2011年06月26日

岡田あがさ×須貝英「確率論」

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どれくらいの見込みで雨が降るか?
がん患者がどれくらい生き延びるか?
今から乗る飛行機が墜落する可能性はどれくらいなのか?

為替相場、偏差値、ギャンブル、そして恋愛まで。
現代社会は「確率」の計算で占められている。
そして、我々の人生のレールは、「確率」の枕木の上に敷かれているのだ。

『確率論』──それは偶然の未来を覗き見ようとする人間の欲求。
(チラシより)

 空港の出発ロビーで偶然出会った小説家と数学者の会話劇。消息を絶った飛行機が事故に遭った確率は? 自分が関わった人が不幸になるのは必然か? 二人芝居というのは一人とも三人以上とも違う独特の緊迫感がある。この作品もとても尖った印象を受けた。

 感情的な女性作家と冷静な男性数学者という、ある意味ステレオタイプな登場人物だが、物語が進むに連れて両者のキャラクターは多少混沌としてくる。随所にはさまれた数学概念はさほど難しいものではないが彩りには十分だっただろう。

 なかなか面白い戯曲なので、他の役者や演出家による舞台も作ってもらいたいと感じた。多分、全然違ったものが多数できるのではないだろうか。

 余談だが数学者役の須貝英はちょっと丸顔すぎな気がする。まったくステレオタイプな偏見だが、数学者はもっと骨ばった顔のイメージなのだ。もしかしたら二人を逆にしてもいいのではないだろうか。

2011/06/26-17:30
岡田あがさ×須貝英「確率論」
SPACE雑遊/前売券2500円
脚本:三宅伸行
演出:倉本朋幸
出演:岡田あがさ/須貝英
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パセリス「遠くから見てるだけ」

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1km先でも、よく見える。
アイちゃんとトモちゃんは
ふたりとも安藤くんのことが好きでした。
でもアイちゃんの方が安藤くんのことを好きだと知ったトモちゃんは、
安藤くんをあきらめることにしました。

ただ、ここで一つ問題が生まれました。
トモちゃんは好きな人をランク付けすることを忘れていたのです。
つまり、トモちゃんは好きな人ランキングの
第2位を決めてなかったのです。

はたして、トモちゃんの恋はどこに向かうのでしょうか。
(チラシより)

 恋にトチ狂った女子高生とお姉さんと神様。女子高生らしく暴走する女子高生と神様らしくない暴走に陥る神様。お姉さんは何者? ‥‥物語は他愛のないもので、演出スタイルで稼ぐ舞台だった。

 パセリスは初めて観たので普段のスタイルなのかどうかわからないが、それは『ギャグマンガ日和』のアニメ版を彷彿とさせるような、セリフとセリフの間をほとんど開けずに続けて繰り出して行く演出。息もつかさずと言ったら言い過ぎだが、どんどんどんどん進めていって先が読めない。

 賛否両論ありそうだが、私個人は面白いと思った。役者の滑舌がもっとよければとても面白いスタイルになると思う。まあ古くからの演劇ファンからは否定されそうではあるが。

2011/06/26-13:00
パセリス「遠くから見てるだけ」
サンモールスタジオ/前売券2500円
作・演出:佐々木拓也
出演:大石洋子/大川枝里子/通地優子/小澤絵里香/佐藤ユウ/新田英里香

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2011年06月25日

本能中枢劇団「リボンの心得」

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長くてすまんことです
短くて情けないことです
かたいこともありました
ゆるいこともありました
ラッピングで、輪になって、はしゃいでも
ほどけることは忘れない
結び目の祈り リボンの心得
(チラシより)

 クロムモリブデンの森下亮がTwitterでものすごく推しまくっていて、自分も4回くらい観に行っていたようなので、影響されて観に行きました。

 脱力系の芝居。芝居と言っていいかどうかも怪しい無意味なパフォーマンスがダラダラと続く。いくつもの小ネタが繰り出され、全編全員ほぼ無言。

 たぶん、台本はあっても意味はないのだろう。テキトーな成り行き任せで考えなしのテキストだと思う。爆笑というほどでもないクスクス笑いが良く似合う。

 けなしてるようですが、いい意味で、です。

2011/06/25-19:00
本能中枢劇団「リボンの心得」
こまばアゴラ劇場/当日券3000円
作・演出:西島明
振付:山田うん
出演:猿飛佐助/吉原朱美/信川清順/鵜沼ユカ/宮下今日子/高松泰治/田辺茂範
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芸劇eyes番外編「20年安泰。」

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ポップで、切なくて、知的で、頑固で、
開かれたヤツらが大集合!


この先20年、日本の演劇の未来が楽しみになる才能が5組。
同じ舞台を使い、短編で個性を競い合う4日間。
20年後、これを観たことが自慢になる。
(チラシより)

ロロ「夏が!」
範宙遊泳「うさ子のいえ」
The end of company ジエン社「私たちの考えた移動のできなさ」
バナナ学園純情乙女組「バナ学eyes★芸劇大大大大大作成」
マームとジプシー「帰りの合図」

 改築中の東京芸術劇場がプロデュースする芸劇eyesの番外編として水天宮ピットで開催された、5団体によるショーケース公演。企画の趣旨からして当然だが、それぞれまったくスタイルが異なるため、同じ舞台を使って連続上演するのはかなり難しかったと思われる。どうにか形にはなっていたが、水天宮ピットでの上演に適していた劇団もあればそうじゃなかった劇団もあったと思う。

 水天供ピットは、小劇場と言うには広い方だろう。バナナ学園純情乙女は人数も多い上に暴れ回るスタイルだからちょうどよかったと思うが、ロロや範宙遊泳にはちょっと広すぎたのではないか。ジエン社とマームとジプシーは、もっと狭くても良かっただろうがうまく空間を使って広すぎる印象を消していたと思う。

 個別の作品は決して悪くないが、企画全体としては上記の惹句はちと大袈裟だったというのが正直な感想だ。20年後に振り返った時、この5作品が何かの起点になっていたと感じる可能性がゼロではないが、現時点ではそこまでのものとは思えない。

 5団体の中で初見はマームとジプシーのみ。ロロは前回観た時と同様、よくわからない。ハイコンテクストなのかもしれないが、そうかどうかすら判断できない。ジエン社は悪くないが、描いている風景はもう古くなっているのではないかと思った。範宙遊泳はがんばっていた。面白いけれど、20年も覚えていないだろう。バナナ学園には水をかけられた。マームとジプシーは興味を惹かれ、もう一度観てみたいと思った。反復の演出は彼らが初めてではないし少年王者舘に比べたらはるかに甘い反復だが、あれを少しひねったような演出はこれから増えてくるのではないだろうか。

 大袈裟な謳い文句に見合う内容だったかは疑問であるが、手軽なショーケース公演としては十分に面白いものだったと思う。

2011/06/25-14:00
芸劇eyes番外「20年安泰。」
水天宮ピット/前売券2000円
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2011年06月18日

「モリー・スウィーニー」

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あの時彼女は、
全てのものを
持っていた。
(チラシより)

 生まれてすぐに全盲となった女性が、手術によって40年ぶりに光を取り戻す。その時彼女には何が「見える」だろうか。原案となっているのは、『妻を帽子と間違えた男』など脳神経外科の患者を描いたエッセイで知られるオリバー・サックスの著作。そのことを当日パンフで知り、エピソードを思い出した。

 登場人物はたった三人で、しかも全てモノローグで構成されている。下手をすれば朗読劇のようになってしまいかねないが、決してそんなことにはならない力強さが感じられた。役者の力量と演出家の工夫がうまく噛み合っていたのだと思う。

 確かサックスのエッセイに出てきた元の話では男性だったように思うが(記憶違いかもしれません)、この作品ではとても魅力的な女性とすることで、妻を愛する夫、患者を慈しむ医者というこれまた魅力的な男性二人を絡ませている。決して器用ではなくむしろぎこちない愛情がジワジワと伝わってくる舞台だった。

 ラストの演出だけは書いておきたい。南果歩演じる主人公モリーは、完全暗転の中で長いモノローグを語る。語りながら劇場の中を移動──舞台から客席に降りて通路をぐるりと歩いて一周──していく。姿の見えない彼女の位置を、観客は声だけを頼りに定位する。そして最後に舞台中央に立った彼女を、弱いスポットライトがぼんやりと照らす。

 盲人の気分を味わうとかそんな安っぽいことではなく、意識をただ声だけに集中するために、あの演出はものすごい効果があったと思う。あまりに集中しすぎて、モノローグの中身は全然覚えていない。ただその声が優しく喜びと感謝に溢れていたことだけが残っている。あんな声が出せるものなのかと驚くほどだった。

2011/06/18-18:00
「モリー・スウィーニー」
シアタートラム/当日券5000円
作:ブライアン・フリール
訳・演出:谷賢一
出演:南果歩/小林顕作/相島一之
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2011年06月10日

燐光群「推進派」

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普天間基地ヘリコプター部隊の移設先に指定された島。
ただただ島の繁栄を願う男のもとに、
混乱に晒された日本各地から流れてきた人々が集まった。
「基地を呼んだら何かいいことがあるなんて、間違ってる」
「自分以外の所に移せばいいというのは、もっと間違ってる」
「人間が、自分の限界を超えて作ったものは、みんな怖いんです」
「現在」をまるごと、つかみ取る。
「今、この瞬間」を刻む。
── 待望の坂手洋二・最新作。
琉球でもヤマトでもない。
ここは俺たちの島だ。
(くまやわっきゃしまだーに)
(サイトより)

 主に米軍基地の誘致をテーマに、揺れる南の島の人々と移住者たちの葛藤と困惑が詰め込まれた作品。モデルとなっているのは徳之島。現在も基地問題の渦中にあるだけでなく、核廃棄物処理場誘致の話もあり、福島の原発事故から逃げてきた人も出てくるなど、ものすごく現在進行形の問題を扱う物語となっていた。

 社会問題を扱うことが多い燐光群だが、ここまでリアルタイムなテーマはちょっと珍しいのではないだろうか。それゆえか説明的なセリフが非常に多く、内容が濃いのはいつも通りですが今回は特にぎゅうぎゅう詰めと言えるほど密度が高かったように感じた。

 移住者の仮住まいに提供された、スポーツクラブだった建物の広い一室が舞台となるワンシチュエーションドラマ。ただし登場人物が多い上に時間の経過もかなりあるため、観ていて飽きることはない。というか飽きる暇がない。むしろ情報過多でだんだん疲れてきた。

 恐らく何年も経ってからそのまま再演されることはないと思いますが、今後の現実の新たな展開を踏まえて、もう一度同じ時期の物語をすっきりしたスタイルで再構成してもらえたらいいなと思います。

2011/06/10-19:00
燐光群「推進派」
ザ・スズナリ/前売券3600円
作・演出:坂手洋二
出演:大西孝洋/はしぐちしん/樋尾麻衣子/橋本浩明/田中結佳/猪熊恒和/根兵さやか/安仁屋美峰/松岡洋子/中山マリ/川中健次郎/杉山英之/鈴木陽介/武山尚史/鴨川てんし/加藤道子/福田陽子/桐畑理佳/山崎蝶子/横山展子
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少年社中「天守物語」

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覚悟が出来たら、ここまでおいで───。
白鷺城の天守閣から妖艶な婦人が地上を見下ろしている。
婦人の名は「富姫」。そこに一羽の鷹が舞い降りる。
「妖怪は、人を殺めると鳥となる…」
因果は絡み縺れ、やがて愚かにも人は、
地を鎮め、地を守る妖怪を打ち滅ぼさんとする。
天地動乱の行く末。
古き因果の行く末。
人も妖怪も、ただ己の幸福を求め戦い続ける。
少年社中がお贈りする、三年ぶりのジャパニーズ・エンターテインメント
種を超えた悲恋の行く末は、天高く飛翔する─。
(チラシより)

 泉鏡花の戯曲を少年社中の毛利亘宏が脚色したとのことですが、原作を読んでいないのでどこがどう変わったかはわかりません。ただ泉鏡花と言えば幻想的で難解な印象があるのに対し、今回の舞台は比較的わかりやすい娯楽作品になっていたので、その辺が少年社中のカラーなのだろうと想像します。

 名前は聞きますが少年社中自体が初めての観劇でした。まずビジュアルの派手さが印象的。役者もみな美男美女だったような気がします(後方の席だったので細かい容姿は見えてないのですが)。吉祥寺シアターは中規模の劇場ですが、装置や演出によってかなり広く感じるゴージャスな舞台でした。総じて、エンタメ系の王道といったところでしょうか。

 鷹の役が片手をうねらせて翼を表現する動きがかっこよかった。あれを両手でやると滑稽なのに、片手にするだけでいかにもイケメンな雰囲気になるのが面白い。しかしなんだか美しすぎる感じもしました。個人的にはもっと泥臭さのある演出が好きです。

2011/06/10-14:00
少年社中「天守物語」
吉祥寺シアター/前売券4000円
原作:泉鏡花
脚色・演出:毛利亘宏
出演:堀池直毅/井俣太良/大竹えり/岩田有民/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/山川ありそ/内山智絵/竹内尚文/あづみれいか/柴木丈瑠/ちょーすけ/萱怜子/菊池千花/堀口大介/宮崎菜穂
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2011年06月04日

TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER TWENTIES」

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一人の20代の女性が過ごす
20歳から29歳までの十年間を、
20代の女優十人で描き出す。
切なくてHAPPY、繊細で怒涛、
寂しいけど祝祭的な女子の20代。
トープレ版「女の半生」、開幕です。
(チラシより)

 久しぶりに、「こういう手があったのか」と感心した。まずその構成が面白い。10人の女優が歳ごとに並んで、歩んできた10年が順番に語られるわけだが、時々世代間で争ったりする。語られる人生は山あり谷ありだがあくまで普通の女性の物語。でも、それがまるで自分の家族のように身近なものに感じられる。

 年齢が上がってからの彼女は、若い頃の彼女のことを当然知っているが、自分より年上の自分は知らない。だから最後に29歳の彼女が語ることは、他の9人には未知の領域だ。29歳の彼女だけは謎の人物のように映っている。次の10年に踏み出そうとする彼女を興味津々で9人の彼女が見守る。ラスト近く、彼女が電話している相手は誰?あのシーンは実にワクワクした。

 同じ手法を用いてもっと色々な工夫もできるだろうが、少なくともこれを観ている時はこれがベストに感じられるものだった。

2011/06/04-19:30
Tokyo Players Collection「IN HER TWENTIES」
王子小劇場/前売券2500円
脚本・構成・演出:上野友之
出演:榊菜津美/八幡みゆき/井上千裕/中村梨那/梅舟惟永/南波早/吉川莉早/甘粕阿紗子/小鶴璃奈/冬月ちき
続きを読む:スタッフリスト
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