
時は、江戸の寛政年間。蔦屋重三郎率いる版元「蔦屋」では喜多川歌麿を筆頭に、多種多彩な才能がその腕を競いあっていた。そんな折、突然「東洲斎写楽」なる謎の絵師の浮世絵が売り出され、あっというまに人気沸騰!まさに寝耳に水の「蔦屋」の面々。んなヤツ、誰も知らねーし、「写楽」ってだれよ?丁々発止の写楽佐賀市が始まった!(チラシより)
一方、現代日本では、謎の美術品窃盗集団が暗躍中。狙いは、主に警備の薄い個人所蔵の二級の美術品。が、なにをとち狂ったのか、狙いを「東洲斎写楽」の浮世絵に絞る!何故、危険を冒してまで写楽を狙うのか?疑心暗鬼の強奪計画が発動する。
全く時代の違う二つの集団の物語が、『東洲斎写楽』というキーワードを軸に、コインの裏と表となり、進んで行く。そこに、浮かび上がる真実とは…
上手に造り込まれた戯曲と、動きの良い役者陣、適度なアドリブ。小劇場の芝居として実に正統派な演出で、観劇経験の少ない人にも安心して勧められる良作でした。
舞台装置がシンプルなのに、江戸時代の場面の衣装が豪華なおかげか、貧相な感じはまったくありません。10人という役数は実際は江戸時代と現代があるので20人ですが、覚えきれなくならない適度な数で観やすかったと思います。
ただ、江戸時代と現代で物語に何か繋がりがあるのかと思って観ていましたが、そういうわけではなかったのが少し残念でした。ラストはちょっとだけ繋がる感じもしますが‥‥。
2010/01/31-13:00
劇創ト社 de ネクタルグン「10人写楽」
シアトリカル應典院/当日券3500円
作・演出:城田邦生
出演:石原正一/木内義一/末満健一/田所草子/那伽けん/永見陽幸/濱本直樹/福山しゅんろう/前渕さなえ/山浦徹/湯浅崇