と今作で三連作となっている。6月公演は芸劇eyes特別編「20年安泰。」の中で上演されたものなので観ているが、7月公演は未見。恐らく観なかったからといって今作が理解できないというものではないと思われる。

 とにかく繰り返しを多用する作風だ。6月公演もそうだったし今作もそう。恐らくは今のところこの劇団のスタイルとしてそうしているのだろう。繰り返しというと少年王者舘がまず思い浮かぶが、それとは少し印象が違う。王者舘は本当に同じ事を繰り返すが、マームとジプシーは少しずつ変化したり違う視点にずれていくなどして、じりじりと物語が展開していく。

 普通ならさらっと流れてしまうシーンが繰り返されることでじっくり噛み締めているような感覚を得られる。しかしテレビのバラエティ番組でやるような、おいしいシーンを繰り返すというのとも違う。この独特な手法は多分ちょっと中毒性があるだろう。

 しかしチューインガムを噛んで味わうようなもので、さほど栄養になるわけでもない。まあ、ガムが栄養になってもむしろ困るのだが。その中身の薄さがちょうどいい。

2011/08/22-14:00
マームとジプシー「塩ふる世界。」
STスポット/当日券2700円
作・演出:藤田貴大
出演:青柳いづみ/伊野香織/荻原綾/尾野島慎太朗/高山玲子/緑川史絵/吉田聡子
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2011年08月15日

ブラジル「さよなら また逢う日まで」

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かつて仲間たちと一緒に、強盗に失敗し、ひとりで罪を被った男。
4年の服役を終え、男は出所してきた。男は、“リベンジ”を誓い、昔の仲間を集め、新たな仲間たちを加え、強盗計画を実行しようとするが・・・
(チラシより)

 ストーリーはいわゆる犯罪者もので、特別目新しい展開ではないと思う。しかしその描き方や演出はとても丁寧で、舞台としての質はとても高かったと言えるだろう。時折コミカルな展開も挟みながら、後半ジワジワと緊張感が高まっていく。

 裏切りなのか?裏切ったのは誰なのか?その理由は?2008年に上演された作品の再演とのことですが私は初見なので、展開が読めずハラハラしながら観ていました。上手なミスリードもあり、途中で結構騙されてしまい、結末はしてやられた感がたっぷりでした。

 主役?の中川智明の動きと声がたまらなくかっこよかった。そして役どころとして奥田ワレタも必然的にかっこいい。

 恐らく二度目に観る時は(展開が変わっている可能性を別として)同じ形でのハラハラはしないと思いますが、それでも演出の巧みさで十分に楽しめることでしょう。とてもスタイリッシュで良質な舞台でした。

2011/08/15-18:00
ブラジル「さよなら また逢う日まで」
紀伊国屋ホール/当日券3500円
脚本・演出:ブラジリィー・アン・山田
出演:中川智明/西山聡/櫻井智也/諫山幸治/宣邦輝彦/服部ひろとし/加藤慎吾/高山奈央子/奥田ワレタ
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2011年08月13日

キリンバズウカ「マッチ・アップ・ポンプ」

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日本のオヤジは強くて弱い。
だから哀しいでも優しい。

男ってのはどうしようもない生き物だとお母さんが言っていた。
そんなどうしようもない生き物と結婚したお母さんの方がどうしようもないんじゃないかと私は思った。
お母さんが家を出てからもう10年近く経つ。
最近はお父さんの顔をみるだけで腹が立つ。
これはどうしようもないくらいにくだらなくて
だけど愛しい我が家のお話。
(チラシより)

 田舎の大きな家に住む父と娘。娘は二浪中の受験生。母は男を作って出ていき、兄は行方不明、山火事で死んだかも知れない。元彼のような違うような男、仲がいいかどうか微妙な友達、父親とできてるっぽい家庭教師‥‥

 キリンバズウカの作品を観るのは初めてです。「軽くて重たい人間関係を独特の言語感覚で描く」というチラシの言葉はまさにその通り。重い話を笑い飛ばすのではなく笑いで包み込むような舞台でした。とても楽しく観劇したけれど、決して単なるコメディではなかった。

 お父さんは娘の知らない所ですごく頑張ってる。暴力を振るっていた兄にも葛藤があったし、堕落した生活を送ってる友達も実はすごく悩んでいる。でも、迷いや後悔や哀しみをたくさん抱えているからといって、ずっと暗い顔で暮らしているわけにもいかない。日常生活ではそれなりに愛想よくしたりギャグを飛ばしたりして過ごしている。立派ではないがそんなに悪いわけでもない登場人物たちの滑稽な振舞いは、温かい目で見守りたくなる。

 改めて書きだすとずいぶん重い話だ。でも舞台は始終笑いであふれていた。作演出も役者も、本当に巧みで素敵だと思う。

 主人公の友達を演じた渡邉とかげが特に秀逸だった。この人は観る度にどんどん良くなっていると思う。今後も期待したい。

2011/08/13-19:30
キリンバズウカ「マッチ・アップ・ポンプ」
アルテリオ小劇場/当日券3500円
脚本・演出:登米裕一
出演:内田周作/小笠原結/根岸絵美/平田裕一郎/深貝大輔/田中こなつ/金丸慎太郎/渡邉とかげ/日栄洋祐
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2011年08月05日

キャラメルボックス「ナツヤスミ語辞典」

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クサナギの元に一通の手紙が届いた。それは、三年前に担任した生徒から。そこに書いてあったのは、ちょっと不思議な夏休みの出来事だった。カブト・ヤンマ・アゲハの3人は中学2年生。ヤンマがプールの水を抜いてしまったことがバレて、先生からプール掃除を命じられる。そこへ、白い服を着た男・ウラシマが現れて、カブトが母から借りてきたカメラでみんなの写真を撮りはじめる。翌日現像してみると、そこに写っていたのは、なんと15年前の景色だった……。
(チラシより)

 キャラメルボックスが他の劇団とタッグを組んで作る「アナザーフェイス」公演。組んだ相手は柿喰う客。私としてはむしろ柿喰う客の方をよく知っていて、キャラメルボックスを生で観るのは初めて(テレビで一度見ただけ)でしたから、ちょっと立ち位置が違ったかも知れません。

 あれこれ語るのは野暮に思えるくらい、楽しさに溢れた舞台となっていました。シンプルですが巧みにデザインされた舞台装置は柿喰う客のスタイルでしょう。逆に通常のキャラメルの演出はどんな感じなのか、ぜひ確かめてみたいものです。

 作品はすでに何度も再演が繰り返されている定番のようで、なるほど良くまとまった話です。本来はストレートプレイで演じられるものでしょう。それが柿喰う客の中屋敷法仁による独特なスタイルで演出されて、実に愉快な舞台に仕上がっています。最初からこういう演出する作品だと言われても違和感がないくらい上手にマッチしていました。

2011/08/05-19:00
キャラメルボックス・アナザーフェイス「ナツヤスミ語辞典」
新国立劇場小劇場/前売券4800円
脚本:成井豊
演出:中屋敷法仁
出演:多田直人/渡邊安理/井上麻美子/鍛治本大樹/林貴子/原田樹里/七味まゆ味/コロ/深谷由梨香/村上誠基/永島敬三/大村わたる/熊川ふみ/川田希/森下亮
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