2010年04月29日

七味まゆ味一人芝居「いきなりベッドシーン」

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(チラシ画像は東京公演のもの)

 柿喰う客に所属する女優・七味まゆ味の一人芝居。破天荒な女子高生がすさまじい高校生活を堪能した揚げ句に清水の舞台から飛び降りるまでの急転直下な物語。

 とにかく最初から最後まで激しくスピード感がある。花火のように打ち上がって奈落の底まで急転直下。内容はかなりグロテスクな部分もあるため好き嫌いは別れるだろう。私自身、話の内容は決して好きではない。けれど、七味まゆ味の「芸」としての一人芝居にはただ圧倒された。

 ちなみにベッドシーンらしいシーンはありませんでした。…というのはネタバレになるのかなあ。ベッドシーンを期待して観に行ったら刺された感じです。

2010/04/27-20:00
七味まゆ味一人芝居「いきなりベッドシーン」
in→dependent theatre 1st/前売券2500円
作・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味
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2010年04月25日

唐組「百人町」

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『そのラーメンに情の汁を入れて下さい』
唐十郎が二〇一〇年の世に問う、新宿高架下幻想群像劇。

舞台は新宿・百人町のしがないラーメン店・〈味龍〉。
そこに勤める出前持ちの青年・丁屋は、オカモチ三丁持ちに挑戦中。
店長のシナチク、同僚の鳴戸、肝臓を患う後輩・津君と、つましい毎日を送っている。
しかしそのラーメン店は、夏にはなくなってしまうことが決まっているのだった。

ある日、看護婦たちのコーラスに乗って、近所の大病院の院長・百足が現れる。
彼こそは〈味龍〉を買い上げつぶしてしまう張本人。
百足は買い上げ前に店を片づけてしまう。そして店内に病院の中庭が仕立てられ、
丁屋ら〈味龍〉の面々は呆然とする。
病気の弟を思い、注射器持参でそこに居合わせた津君の姉・流里江。
彼女と、不思議なことばを口にする、〈味龍〉のお得意・家具屋の丈らが丁屋たちを励ます一方、
百足のもとには病院の出資者であり、競走馬のオーナー・立川夫人が
ビロードの鞍にルビーをつけた木馬連れで現れて百足の尻を叩く。
謎のコピーライター・乱々歩次郎が、
経済の落とし穴を独自のステップで跋扈し、変転してゆくラーメン店・〈味龍〉。
非情な運命の大河を眼前にした時、青年の瞳はわずかな糸をたぐって、
ルビーが沈んだ新宿・百人町の海に潜海する。
(チラシより)

 アングラのテント芝居で有名な唐組を初めて観劇しました。内容は上記の通りなのですがなんだか全然わかりません。しかし意味がわからなくてとにかく圧倒されるという噂通りの観後感。妙な色の濃さを強烈に発散する役者陣が水やラー油や何かの粉をまき散らしていました。そして彼らに囲まれる唐さんはもう70歳とのことですが、軽やかでかわいらしい。

 唐組は非常に古くからの熱狂的なファンがいるとのこと。確かにこの世界ははまる人も多かろうと思いました。

2010/04/25-19:00
劇団唐組「百人町」
元精華小学校グラウンド特設テント/前売券3500円
出演:唐十郎/鳥山昌克/久保井研/辻孝彦/稲荷卓央/藤井由紀/赤松由美/高木宏/岡田悟一/気田睦/大美穂/土谷真衣/井上政志/成田慎平/上野山達宣/大石亜衣
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2010年04月23日

シアターシンクタンク万化「ホワイトライ」

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鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。
卵は世界だ。
生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。
異世界異能戦闘活劇
(チラシより)

 飛行機事故の記憶と虚数空間(イマジナリーワールド)での戦い。数学の様々な概念を数術の力として持つキャラクター達が華麗なバトルを繰り広げる。

 ジョジョのスタンドみたいな存在が登場するのでコスプレ的には華やか。ただ2年ぶりの公演のせいか、過去の作品に比べて殺陣が甘くなっていた気がした。武器として持っている小道具が小道具と呼べないくらい大きいので振り回すのも一苦労だと思うが、せっかくの雰囲気が切れの欠けた動きで陳腐化してしまったようでもったいなかった。

 内容はファンタジーなので細かい話は野暮ですが、虚数=イマジナリーナンバーって一般的に理解されてることなんでしょうか?

2010/04/23-19:30
シアターシンクタンク万化「ホワイトライ」
シアトリカル應典院/当日券2800円
脚本:美浜源八
演出:美浜源八とシアターシンクタンク万化
出演:高橋明文/河口仁/大沢めぐみ/有元はるか/長谷川千幸/村井友美/谷口知輝/谷屋俊輔/林裕介/高橋奈々/山崎ゆりか
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2010年04月21日

宮川サキ一人芝居

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 in→dependent theatreが企画している一人芝居シリーズ「INDEPENDENT:ex」の中のひとつ。宮川サキはsundayに所属する女優で、いわゆる華のある美人とは言い難いが演技力は高いと思われる。最近私が観た舞台では伏兵コードの「誰も寝てはならぬ!」に出演しており、独特の空気によくマッチしたキツイ芝居をしていました。

 さて一人芝居ということで、個性的なキャラクターを色々と演じていました。雰囲気的にはイッセー尾形みたいな芸です。どこかの企業で急にプレゼンすることになってしまったおじさん、暗い演歌歌手、会社の御局様的おばさん、花見の場所にいたお婆さん。どれも割と年配の人のイメージで、本人は若いのに上手だなあと思っていたら実は本人も私より年上でした。いや、素にしていると若く見えるのに。

 すごく良い!と感動するわけではありませんが、渋い職人芸の一端を見せてもらった印象です。

2010/04/21-19:00
宮川サキ一人芝居
in→dependent theatre 1st/当日券3000円
構成・演出:中本暁子
出演:宮川サキ
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2010年04月18日

隕石少年トースター「今宵、宇宙エレベーターの厨房で」

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何があっても、料理は出す!
摩擦熱や無重力を利用した料理のフルコース。
地上では起こり得ないトラブルのフルコース。
月へ向かう厨房は、料理人たちの戦場と化す。

しかし、みんな、プロである。

沈みゆくタイタニック号の中で、演奏し続けたバンドマンのように、
どんな状況でもお客様に最高のサービスを提供しなければいけない。

たとえ、食材が消えても──
たとえ、シェフが星になっても──
(チラシより)

 チラシに書いてある粗筋的な文章とは裏腹に、かなりプロ失格なメンツによるドタバタ騒動を描く、古典的なシチュエーションコメディ。設定も展開も荒唐無稽だが、それはお芝居だから良いでしょう。

 客演の稲田真理とF.ジャパンが特に強いキャラクターで味を出していたが、他の役者もそれぞれ上手かったと思います。DVDに収録するなら、アメリカのホームドラマみたいに笑い声を入れると良く合いそうに思う(実際の観客の声でもいいけど、あれは演出として明確に入れた方が効果的)。 

2010/04/18-17:30
隕石少年トースター「今宵、宇宙エレベーターの厨房で」
in→dependent theatre 2nd/当日券3500円
脚本・演出:山内直哉
出演」関敬/永井悠造/千歳晶子/福嶌睦/稲田真理/F.ジャパン/太田浩司/竹田幸弘
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2010年04月17日

コトリ会議「サリリャンカ・ララ・ワールド」

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星の動く音が聞こえそな 静かな夜に、あなたはうまれた

真っ暗な海岸に立っています。
私の視線は遠くの水平線と交差して、いつか地球を突き抜けていくのでしょう。
マフラーをちょっとあらためて、自分と同じ小さなものをと、
母が昔、編んでくれたのを思い出します。
あの日一度だけ、私のことを歌ってくれた。

汽笛が一つ、鳴りました。
水平線から星座がうまれて動き続けて、私はそんな宇宙を三百六十度見渡して、小さな私と長い人の歴史の中で、
何千人が何を見たのか

きっと、あなたを探すのでしょう
(チラシより)

 前回もそうだったが、とても悲しい物語を暖かい空気で包んでそっと差し出すのがコトリ会議のスタイルなのだろうか。包みがあんまり暖かくて優しいから、中にある悲しみが愛しくなってしまうほどだ。

 この話も、最初は楽しい家族の物語のように見せかけて、だんだんと辛い話になっていく。こういうのはそのギャップで見せる演出になりがちだが、あくまでも優しい包みのまま提示し続けるのだ。メジャー作品は感動を押し付ける過剰演出が多い中、この劇団のような見せ方にはとても好感が持てる。

 今回は京都の実力派女優(と私は思う)押谷裕子が出演して少し違った空気を持ち込んでいた。他が割とお嬢さんな感じの中で、彼女はどっしりしたおばさんの力強さを醸し出している。そして前回もいた原聡子がまた美しく狂った演技で魅了する。

 何がいいのか説明に困るけど、強いて言うなら笠江遼子がかわいいからだとしか言いようがないんだけど、また観に行きたい劇団です。

2010/04/17-19:00
コトリ会議「サリリャンカ・ララ・ワールド」
in→dependent theatre 1st/当日券1500円
作・演出:山本正典
出演:岩本真一/牛嶋千佳/笠江遼子/押谷裕子/梶川貴弘/原聡子
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2010年04月16日

トランスパンダ「君と旅」

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 どこかの街の小さなカフェ。交通事故で所々の記憶を失った店長。その幼馴染みのお調子者。たまたま客として寄ってバイトすることになった女の子。なぜかコーヒーをいれるのが上手い近所のバーのマスター。穏やかに良い人達の、カフェを舞台にした優しい物語。

 ほのぼのした小品として楽しく観賞できました。シアターカフェNyanはカフェ兼劇場という場所で、私が行くのは今回が初めて。しかし最近はかなり多くの公演で使われているようです。

 恐らく普段はカフェ側に座席が置かれて奥のスペースが舞台になると思いますが、今回はカフェ部分がそのまま舞台になったので、奥のスペースに座席が配置されていました。なにしろ本物のカフェを使っていますから舞台装置は完璧で、役者も自然な演技で良かったです。

 ただ、物語的には途中から色々ファンタジー的な要素やご都合主義的な成り行きが多かった気がします。店長の記憶喪失、マスターのコーヒーの特殊能力、女の子の過去、など自然ではない展開を詰め込みすぎていたのではないでしょうか。それでも観ていて飽和した印象を受けなかったのは、役者と演出が良かったからだと思います。

2010/04/16-19:30
トランスパンダ「君と旅」
シアターカフェNyan/当日券2500円
作・演出:ナカタアカネ
出演:奈須崇/北村守/上原日呂/なかた茜
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2010年04月11日

劇団ぎゃ。「奇妙奇天烈ファンシーハウス」

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でんきがいのなかにひっそりとたたずむ、
ふるびた3かいだてのビル。
そこにこっそりとそんざいする
せかいさいしょうのテーマパーク「ファンシーハウス」
ふうぞくてんだとかんちがいした、
このものがたりのしゅじんこう「ユナ」は
パステルカラーのチラシをもって、めんせつへ。
しかし、「ファンシーハウス」のじったいはおどろくべきもので・・・

劇団ぎゃ。がお送りする、エンターテイメントのフリした残酷物語。
盛りだくさんの歌と踊りでうまいことごまかします!
本質を見逃すな!
(チラシより)

 女の子4人による楽しいコスプレ芝居を観たつもりで帰りましたが、うまいことごまかされて本質を見逃していたことに2日経ってから気づきました。怖い話です。

 ネタバレになるので詳しい内容は語りませんが、親子(母娘)関係の暗い面をさんざん見せつけられて、最後に与えられる小さな救いにすがりたくなる物語でした。

 毒々しい内容が軽いノリで演じられていました。でもやっぱり楽しい観後感です。福岡の劇団なので大阪ではなかなか観られないと思いますが、今回観られて良かったと思います。

2010/04/11-15:00
劇団ぎゃ。「奇妙奇天烈ファンシーハウス」
in→dependent theatre 1st/当日券2500円
作・演出:中村雪絵
出演:中原智香/富田文子/三坂恵美/中村雪絵
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2010年04月04日

伊藤えん魔プロデュース「モテハン・オンライン」

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「…あ、あのよ、…マ、マジやばいゲームがあるんだけど」配給元不明。そのゲームは口コミで密かに広まっていた。どんなダメ男でもバーチャルでモテ男になれるゆるシナリオ。ログインすれば誰でもモテモテのイケメンに大変身!だが、その瞬間からプレイヤーは追われる者となってしまう…。
その世界は「モテ男を狩るハンター達」が別にログインする、「ストレス発散型ご都合主義ハンティングゲーム」!!モテる側は無防備&装備なし。狩る側は武装&なんでもあり。仮想草食系は生き残るのか。全滅か。さぁ、どっちを遊ぶ?
(チラシより)

 「ダメ男が波乱万丈のバーチャル世界で鍛えられて、現実世界でもちょっとだけ成長する」という構図はまあベタですがお約束としてありでしょう。現実・バーチャル・回想シーンなどが交錯しますがわかりやすく表現されており、エンターテイメントとして楽しめました。

 ただ2階席で舞台から遠かったため、なんだか楽しい雰囲気の場所を遠くから眺めているような感覚になってしまうことが何度か。1階席が盛り上がっているのに2階席はそれほどでもなかったりしたので、やはり距離は大事だなと思いました。

2010/04/04-13:00
伊藤えん魔プロデュース「モテハン・オンライン」
ABCホール/前売券4000円
作・演出:伊藤えん魔
出演:赤星マサノリ/早田剛/美津乃あわ/久保田浩/行澤孝/宮都謹次/国木田かっぱ/木村公一/副島新五/坂口修一/田村K-1/伊藤えん魔/小林亜由美/荒井美帆/辻本まり香/柿谷結衣/新良エツ子
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2010年04月03日

ことのは「春の音、曇天。をつけてみる」

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 毎年同じ場所で合宿をしている大学の演劇部。卒業公演の演目は必ずマクベスで、部長が主役になる。演劇への思いとか、部員間の恋愛とか、学生たちの青春群像。それを、合宿所でずっと働いている女性が見守っている。

 演劇部とか劇団員が出てくる芝居というのはどうも楽屋ネタ的な匂いがしてあまり好きではないのですが、この作品はどっぷり演劇ネタに浸っているため逆に真っ当な話になっています。戯曲が書かれたのは10年前とのことですが、登場人物の世代はほぼ私と同じくらいのようです。宮沢りえと貴花田(貴乃花)の話など、出てくる当時の時事ネタが懐かしい。

 ことのはは今回が10回目の公演とのことですが、その割に演技は少々若い印象がありました。演劇部の話なので劇中劇が何度かありますが、本編より劇中劇の方が良かったような気がします。

 最後の最後で大道具(舞台装置?)がすごい動きを見せて驚きました。それまでの雰囲気からするとちょっとそぐわない気もしたので、バランスは一考の余地があると思いますが、でも大道具さんがんばりましたね。

2010/04/03-19:30
ことのは「春の音、曇天。をつけてみる」
アトリエS-pace/当日券1800円
作:深津篤史
演出:関川佑一
出演  江口祥子/大川舞/太田彩香/大森一広/岡崎由起子/小笠原愛子/金沢沙耶/久保田智美/米沢千草/阪田愛子/彦田知美/山内大輔/山本まつ理/吉田圭佑/米山真理
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