2010年06月26日

劇団鹿殺し「電車は血で走る」

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大阪豊中市、職人達の汗と熱気と怒号溢れる工務店。
彼らは歌劇団を結成し、本職を超える情熱を叩き込んでいた。
しかし、小さな工務店の生き残りも難しい日々、
夢と現実の狭間でバラバラになる仲間たち。
そんなある日、歌劇団の作家でもある職人のヒロは、
かつての友人に再会。
その友人は、二十年前と全く同じ姿でヒロの前に現れた。
ヒロは思いだす。
── そう、かつてあの列車に乗ってしまった、あの友人だと。
一方ヒロ自身は、あの列車に乗らなかった。
── 二人の運命を変えた二十年前の分岐点。
幼い頃、たった一度の決断で運命は大きく変わってしまった。
その時から、今も、そしてこれからも、電車は血で走る。
(チラシより)

 元々関西の劇団でありながら、ちょうど私が関東から関西へ引っ越した頃に東京へ進出してしまった劇団鹿殺し。観るのは4回目ですが、初めて東京で観劇しました。本作は再演ですが私は初見。10周年記念でロングラン公演でした。

 前回観劇した「スーパースター」はちょっと空回りな印象も受けた鹿殺しのパワフルさが、本作ではジワジワビリビリとこちらに伝わってきました。うっかり感情移入でもしようものなら一気に泣いてしまう熱を帯びた舞台でした。

 舞台となっている庄内の工場地帯は、リアルに仕事で行くことがある場所で、次に行ったら思い出して泣くかもしれません。

2010/06/26-14:00
劇団鹿殺し「電車は血で走る」
東京芸術劇場小ホール1/前売券3900円
作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
出演:オレノグラフィティ/菜月チョビ/丸尾丸一郎/山岸門人/橘輝/傳田うに/坂本けこ美/高橋戦車/山口加菜/河野まさと/高木珠里/谷山知宏/今奈良孝行/田中慎吾/ちゃむ/富山恵理子/藤崎ルキノ/水野伽奈子/渡辺心/イダシンゴ/たぐちプラス/東加奈子/安田準
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2010年06月20日

リリパットアーミーII「罪と、罪なき罪」

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 (前略)
明治13年。
開国以降、十数年が経ち、
人々が新しい時代の地に足を付け始めた頃。
 (中略)
そんな時、日本の外交を根底から覆す大事件が起きる。
ロシアの皇太子が日本の巡査に切りつけられて、
怪我をしたのである。
下手をしたら戦争になりかねない…
自由な風潮は一変する。
 (後略)
(チラシより/全文は続きに)

 1891年(明治24年)に起きた大津事件を題材にした作品ですが、史実をかなり脚色しています。正直言ってその脚色が安直すぎて好きになれませんでした。この事件は史実そのままでも描き方次第で相当にドラマチックになるものです。

 エンターテイメントとしてはさすがに歴史ある劇団で、盛り上げるツボを押さえてるなあと思える出来栄えでした。

2010/06/19-15:00
リリパットアーミーII「罪と、罪なき罪」
ABCホール/前売券4500円
作・演出:わかぎゑふ
出演:コング桑田/野田晋市/千田訓子/上田宏/谷川未佳/祖父江千夏/わかぎゑふ/粟根まこと/八代進一/茂山宗彦/曽我廼家八十吉/柊巴/美津乃あわ/森崎正弘/や乃えいじ/浅野彰一/ほか

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2010年06月19日

PM/飛ぶ教室「ぞわぞわ 泣きに行くよ、海へ──

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もう若いこともない
あたしらやったのに

また
どっちかのさびしさが
どっちかにだけ
重かったりしたんやね

さよならも言えんぐらい
どんよりと
あんたは遠い
ひとになる
(チラシより)

 閉店するため片づけ終わった海辺のバーを舞台に、男と女の昔話、ちょっとした事件が起こり、出会いと別れがあって‥‥まあそんな話が静かに綴られていく。終わっていく淋しさが中心になっており、ほぼ全体が「過去を振り返る」ことで成り立っている。

 終わりの淋しさを描くというのはよくあるパターンだが、その先にある未来への希望観たいので飾られる場合が多いだろう。この作品もそういうセリフがなくもないが、あまり重要ではない。淋しさそのものがちゃんと中心から外れずに描かれていたと思う。

 私には幸か不幸か重ねられる経験もほとんどないので、どれだけこの舞台の味が理解できたか定かではないが。

2010/06/19-18:00
PM/飛ぶ教室「ぞわぞわ 泣きに行くよ、海へ──」
アイホール/当日券3500円
作・演出:蟷螂襲
出演:福井玲子/山藤貴子/白井哲也/北沢洋/牧野エミ/蟷螂襲
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2010年06月16日

てらりすと「人デナシノ唄」

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それは、ある畸形の男の復習に満ちた物語。
(チラシより)

 二重胎児として生まれて切り離された兄妹。醜い兄は幽閉され、美しい妹は女優になった。二人の間には愛と憎しみが‥‥。という感じの物語ですが、「妄想ミュージカル」というカテゴリー名を創出しているように、普通の演劇とはちょっと異なるライブパフォーマンスでした。

 会場も梅田シャングリラというライブハウスであり、チラシの雰囲気も芝居っぽくなかったのであまり関心も無かったのですが、新良エツ子を先日の柿喰う客公演で観てこれは面白そうだと思って行くことにしました。

 生演奏をバックに新良エツ子が歌って踊って物語を紡いでいくスタイル。とーっても芸達者な人です。音楽を担当するのはデス電所の和田俊輔ですから、絢爛豪華な演出です。ゲストの伊藤えん魔もまた芸達者という概念を実体化させたようなキャラなので、大盛り上がりとなりました。

 考えてみたらそのそも舞台演劇はライブパフォーマンスなのだから、こういうスタイルももっと増えていいと思います。

2010/06/16-19:30
てらりすと「人デナシノ唄」
梅田シャングリラ/当日券3500円
出演:新良エツ子/和田俊輔
スペシャルゲスト:伊藤えん魔
オープニングアクト:teamバキューム
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2010年06月13日

劇団925「福喜多さんちの三兄弟2」

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昨年の8月、福喜多家に突然現れた女性よう子さん。
不在がちな父の再婚相手として一緒に暮らすことになった三兄弟。
同居は無理だという事で意見は一致していた三兄弟と果たしてうまく暮らしているのか?
待望のシリーズ第2弾!福喜多家の梅雨の一日の物語。癒し系コメディ。
(チラシより)

 昨年上演された「福喜多さんちの三兄弟」の続編にあたりますが、前作を観ていなくても特に問題はありませんでした。

 三兄弟と言っても一人は不在で話題の中にしか出てこず、登場人物4名のうち一人はビデオの中だけなので、舞台上に立っているのは三人だけ。in→dependent theatre 2ndの広さで三人だけだとかなり広く感じてしまいそうですが、居間の舞台セットがしっかりと作られているためちょうどいいくらいの印象でした。

 内容は実に暖かい家族の物語。ちょっとしたドタバタがありつつ、誰も誰をも傷つけず思いやりあう様子は甘すぎて、下手をすると物足りなくなるくらいです。

 個人的にはここまで癒し系だと逆に癒されなくなりますが、こういう作品も世の中には必要なのでしょう。観客の大半が女性客だったのも印象的でした。

2010/06/13-17:00
劇団925「福喜多さんちの三兄弟2」
in→dependent theatre 2nd/当日券3800円
作・演出:中西邦子
出演:関敬/田渕法明/中西邦子/赤星マサノリ
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2010年06月12日

ベトナムからの笑い声「ベトナムガエシ」

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オムニバスへカエル
話題作「オリエンタル歌劇団」と、新作3本
2年半ぶりのおカエシ
最後の、精華小劇場公演
(チラシより)

 劇団お得意の短編オムニバス。「マフィアンルーレット」「ミステリー小説を読みすぎた女とサスペンスドラマを観すぎた女に惚れられた松本清張な男」「スキャンダル」「オリエンタル歌劇団〜ミュージカル・ロンドバルトとポニーテール in 大阪」の全4作。

 個人的には最初の「マフィアンルーレット」が一番のツボでした。デタラメ外国語をしゃべる登場人物と字幕に映し出されるセリフですが、デタラメ外国語がどことなく日本語、だんだん日本語、下ネタのような日本語。中学生レベルと自ら語られる本当にしょーもない作品でしたが、何度でも観たくなります。

 他の作品もそれぞれ味のあるコメディで、難しいことは何も考えず楽しめました。

 これは余談ですが、こんなに楽しい舞台を作る劇団の代表である丸井さんが、どうしてあんなに小難しい芸術を支持するのかわかりません。イキシマよりベトナムガエシの方が100倍くらい面白いです。

2010/06/12-18:00
ベトナムからの笑い声「ベトナムガエシ」
精華小劇場/当日券1800円
脚本:黒川猛
出演:荒木千恵/黒川猛/徳永勝則/西河ヤスノリ/信國恵太/堀江洋一/松村康右/山方由美
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2010年06月07日

クロムモリブデン「恋する剥製」

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「あなたには中身が無いから」女にそう言われた口先だけの剥製男。彼は恋愛がうまくできない。ところが男はその口先を買われて「占い」の世界に飛び込むことに。そこには人々を欺く様々なデタラメが蔓延しており、デタラメな人間や現実社会に不適合な者がたくさん集まってくる。彼らは皆、恋が苦手で愛も苦手。そんな仲間と始めた仕事は、占いから、悩み相談に変わり、いつの間にか、恋愛相談所になってしまう!
2010/06/07-19:30
(チラシより)

 クロムモリブデンの作品はあれこれ語るだけ野暮だろう。今回は(今回も)デタラメである。気持ちよくデタラメを吐き続ける。とぼけた演出は相変わらず。ラストは大団円ではなく波乱の投げっぱなし。でも、下手にオチを付けるよりすがすがしい。

 ただ、過去に観た時より劇場が広く、当日券で一番後ろの席だったこともあって舞台が遠くなってしまい、どっぷりと世界に漬かるのが難しかった。ラストの爆音も全身を包み込むのではなく前方で鳴っているのを聞いていた格好であり、やや残念。 

クロムモリブデン「恋する剥製」
HEP HALL/当日券3500円
作・演出:青木秀樹
出演:森下亮/金沢涼恵/奥田ワレタ/木村美月/久保貫太郎/渡邉とかげ/幸田尚子/小林義典/武子太郎/花戸祐介/中川智明/小林タクシー
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2010年06月05日

柿喰う客「露出狂」

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─新興強豪校として名を馳せる県立高天原女子高校サッカー部。驚異的な結束力を誇るこの部には、チームワークを維持するための[鋼の掟]が存在するという─

部活という閉塞的社会で巻き起こる女同士のプライドを賭けた泥仕合!!ダマせ!蹴落とせ!這い上がれ!こんな青春に誰がした!?

夢と希望と皮肉と悪ノリが支配する「柿喰う客」の新作本公演はオール女性キャストでお送りする愛憎×スポ魂活劇!!
(チラシより)

 柿喰う客は東京の劇団ですが東京にいた時は観ていません。愛知県で開催された演劇博覧会カラフル3で「恋人としては無理」を観たのみでした。しかしカラフル3で一番印象に残った劇団であり、大阪では七味まゆ味一人芝居を観て、やっと今回本公演を観られました。

 内容は荒唐無稽でまさしく妄想エンターテイメント。作・演出の中屋敷氏は男性ですがキャスト全員が女性でかなり卑猥な表現もあり、よく演出できたと関心します。

 普通の演劇とは表現技法がだいぶ異なるため、納得いかない人もいると思われます。演技としては朗読に身振りを加えたような程度で、役者が登場人物をリアルに演じるものではありません。舞台装置もオブジェのような台のみで、感覚的には素舞台に近いものでした。

 しかし怒濤の様に全身で語りまくるスタイルには圧倒されます。すさまじいパワーで押し寄せてくるようでした。こういう手法もあるのだと受け入れれば非常に面白いと感じられるでしょう。個人的にはとても気に入りました。

2010/06/05-14:00
柿喰う客「露出狂」
精華小劇場/前売券3000円
作・演出 中屋敷法仁
出演:七味まゆ味/コロ/深谷由梨香/梨澤慧以子/岡田あがさ/右手愛美/新良エツ子/八木菜々花/佐賀モトキ/山本真由美/佐藤みゆき/細野今日子/熊川ふみ/山脇唯
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