2010年01月31日

劇創ト社 de ネクタルグン「10人写楽」

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時は、江戸の寛政年間。蔦屋重三郎率いる版元「蔦屋」では喜多川歌麿を筆頭に、多種多彩な才能がその腕を競いあっていた。そんな折、突然「東洲斎写楽」なる謎の絵師の浮世絵が売り出され、あっというまに人気沸騰!まさに寝耳に水の「蔦屋」の面々。んなヤツ、誰も知らねーし、「写楽」ってだれよ?丁々発止の写楽佐賀市が始まった!
一方、現代日本では、謎の美術品窃盗集団が暗躍中。狙いは、主に警備の薄い個人所蔵の二級の美術品。が、なにをとち狂ったのか、狙いを「東洲斎写楽」の浮世絵に絞る!何故、危険を冒してまで写楽を狙うのか?疑心暗鬼の強奪計画が発動する。
全く時代の違う二つの集団の物語が、『東洲斎写楽』というキーワードを軸に、コインの裏と表となり、進んで行く。そこに、浮かび上がる真実とは…
(チラシより)

 上手に造り込まれた戯曲と、動きの良い役者陣、適度なアドリブ。小劇場の芝居として実に正統派な演出で、観劇経験の少ない人にも安心して勧められる良作でした。

 舞台装置がシンプルなのに、江戸時代の場面の衣装が豪華なおかげか、貧相な感じはまったくありません。10人という役数は実際は江戸時代と現代があるので20人ですが、覚えきれなくならない適度な数で観やすかったと思います。

 ただ、江戸時代と現代で物語に何か繋がりがあるのかと思って観ていましたが、そういうわけではなかったのが少し残念でした。ラストはちょっとだけ繋がる感じもしますが‥‥。

2010/01/31-13:00
劇創ト社 de ネクタルグン「10人写楽」
シアトリカル應典院/当日券3500円
作・演出:城田邦生
出演:石原正一/木内義一/末満健一/田所草子/那伽けん/永見陽幸/濱本直樹/福山しゅんろう/前渕さなえ/山浦徹/湯浅崇
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2010年01月23日

ルドルフ×このしたやみ「熊」

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決、闘、です。
チェーホフの傑作一幕劇『熊』、2つの演出・キャストで同時上演。
(チラシより)

 夫を戦争で亡くしてただ嘆くばかりの日々を暮らす未亡人の元へ、夫の同僚だったという男が尋ねてくる。彼は夫に貸した金を返してほしい、明日までに銀行へ利子を払わなくてはならないと言う。しかし未亡人は、今は手元に金がないから明後日まで待てと応える。承知できない男はそのまま居座ろうとするが‥‥。

 約40分の短編で、基本的に喜劇だ。ルドルフは普通の舞台セットで最初から割と喜劇的な雰囲気を出す演出だったのに対し、このしたやみは極めてシンプルだが何か象徴的な舞台セットで、演出も喜劇的要素は控え目だった。

 どちらが優れているか決めるようなものではないので両方それなりの楽しみ方が出来たが、何より演出次第で同じ戯曲がこれほど違うものになることを見せつけられたのが心地よかった。同様な試みは昨年2月にも「人は死んだら木になるの」でも実施されて、その時もこのしたやみは参加している。今後もこういうスタイルの上演は観てみたい。

2010/01/23-15:00
ルドルフ×このしたやみ「熊」
アトリエ劇研/前売券2500円
作:チェーホフ
<ルドルフ>
演出:筒井加寿子
出演:岩田由紀/駒田大輔/中嶋やすき
<このしたやみ>
演出:山口浩章
出演:二口大学/広田ゆうみ
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2010年01月17日

ザ・パンタロンズ「ハラダマークII」

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「ルイちゃんの恋愛救済計画」
インターネットのコミュニティサイト、ニコニコシティで呼びかけられたその計画に本田祐二は参加するハメになった。
本田は目標のない日常から抜け出し、パソコンの中に非日常を求めるいまどきの青年である。

ルイちゃんがもてあそばれ、今も忘れられずにいる男の名は河野雅弘。
偶然にも、本田と河野は高校時代の友人であった。

計画の主催者である女は「真実の執行人」を名乗り、本田の働くコンビニに河野をおびき寄せ、河野を銃で撃つ!!

女の放った銃は「真実の銃」
放たれた銃弾は河野の心を貫き、河野の真実をむき出しにする。
しかし、女の口から告げられた名はルイちゃんではなく、高校時代の同級生「原田芳江」
女は原田芳江の恨みを晴らすために計画を実行したのだ!!

影の薄かった彼女の思いでは、本田と河野の記憶の奥底にしまい込まれ、消えようとしていた。
必死に思いだそうとしていたその時、本田は自分の記憶が曖昧な事に気づく・・・

イクエの言った、たった一言のヒント「原田芳江はチャダおなの!」
この言葉を鍵に、本田と河野は記憶の奥底を探す旅に出る。
(チラシより)

 出演者がAチームとBチームに別れて、10人中6人がダブルキャストという公演。どういう経緯でこうなったのかは分かりませんが、私はAチームを観劇しました。

 チラシにかなり細かく粗筋が書かれていましたがあまりよく見ていなかったので事前情報なしで観劇しましたが、特に問題はありませんでした。かなり忠実な粗筋なので内容には触れないが、なんとなく映画「トータル・リコール」を思いだす設定です。舞台での回想シーンなどはややこしくなりがちですが、そこそこ上手に作られていました。

 全体になんとなく若手劇団特有の未熟さと空回り具体が感じられました。盛り込みたいものが多いのはわかりますが、もっと洗練されると良いのではないかと思います。

 ただ、公演全体をお祭りのようなイベントに仕立て上げる努力と成果には感心しました。舞台は単に観賞するだけの作品ではなく、公演全体を含めた“ハレの場”なのですね。

 残念ながら客演でしたが、店長役の人が抜きん出て面白かったです。役柄もあるんでしょうが、風体がぴったり。

2010/01/17-17:00
ザ・パンタロンズ「ハラダマークII」
ロクソドンタブラック/当日券2000円
脚本:中沢祐輔・吉行由
演出:吉行由
出演:八田浩司/吉行由/恩地徹(B)/ハジメスモモ/丸山貴世(A)/赤坂桜(B)/凛子(A)/竹下佑美(B)/西野内仁志(A)/櫟原将弘(A)/日高尚志(B)/GA-KO(B)/中田一歩(A)/流石矢一(B)/藤本佳世子(A)/津川寛之
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2010年01月09日

デス電所「急襲キルフィールド」

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その温泉街には、七つの露天風呂があった。
その七つの露天風呂は、地獄巡りと呼ばれていた。
その地獄巡りは、二つの旅館が取り合いをしていた。
その二つの旅館には、それぞれ秘密があった。
その秘密は、誰にも漏らしてはいけなかった。
やがて秘密は毒となり、
ガスとなって吹き零れ出す。
(チラシより)

 温泉街を舞台に、商売と恋愛と犯罪が入り交じったドロドロの話。登場人物がみんな自分のことしか考えてない身勝手な人格でありつつ、堂々と欲望を追求してはばからない。タブーも何もありゃしない痛快さはデス電所の作品として正統でしょう。

 その独特の世界は嫌いではないのだけど、感情移入できる「まともな人間」が出てくる方がむしろ狂気が引き立つのではないだろうか。あまり行き過ぎるとただ滑稽なだけの描写になりかねない。

 また、ラストの殺戮は途中でだんだん飽きてきました。現実には、何発も撃たれた後に戦い続けるなんてできるもんじゃない。あれではまるでゾンビだ。いやゾンビなのか?実はそういう設定だったとしても不思議はない気がする。実際どうなのかはわからないが。


2009/01/09-14:00
デス電所「急襲キルフィールド」
ABCホール/前売券3000円
作・演出:竹内佑
音楽・演奏:和田俊輔
出演:山村涼子/丸山英彦/田嶋杏子/豊田真吾/福田靖久/山崎彬/四宮章吾/吉川莉早/村里春奈
posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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