2009年12月26日

芝居処味一番「ラーメン」

ra-men.jpg


(前略)
舞台上にはこたつ。
それに散乱した漫画。
どっからどうみてもダメな感じの部屋です。
まさに我が家のよう。
そんな部屋でなんだかいろいろします。
いや、そんなにいろいろはしませんが、何かあります。

この部屋で何があるのか?
想像してみてください。
どんなことも起こる可能性がありそうですよね?
いろいろ思いながら見てもらいたい。
そんな芝居です。
(後略)
(当日パンフより)

 若い男の一人暮らし的なアパートの一室を舞台としたワンシチュエーション芝居。学生っぽいけれど、会話からするともう学生ではないようで、人間関係がよくわからなかった。

 最初のうちは自堕落な雰囲気の生活がだらだらーっと描かれて、後半からやかましいキャラが登場する。その上で主人公の過去が語られるわけですが、正直なところ物語の進め方がこなれていない印象でした。役者の演技もまあ頑張ってはいるんですが、心を捉えるレベルではなかったと思います。

2009/12/26-19:00
芝居処味一番「ラーメン」
in→dependent theatre 1st/当日券2500円
作・演出:南勇樹
出演:板としあき/置名渓吾/勝山修平/浅倉サキ/峯毛/南勇樹


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2009年12月19日

桃園会「ぐり、ぐりっと、」

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私は今現在、私のなかに私を滅ぼすものを飼っている
私を滅ぼせば、それは無論私と共に滅びる運命にあって
何とも誠に厄介な代物であるが
私の場合、それに名前と実体があって、ないよりは良いと思うのだ
名前も実体もない恐ろしいものを飼っているよかね
社会とか、人とか、人々とか、そこに、飼っているのか、巣食われているのか、
ただ、在るのか、
名前をつけはたしから実体が消えてゆく、そんな恐ろしいものよりかね
まだ克えるでしょ
なんてことを考えた9月の空は、うすぼんやりと素知らぬふりで
で、じっさい、またそんなお話なんでしょって
はい、恐ろしい方のね
(チラシより)

 深津篤史の脚本3本のうち2本を劇団ジャブジャブサーキットのはせひろいちが、1本を遊劇体のキタモトマサヤが演出する短編三作公演。

「ぐり、ぐりっと」(演出:はせひろいち)
 ファンタジーなのか何かの暗喩なのか、一人ずつ神様がついていて姿も見えて会話も出来るという世界。でも、どうやら別の世界から来たらしき主人公にはついてないので、その辺にいた猫を神様にして連れて行けと言われる。それでいいのか、そんなものなのか。
 何かのメタファーなのか宗教に対する皮肉なのか、どういう意図で書かれた作品なのか判断が付きかねたのですが、すっとぼけた様子は嫌いじゃなかった。

「月灯の瞬き」(演出:はせひろいち)
 02年の作品。ホームパーティがお開きになった後、居残った酔っ払いの気だるいトーク。人間関係が複雑のような単純のような微妙な感じではっきりさせられない、はっきりさせない方が良さそうな雰囲気。だからどうだということもない場面をきちんと舞台にした不思議な作品でした。

「カラカラ」
 95年の作品。阪神大震災直後の避難所の様子。どういう背景を持つのか良く分からない4人と、その中の一人を訪ねてくる同僚。これといって大きな事件が起こることもないが、たまに来る余震にびくびくしながら、そこそこ前向きに生きている。

 特に何かが起こることもなく場面が淡々と描かれている点は三作に共通で、こういう戯曲を書くのも演出するのも難しいのではないかと創造するが、できあがったものは結構ちゃんと物語になっている。不思議な作風だなあと思います。

2009/12/19-19:00
桃園会「ぐり、ぐりっと、」
アイホール/当日券3300円
作・監修:深津篤史
演出:キタモトマサヤ/はせひろいち
出演:亀岡寿行/はたもとようこ/紀伊川淳/森川万里/橋本健司/長谷川一馬/川井直美/寺本多得子/山本まつ理/出之口綾華/大熊ねこ/大本淳/金替康博
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2009年12月12日

下鴨車窓「人魚」

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 知らない時代の、遠い世界の話。
 とある漁村では深刻な悩みを抱えていた。若い漁師が海に出るたびに行方不明になっているのだ。噂によるとそれは人魚のしわざだという。沖合の小島を漁師が通りかかると、どこからか歌が聞こえてくる。その歌に誘われて行くとそのまま帰ってこなくなるらしい。村は若い漁師を失い存亡の危機に立っていた。
 ある中年の漁師はまた別のことを考えていた。彼もその小島は何度か通りがかっていたのだが、一度としてその歌を聴いたことがない。耳が悪いというわけでもない。その歌はこの世のものとは思えないほどの美しさだという。一度でいいから聞いてみたいと思っていたのだった。
 ある日、村の長老たちは人魚の捕獲をその漁師に命じた。漁師は長い時間をかけてやっと人魚を捕まえて戻ってくる。それはふてぶてしい態度で、どこからそんな美声がと思われるほどだった。まずは飯を食わせろと言う。なんだか寒い、着るものはないのか。咳が出る。陸地に上がって歌えるわけないじゃないか。近所のガキどもを追い払え。
 世話をする漁師の娘も泣きだそうというものだ。
(チラシより)

 上記のあらすじは物語が始まるまでの経緯みたいなもので、舞台はその後から描かれる。チラシのこういう使い方は良いと思う。舞台の前半が背景説明で費やされなくて良いからだ。ただ、今回はこのチラシを読んでいなくても問題ない程度には舞台上で説明されていた。

 確かこの作品の出演者はオーディションで決めたと読んだ気がするが、風貌も声もピッタリで、上質な小品に仕上がっていた。特に漁師と人魚を演じた二人が良かった。

 とにかく性格の悪い人魚(これは新しい!)に翻弄される実直な漁師と娘。娘は村の若い漁師に恋をしているらしい。そして怪しい(いんちきくさい)占い師が状況をひっかきまわす。たったこれだけの登場人物だが、ちゃんとその世界を形成できており、安心してそこに入り込むことが出来た。こういう“舞台の質感”を創れる劇団は多くない気がする。

 下鴨車窓を観劇するのは今回が初めてだが、次回も観たいと思わせる出来栄えでした。

2009/12/12-14:00
下鴨車窓「人魚」
アトリエ劇研/当日券2500円
脚本・演出:田辺剛
出演:平岡秀幸/森衣里/豊島由香/宮部純子
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2009年12月05日

コトリ会議「もぐとパンをかじるのだ」

mogutopanwokajirunoda.jpg

鉄塔に上ってみるのだ
星の丸さを感じる程に
輪廻の景色が広がるのだ
移動するたくさんの人
倒れて流れたカモメの群れと
溢れ止まらん音と音
空が広がったまたその上に
昼間の星が瞬いた

もぐとパンをかじるのだ
あんなに遠くにいるのなら
せめて
私は土を踏み締め
あなたとわたしを思うのだ
(チラシより)

 ソ連とアメリカとドイツとパレスチナと、それから宇宙と。さまざまな場所と時間を交錯しながら、優しさと切なさと希望と絶望が入り交じった物語が綴られる。タッチはとても柔らかく、とぼけた調子でわらわらと演じられるのだが、描かれているテーマは実際とても深いものだ。

 ソ連がスプートニク2号に乗せて宇宙に送ったクドリャフカという犬は、最初から生還の予定がなかった。パレスチナで暮らす幼い少年少女は、イスラエル軍の侵攻によって殺される。どちらもいわゆる、理不尽な運命に翻弄されるキャラクターだ。

 一歩間違えれば憎悪の塊になってもおかしくない立場なのに、あくまでもコミカルに演じられるので最初はかなりミスリードされました。これはきっと、運命の受け止め方に対する提案なのだろう。一種の悲劇にも関わらず、観後感はやさしさで溢れたものでした。

 一見ドタバタした雰囲気でありながら、実は内容の割に抑制した演技演出だったんだと後から思いました。印象に残ったセリフは「僕が最後に怒ってしまったから‥‥」。

2009/12/05-19:00
コトリ会議「もぐとパンをかじるのだ」
ウイングフィールド/当日券1500円
作・演出:山本正典
出演:岩本真一/牛嶋千佳/笠江遼子/山本正典/小永井コーキ/出本雅博/寺尾有司/原聡子
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