2010年03月28日

夕暮れ社弱男ユニット「教育」

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 近未来の日本。妊娠するのも自然死するのも国家資格が必要となった。毎年、妊娠資格試験を受けるがちっとも合格できない女性と、死ぬための試験に落ち続けて際限なく延命治療されている女性。それから、ロボット兵士。彼女達をとりまく人々の風景。

 物語の内容はどうあれ、この作品のチャレンジは舞台配置に尽きる。スペースの中央に客先が四方を向いて組まれ、役者はその周囲をぐるぐる回りながら演技し続ける。

 ひたすら回り続けているので役者は体力勝負だろう。しかし細かい演技はほとんどなく、セリフだけで語られているに等しい。いや、細かく演技していたのかもしれないが、全体の三分の一くらいしか視界に入らないので、よくわからない。

 この舞台配置をとることで何が得られたのか。当人達は色々狙ったことがあったのだろうが、本作について言えばアイデア倒れな感が否めない。物語としては“客席を中央にしてぐるぐる回る”というスタイルで見せる必然性もないし、観客としてはどのみち全体が見えないのだから眼前の役者も見る必要を感じなくなり、むしろ全体の「音」を聴くために目を閉じてしまった。

 とは言え、このアイデアは一発ネタではない。上手に発展させれば色々なことができるのではないか。偏った視界になるのは円形劇場だって同じことなのだ。どうせならぐるぐる回ったりせず、本当に一部しか見えない作品にしても良かったのではないか。

 しかも全体を見ることができないと言ってもこのスタイルなら、振り返れば真後ろ以外は見える。客が能動的に動かなければ見えないし動けば見える舞台というのは、今までなかったように思う。せいぜい花道くらいだろう。

 せっかく面白いスタイルなのに戯曲はさほど練り込まれている感じがしなかった。だから本作自体が成功していたとは言えないが、次はもっと上手に工夫して挑戦してもらいたいと思う舞台だった。

2010/03/28-15:00
夕暮れ社弱男ユニット「教育」
芸術創造館/当日券2500円
作・演出:村上慎太郎
出演:稲森明日香/向井咲絵/関珠希/殿井歩/本間広大/松田裕一郎
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2010年03月27日

マレビトの会「ユビュ王」

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ユビュ親父はユビュおっ母にそそのかされ、ボルデュール大尉と結託し王を暗殺する。王冠を手に入れたユビュ親父は、貴族たちを次々と処刑、桁外れな税金を徴収し、ボルデュール大尉を投獄する。ボルデュール大尉は脱獄し、亡き王の従兄ロシア皇帝とともに、ブーグルラス王子(王家の生き残り)即位のために兵を挙げる。すぐさまユビュ親父も兵を挙げ戦場へ。「開戦」──だが、ユビュ親父は、一人そそくさと戦場から逃げだした。ユビュ親父が洞窟へ逃げ込むと、ユビュおっ母も逃げてくる。そこへ兵を連れたブーグルラスが襲いかかる。ユビュ親父はまた逃げていく。船の甲板の上、ユビュ夫妻とその一味。次の目的地へ向かうのであった。
(チラシの一種より)

 物語の内容は問題ではなく、演出が圧倒的だった。こんなヘタウマな芝居で、基本的に無表情で棒立ち、セリフ棒読み。多少動きがあるところでも操り人形のようにギクシャクした身振りだけ。本当に下手な役者たちがこれをやったら金返せレベルになるだろう。それでちゃんと観客を魅了する舞台ができているのだからたいしたものだ。

 しかし残念ながらこれは一発ネタだろう。同じことを別の戯曲や役者がやっても面白くはない。本作を知らなければ楽しめるだろうが、基本的に二度使える手ではない。そういう意味で、本作を観られたのは幸運だったと思う。

2010/03/27-19:00
マレビトの会「ユビュ王」
ART COMPLEX 1928/前売券2500円
作:アルフレッド=ジャリ
翻訳:窪田般彌
演出:松田正隆
出演:F.ジャパン/桐澤千晶/ごまのはえ/サリngROCK/筒井潤
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トリコ・A「クリスチネ」

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 タイトルはイプセンの『人形の家』の登場人物の名前ですが、作品の内容とはほぼ無関係だったと思います。シチュエーションは微妙に関係あるような気もしますが、人形の家をちゃんと読んでいないので語れません。

 芝居は優しい不条理系とでもいうような内容。空き家になっているはずのある部屋に集まった男女4人。ラジオから流れてくる“むちゅうじん”の話を背景に、いずれもどこか変な4人の物語がつづられる。

 “むちゅうじん”を漢字でどう書くのかわかりませんが、人としてダメな感じがむんむんする登場人物たちの、とぼけたやりとりと緩く不条理な空気はとても心地よく観られました。

 結局何がなんだったのか、全然わかってませんが。

2010/03/27-15:00
トリコ・A「クリスチネ」
アトリエ劇研/前売券2000円
作・演出:山口茜
出演:岩田由紀/鈴木正悟/筒井加寿子/仲野毅
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2010年03月22日

still life 静物画

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 京都芸術センター演劇製作事業「演劇計画2009」のうちひとつとして上演されたダンス公演。パントマイムなら観たことがありますが、コンテンポラリーダンスをちゃんと観るのは恐らく初めての経験になります。

 言葉はなく、音楽や照明も控え目。外の光や音も遮断されていない環境にふらりとやってきたダンサーが、時に個別に動き、時に協調する。バラバラで動いていると、どこまでが予定された動きでどこからがアドリブなのか判然としない。台本(またはそれに準ずるもの)はどんな風に書かれているのだろう?

 ダンサーはさすがに皆とても綺麗な体をしているので、なんでもない動きを見ているだけでもそれなりに感心する。ただ、こういう見方が正しいのかどうかよくわからない。

2010/03/22-15:00
「still life 静物画」
京都芸術センター/前売券2500円
構成・振付・演出:白井剛
出演:青木尚哉/鈴木美奈子/高木貴久恵/竹内英明/白井剛
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2010年03月20日

MousePiece-ree「英雄魂」

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ヒーローショーを運営している英雄商会は窮地に立たされていた。
2日後に大事なショーが迫っているのに、メンバーの殆どが欠けてしまったのだ。
そんな折二人の助っ人がヒーローになるべくやって来る。果たして二人はヒーローになれるのか?英雄商会の運命やいかに。
そもそもヒーローとは何なのか。あなたの心の中のヒーローは誰ですか?今回はそんなお話です。
(チラシより)

 私と同世代のおじさん三人による漫才のようなコント芝居。しょーもないトークとベタなネタが続く、チープな雰囲気でそれなりに楽しめるものでした‥‥が、ラストは驚くべきどんでん返しが待っていた。あれは小劇場でなければ不可能なエンディングだと思う。

2010/03/20-19:00
MousePiece-ree「英雄魂」
トリイホール/前売券2000円
作:早川丈二
演出:森崎正弘
出演:森崎正弘/上田泰三/早川丈二
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2010年03月19日

(書籍)有川浩「シアター!」

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『シアター!』
有川浩著/メディアワークス文庫/330P/610円

 ノンフィクション以外の小説は読まないことにしていますが、下記のブログで紹介されているのを見て読んでみることにしました。いつも書評は時々色々に書いていますが、劇団の話なのでこちらに書きます。
有川浩氏『シアター!』は、ライトノベルの姿を借りた小劇場界へのダメ出しだ:fringe blog

 ライトノベルを読まないのでその特徴はよくわかりませんが、文体は「マンガを文章化したもの」という雰囲気です。目次の所に登場人物がイラスト付きで紹介されているせいもあって、本文もマンガ的表現が目に浮かぶような書き方でした。

 内容は上記ブログで指摘されている通り、小劇団が抱える問題をさらけだすような言及が多々見られます。私の場合は観客にすぎませんから彼らの実体はほとんど知りませんが、内情をよく知っている荻野氏が「小劇場界の実態がリアルに伝わる」と書かれているのですから、こんな感じなのでしょう。荻野氏は「小劇場界への辛辣なダメ出しになっている」と評しており、もしかしたら本当に作者もそのつもりだったかもしれません。

 昔から芸術家に経済感覚はなかったのでしょう。しかし昔は貴族などのパトロンがいて成立していたわけです。それが近現代に市民社会が成立してからは、政府か消費者にスポンサーになってもらう必要が生じた。そのためにはしっかりした制作者が求められるが、小劇場の世界ではまだ主催者(≒アーティスト)が中心になっているため、うまく進まない‥‥と言ったところでしょうか。

 恐らく関係者が読めば身につまされるのでしょう。一念発起して取り組む製作者が現れるかも知れません。この世界に興味のない人が読んでも面白くはないと思いますが、関係者は一読しておくべき小説だと思います。
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2010年03月15日

イキシマの話、3回目。

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#10の観劇インプレッション:「精華小劇場製作作品「イキシマ」」
制作部日誌 3:「何がしたかったのかわからない、という批判」
#10の観劇インプレッション:「「イキシマ」続き」
制作部日誌 3:「公立劇場の役割と、素晴らしい演劇」

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 再度、回答します。

 まず本題と外れますが誤解されている部分があるので訂正しておきます:
一つは、「公立劇場が意味不明な作品を創るとは何事だ」ということのようです。乱暴な言い方になっているかもしれませんが、大阪市民の税金を使って、意味が分からない、マニアックな作品を創るのはけしからん、ということなのだと思います。

 これは違います。普通の公立劇場なら、前衛的でマニアックなアングラ作品でも構いません。むしろ商業的に成り立たないような作品をこそ積極的に扱ってほしいとすら思います。

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2010年03月13日

笑の内閣「THE SCHOOL OF THE RINGS -road to Abashiri-」

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 舞台上にリングを設置し、芝居の中で本格的にプロレスをやってしまうプロレス芝居・笑の内閣の第10回公演。

 10回目で5周年という今回は、「全道大会進出を目指す北海道の高校演劇部。部長が突然プロレス芝居をしようと言い出し、たまたま団体をクビになったばかりの人気レスラーの指導を受け、大会に挑む」‥‥という内容。

 なかば強引にプロレス芝居に繋げていくわけですが、プロレス芝居の劇中劇でまたプロレス芝居をやっているので、入り乱れて大変なことになっています。でも意外と破綻していませんでした。

 本物のプロレスを生で見たことはないのでリアリティは分かりません。ただ、こう言うとプロレスファンには怒られるかもしれませんが、元々プロレスというのはスポーツとショーの混合みたいな側面もあるので、芝居との親和性は高いのだと思われます。例えば「テニスの王子様」も舞台化されていますが、本当に舞台上でテニスをするのは無理でしょう。

 チラシ等を読むと劇中のプロレスが本格的であることのアピールが多いのですが、観ていて思ったのは逆に、演劇部分が稚拙で学芸会的だということです。しかし、ひょっとするとこれは意図的だったのかもしれません。演劇部分があまり本格的すぎると、プロレス部分が嘘くさくなってしまうと考えられるからです。演劇部分が学芸会的だからこそ、プロレス部分が本格的に見える。そこまで計算しているとしたら、たいしたものです。‥‥計算じゃない可能性も高いですが。

 演劇としてもプロレスとしても明らかにイロモノなので、正直それほど期待はしていませんでしたが、劇場から出てきた自分は多分、ものすごい満面の笑みだったと思います。完全に、してやられました。

2010/03/13-18:30
笑の内閣「THE SCHOOL OF THE RINGS -road to Abashiri-」
ART COMPLEX 1928/当日券2500円
作・演出:高間響
出演:野口雄輔/藤井麻理/鍋田幸治/末山孝如/栗山万葉/大下眞次/五藤七瑛/上蔀優樹/橋下千英/ちっく/ドッペル慈恵士/眞野もとき/川崎一輝/向坂達矢/HIROFUMI/社会窓太郎/高間響/嵯峨シモン/高田会計
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烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」

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ケンという男がいた。大事な誰かに対して、大事な言葉を投げかけようとすると、決まってみんなどこかに行ってしまう。そういう男だった。

ノアは方舟から鴉を放したが、とまるところがなく還ってきた。
次に鳩を放った。しかし同じように還ってきた。
7日後にまた鳩を放した。すると今度はオリーブの葉をくわえて還ってきた。
さらに7日経って再び鳩を放したが、もうそれっきり、還ってくることはなかった。


おかえりなさい、ケン君。わたしたちはあなたのかぞくです。
(チラシより抜粋再構成)

 烏丸ストロークロックが5年かけて描いた「漂泊の家」シリーズ総集編。残念ながら私が観るのはこれが初めてですが、これまでの作品も織り込まれた形で構成されているため、単独で観劇しても問題はないとのことでした。

 その織り込み方はいわゆる劇中劇になりますが、本編と劇中劇がなめらかに繋がり、また空間的にも重なるような舞台構造が作られていました。具体的には、客席最前列の前に舞台装置としての椅子が1列並べられ、劇中で劇中劇を観ている登場人物がそこに座ることで、劇中劇の観客と本編の観客が同化したようになるのです。これはちょっとした技巧でしょうが、まんまと気持ちは劇中世界に取り込まれて行きました。

 語られる内容は悲惨というか切ないというか、そして何か不気味さを伴うエピソードの集成で、泣くべきか笑うべきか考え込むべきか難しいものです。口に入れたモノが食物なのか薬なのか毒なのかわからないまま噛み砕いているような気分になりました。

 ほどよく緩急のある展開は飽きることがなく、途中休憩を挟んで2時間半余りという長い上演時間にも関わらず、終わった時は「もう終わり?」と感じました。ただこれは、幕切れが唐突な印象だったことも原因でしょう。あのラストシーンはどう解釈すればいいのか、まだちょっと飲み込めていません。

 前作も観てみたかった。観なかったことが悔やまれます。

2010/03/13-13:00
烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」
アトリエ劇研/前売券2500円
脚本・演出:柳沼昭徳
出演:阪本麻紀/ 片山奈津子/ 浅井浩介/ 犬飼勝哉/ 内田和成/ 大村史子/ 斉木りさ/ 崎田ゆかり/ 高橋志保/ 辻智之/ 中川裕貴/ 中嶋やすき/ 長田美穂/ 新田あけみ/ 長谷川直紀/ 松本S一/ 安田一平/ 山邉明日香
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2010年03月12日

「イキシマ」続き

 先日書いた「イキシマ」の感想に対して関係者から反応を頂いたので、回答と追記をしておきます。(なお私自身は“批判”という言葉を使っていません)
単純に「意味が分からない」ことがどうして批判の対象になるのか。

 言い換えれば「『意味が分かる』ようにすることがどうして必要とされるのか」ですが、それは、イキシマが「精華小劇場製作作品」だったからです。

 もしこれがマレビトの会や維新派の通常公演なら、何も文句はありません。どんなにマニアックで意味不明でも良いのです。しかしイキシマは精華小劇場が主体となって企画した作品なのだから、意識すべきことがあったはずです。

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2010年03月06日

バンタムクラスステージ「THE KISS,grants a name.(to you) /とはずがたりのマリア」

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1930年代、上海。アヘン農場を所有する中国人犯罪組織のボスの娘・一色は、身内同士の抗争で父親を謀殺され、自らの出自を厭うようになる。一方、売春宿に売られた名もない少女は、賽の目を読む天才的な才能を買われ、大陸浪人に身を崩した青年に拾われる。二人はともに若い「神父」に出会い、神の教えを説く彼に心ひかれる。二人の女の願うこと、それは彼からの洗礼を受け、「名前」を授かること。やがて、願いは苛烈な運命を引きよせる。
(チラシより)

 バンタムクラスステージを観劇するのは2回目ですが、前回(ルルドの森)と同様に重くて濃い空気を感じる舞台でした。映画的なイメージの作品を目指しているとチラシに書かれていましたが、スクリーンというケースに入れずにこの空気を実現するのは、映画よりずっと難しいことだと思います。下手な劇団が挑戦するとするとだいたい空回りしますが、ここは非常に安定しています。

 やや残酷な拷問シーンもありますが、その怖さも充分。舞台装置は非常に少なくほとんど素舞台なので、役者の力がすごいのでしょう。殺し屋(カレンダーとピアス)を演じた二人が特に良かったと思います。

 しかしこの劇団、(失礼ですが)あまり注目されている印象がありません。力量の割に、他所で話題に上っているのを見かけないんですよね。いわゆる「もっと評価されていい」劇団だと思います。

2010/03/06-19:00
バンタムクラスステージ「THE KISS,grants a name.(to you) /とはずがたりのマリア」
作・演出:細川博司
出演:福地教光/水谷有希/木下聖浩/山本香織/殿村ゆたか/森岡宏治/内村哲哉/るこ/hime/畠中歳雄/上舞/峯毛/若林賢太郎/樋上孝治/はたのさとし/さくらの/岡崎あかね/田中之尚/沖田さわ
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ピースピット「MOTHER」

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母になれなかった少女──小雪
母になる女──つるの

「子が将来何者になるかは未知のことに属する──」
永井荷風(1879.12.3-1959.4.30)
(チラシより)

 タイトルにあるように「母」をテーマとした内容ですが、実際は母になるまで(つまり妊娠期間から出産するまで)の話です。チラシにもウェブにも内容紹介が見当たらないので細かいことは書きませんが、ちょっと天然な主人公の“イマジナリーワールド(空想世界)”が話の大半を占めています。

 空想世界と言っても現実と完全に切り離されているわけではなく、むしろ過去と現在が同居する主人公の内面世界という様子です。キーワードは「子が将来何になるかは未知のことに属する」。

 なんというか、笑ったり泣いたりで顔の筋肉が忙しい観劇でした。脚本と演出の末満氏は男性なのによくこんなテーマで書けるものだと感心します。まあ、刑事でなくても刑事ドラマは書けるんだから同じことかも知れませんが、本物の刑事が刑事ドラマで感動したという話はあまり聞きません。本作ではたくさんの女性が泣き笑いしてました。

 ピースピットの作品は今回を含め舞台を2回とDVDを1回観ただけですが、どれも切ない愛に溢れている印象を受けました。次回作が楽しみです。

2010/03/06-14:00
ピースピット「MOTHER」
シアトリカル應典院/前売券3500円
作・演出・プロデュース:末満健一
振付:山根千佳
出演:前渕さなえ/山浦徹/岡本拓朗/清水かおり/山田かつろう/鈴木洋平/三谷恭子/立花明依/Sun!!/橋爪未萠里/中野裕貴/丹下真寿美/西分綾香/吉田青弘/末満健一
posted by #10 at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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