2011年04月30日

とくお組「雲をつかむような冒険」

kumowotukamu.jpg

SOS
というほどのことでもないが、
何か温かい物があれば、分けてくれないだろうか。
与圧機器が壊れて、水が三十度で沸騰してしまうようになった。
ラーメンを食べようにも、ぬるくてたまらないのだ。
すまない、途中からくちゃくちゃになった。
もう一度最初から打ってくれないか。
(チラシより)

 飛行艇に乗る、海賊ならぬ空賊の話。でも根っからの悪者ではないメンバーばかりで、結局何も奪えずほとんど空を漂流するように飛んでいる。帰ったらどうしようか。そこにやってくる小型機のパイロットは、どうも怪しい・・・

 とくお組を観るのは3回目。典型的な脱力系コメディで、ゆるーく笑える時間を過ごすのにちょうどいい。今回は前の2回ほど大笑いする所は少なかったが、それでも要所要所でいい感じのボケた成り行きが楽しめた。北川仁さんはいつもちょっと悪い人の役どころだが、あの顔のせいだろうか。

 余計なことを考えずに身を任せて良いタイプのお芝居。

2011/04/30-19:00
とくお組「雲をつかむような冒険」
駅前劇場/当日券3800円
作・演出:徳尾浩司
出演:篠崎友/北川仁/堀田尋史/鈴木規史/柴田洋佑/本折智史/徳尾浩司
続きを読む:スタッフリスト


posted by #10 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月23日

売込隊ビーム「俺のカー・オブ・ザ・イヤー」

orenoka-obuzaiya-.jpg

あのときの、
一台の車にまつわる物語を、俺は語るだろう。
視点が変われば観点が変わり、歩む道が変わる。
「言葉の裏を読もうとしないで。そのままの意味で受け止めてくれたらいいんだから」
ってあいつが言った。けど、あんまりピンとこない。
車は今も倉庫に眠っている。
乗ってないのに毎年自動車税を支払うのが歯がゆい。
グラントリノみたいな車だったらまだしも、
俺の車は軽トラなんだぜい。
(チラシより)

 売込隊ビームはこの公演をもって“充電期間”に入るため、充電前最終公演と銘打たれている。しかし充電の完了がいつになるかは未定なので、最終公演になってしまう可能性もあると思われる。だから観に行ったというわけではないが、やはり何となくそれを意識しながら観劇したのは事実だ。

 しかし作品の中身は特に最終公演っぽい特別なことはなく、いつもどおりの売込隊ビームだった。これまでいつも大阪の比較的広い舞台で観ていたので、「劇」小劇場という東京の小さな舞台はちょっと違和感もあったが、小さいなりに合わせたほどよい演出ができていたと思う。

 売込隊ビームの作品はだいたいいつもポップに始まってダークに終わる。それは判っているはずなのに、やっぱり最初のポップに騙される。というかその事自体、知人に指摘されるまで気づいていなかった。いつもまんまと騙される自分は幸せな観劇者に違いない。

2011/04/23-18:00
売込隊ビーム「俺のカー・オブ・ザ・イヤー」
「劇」小劇場/当日券3200円
作・演出:横山拓也
出演:山田かつろう/宮都謹次/杉森大祐/草野憲大/竹田桃子/平地恵/辻るりこ/小山茜/三谷恭子/行澤孝/津留崎夏子
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クロムモリブデン「裸の女を持つ男」

hadakanoonnawo.jpg

元アイドルがドラッグ事件で逃亡したとき、ヒッチコック監督の映画「サイコ」の主人公が車で逃走するシーンと重ね合わせてしまった私の妄想はドンドン膨らみ、逃走者が辿り着くモーテルでは、ドラッグを使用して倒れた女性を巡って、アタフタする男が謎の電話を掛けているのでした。やがてその一本の電話が世界を破滅に導く!
(チラシより)

 最後にストーリーを投げ出して爆音とダンスで幕を下ろすのは、以前からだったろうか? それはそれでスタイルなのだろうけれど、ここ3回くらいで強く思うのは、せっかく面白い設定と展開を引っ張っているのだから、もうちょっと気の利いた終わらせ方があるんじゃないかということだ。

 クロムモリブデンを観るのは6回目になる。誰かが「伝統芸能」と呼んでいたが、悪く言えばそろそろマンネリ感を抱き始めてしまった。最後のダンスシーンが始まると意識がぼうっとなってしまう。締めくくり方としてどうももったいない想いが残る。

2011/04/23-14:00
クロムモリブデン「裸の女を持つ男」
シアタートラム/前売券3500円
作・演出:青木秀樹
出演:森下亮/金沢涼恵/板倉チヒロ/奥田ワレタ/木村美月/久保貫太郎/渡邉とかげ/幸田尚子/小林義典/武子太郎/花戸祐介/辰巳智秋
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月16日

ホチキス「湯煙の頃に君を想う」

yukemurinokoro.jpg

犯人は、あなたじゃなかったんですか?
(チラシより)

 ある寂れた温泉宿で、テレビ局がサスペンスドラマを撮影するという。ところが直前になって台本が盗作と判明(だったかな?)して撮影できなくなり、キャンセル・・・だが実は最初から撮影の話などなく、ディレクターが豪遊するためのでまかせだった・・・しかし台本さえあればいいんだろうと、宿の女将が一晩で書き上げると宣言し・・・泊まっていた常連客が実は高名なシナリオライターで・・・実は彼は今夜辞めていく仲居の・・・

 と、あらすじを書いたらやたらと「実は」が多くなりそうな、いかにもな感じのサスペンスドラマ風舞台。定番ネタ的な展開をてんこ盛りにしながら、うまい具合に大団円と結びつける。

 ふざけたようなノリの作風だがしっかりと作りこまれ、荒もなく面白かった。なにげに役者の質が高いと思う。帰りに他のお客さんたちが口々に「面白かったね!」と言い合う姿がそこらじゅうで見かけられた。

2011/04/16-19:00
ホチキス「湯煙の頃に君を想う」
テアトルBONBON/前売券3500円
作・演出:米山和仁
出演:山本洋輔/山崎雅志/加藤敦/小玉久仁子/船戸健太郎/村上直子/斎藤美和子/渡邊安理/村上誠基/松本理史
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月09日

北京蝶々「パラリンピックレコード」

pararinpikku.jpg

イシハラ都知事、絶体絶命。
二度目の東京オリンピックを目前に控え、祝祭ムードに包まれる東京都。
新都心に建設されたオリンピックスタジアムがテロリストにより占拠され、
視察中のイシハラ都知事が人質となる。
新型の義肢を装着したパラリンピック・アスリートは人質を救出する為に奔走するが……。
イシハラ都知事も真っ青の表現規制ぶっちぎりエンターテイメント!
(チラシより)

 前回公演「あなたの部品リライト」では本物以上の義肢を作る人を主人公にした北京蝶々。今回もまた生身以上の性能を持つ義肢を装備したアスリートが登場するが、雰囲気はだいぶ違っている。作者は同じなので、やはり演出の違いだろう。前回は時間堂の黒澤世莉、今回は柿喰う客の中屋敷法仁だ。前者に比べて後者はかなりコメディ風味が強くなっている。

 ちょうど東京都青少年健全育成条例の改正問題(いわゆる非実在青少年問題)や震災の天罰発言など石原都知事の失言が注目されている時期で、作品に登場する「イシハラ都知事」もそれをイメージした独善的な人物に描かれている。とは言ってもあくまでキャラクターとしてであって、別に石原都知事を批判するような作品ではない。

 作品の本質はやはり義肢と障害者と、さらに色んな意味でアブノーマルな人々だ。こういう作品はなかなかメジャーでは書きづらかろうが、荒唐無稽な設定の反面、主要な登場人物の描写はとても現実的なものだった。つまり、決して品行方正な善人などではなく、どろどろした内面を持つ普通の人間であり、人に言えない趣味があったりする。

 そして、あくまでもそれは設定であり、それを生かしたストーリーで楽しませてくれる舞台だった。キャラクターの面白さはイシハラ都知事だけではなく、端役まで含めてみんな愉快な人物だらけ。題材がきわどくても単純に笑わせてもらえる作品になっていました。

2011/04/09-19:30
北京蝶々「パラリンピックレコード」
シアタートラム/前売券3300円
作:大塩哲史
演出:中屋敷法仁
出演:帯金ゆかり/森田祐吏/岡安慶子/田渕彰展/山本卓卓/堀越涼/コロ/伊原農/安藤理樹/横道毅/佐野木雄太/今城文恵/藤尾姦太郎/佐賀モトキ/冠仁/杉村こずえ/前田勝/浅見紘至/印宮伸二/長野耕士/高橋洋介/権五柱/石黒淳士/浪打賢吾/浜崎仁史/流山児祥
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

時間堂「廃墟」

haikyo.jpg

「廃墟」───敗戦直後の東京。焼け跡の洋間を舞台に繰り広げられる家族の物語。
体制が変わった事を機に教職を休んでいる柴田の家に、戦傷を負った教え子が訪れるところから物語は始まる実直に教壇への復帰を求める教え子の頼みを、柔和にしかしかたくなに拒む柴田。金に困り飢えにさいなまれている柴田とその家族たちの間に、だんだんと戦争が変えてしまった人間像が浮き彫りにされていく。敗戦が市井のひとびとから奪ったものは、命や食料だけではなかった。
(チラシより)

 大義名分も正義も道徳もどこかへ行ってしまったような社会の中で、政治と革命を語る者、厭世的に現実をわらう者、身をやつして生き抜く者、誰もが空腹で、先が見えない暮らしを続けている。家族のこれからをどうするの。日本はこれからどうするの。何も答は出てこないけれど、ただ葛藤だけが確かにある。

 平成に生きる我々にとっては時代劇のような作品だが、三好十郎によるこの戯曲の初出は1947年5月であり、敗戦から2年も経っていない。多少は落ち着きを取り戻していたかも知れないが、当時としては決して昔話ではなく、現在進行形の今を描いたものだっただろう。役者も観客も、今とは全然違う思いでこの芝居に接していたと思われる。

 私たちは当時の人々と違って、それから日本がどうなったかを知っている。奇跡のような発展を遂げたことを知っている。米国と同盟を結び、社会主義国を敵にしたことを知っている。その知識を踏まえた上で見ている私たちと、そうでなかった当時の観客とでは、感じ方は大きく違うだろう。作者が表現したいと思っていたことをよりよく受け止められるのはどちらだろうか。

 とはいえ、役者も観客も飢えなど知らない、革命への議論すら過去のものとなってしまった今において上演されたものとしては、とても成功した舞台になっていたと感じた。染み入るべき作品がちゃんと染み入ったという印象だ。

2011/04/09-14:00
時間堂「廃墟」
シアターKASSAI/前売券3000円
脚本:三好十郎
演出:黒澤世莉
出演:鈴木浩司/菅野貴夫/浅井浩介/小川あつし/小田さやか/酒巻誉洋/猿田モンキー/高島玲/武井翔子/百花亜希
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月02日

The end of company ジエン社「スーサイドエルフ/インフレ世界」

su-saidoerufu.jpg

「スーサイドなエルフ」である死ぬ死ぬ詐欺の女は、打ち捨てられた大量の紙幣を抱えながら、放置された旧美大跡のアトリエにひっそりと籠り、この場所に意味もなく集ってきた仲間達に優しくされるのを待ちながら何もしていなかった。そのころ中東の国イエメンではかつて女の3番目に好きだった男が自己責任で拘束されつつ、何もしないまま親切な扱いを受けていた。そして女に優しくしようとしていた男は、優しくするとは何だろうか、と考えるだけで特に何もする事はなかった。誰ひとり何もしないまま、舞台は1ドル49円の世界へ突入していく……。
 前回あたりからリアルである事をあきらめたジエン社第6回公演は、演劇をやる根拠に酸欠しながら、それでも、すでにインフレしている「物語」の枠組みへ再突入していく。
(チラシより)

 様々な背景を持つ人物がちょっとずつ関わり、すれ違い、ぶつかり、別れていく。物語が進行していくようでそうでない。これは状況そのものが描かれている作品だと思う。その場所を中心に人々が行き来する、いわゆるワンシチュエーションドラマ。

 大学というのは、ほどよく社会から隔絶した空気が漂う。自分の学生時代の部室もそうだったけれど、ごちゃごちゃと色々なガラクタの中に居心地の良い場所ができる。ずっとそこに居続けるわけにはいかないと心のどこかで知っているのに、でもしばらくはここにいたいと思う場所。

 この作品で描かれた場所は旧美大跡のアトリエという設定なので、動いている大学ともまた違い、ある意味時間が止まっている。だからなおさら社会との隔絶感が強くなる。さらに外ではデモをやっていることでコントラストが際立つ。何も生み出さない空間。でもそれは、栄養のないお菓子のように美味しいのだ。

 動かざるをえない世界で生きながら、時々こんな場所に逃げ込みたくなる。そんな誘惑を感じさせる舞台だった。

2011/04/02-19:30
The end of company ジエン社「スーサイドエルフ/インフレ世界」
d-倉庫/前売券2800円
脚本・演出:作者本介
出演:猪股和麿/伊神忠聡/大倉マヤ/大重わたる/萱怜子/北川未来/西尾友樹/中野あき/萬洲通擴/守美樹/山本美緒/横山翔一/善積元続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Minami Produce「とても個人的な物語」

totemokojinteki.jpg

インスタントコーヒーと昔恋人にもらったファイアーキングのマグカップ。
趣味に一貫性のない大量の本と、かつてカウンターカルチャーだったやはり大量のCD。
モンティ・パイソンのビデオとトレインスポッティングのポスター、
録りためたディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー。

締切、原稿用紙、朝焼け、電話は鳴らない、春夏秋冬。それが今の生活の全て。

作家が「今ここにいる自分は、自分ではない」と気付くのは、それからほんの少し後のこと。
(チラシより)

 小説家を主人公とした舞台。男女バージョンがあったようですが女性作家バージョンを観てきました。正直に言うと女性作家を演じただてあずみ。さんと友達だったからですが、それはさておき。

 書けなくなってしまった作家と、見守る編集者と、作品の登場人物たち。“現実”と“作品の世界”が交互に描かれていきますが、途中から作家自身が作品世界に引きずり込まれて・・・という展開。

 セリフ回しがとても小説的で、ちょっと舞台演劇の手法とは違う印象を受けました。眼を閉じていたらリーディングを聞いている感覚になったかもしれません。小説と小説家にまつわる話だからわざとそうしてるのかと思いましたが、聞くところによると今回に限らないそうです。これはこれでアリかもしれませんが。

 新宿眼科画廊で観劇するのはこれが初めてですが、思った以上に小さなスペースでした。恐らく通常は入口側を客席、奥側を舞台にするのだと思いますが、今回は壁際を客席、中央というかほぼ全体を舞台にしていました。小劇場ならではの使い方ですが、それはうまくいっていたと思います。

2011/04/02-14:00
Minami Produce「とても個人的な物語」
新宿眼科画廊/前売券2500円
脚本・演出:南慎介
出演:だてあずみ。/芝原弘/浅見臣樹/大塚友里衣/石井舞/窪田壮史/チバアカネ/竜史
続きを読む:スタッフリスト
posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。