
なにもかもが輝き尽くしたあとは 無惨にさみしい燃え殻の山積みだけが 唯一の眠るところ(チラシより)
「おーい、はやくねてしまいなさい」
という懐かしい声は、どこか遠くへ 今は唖の蛍光灯がさんざ輝いて へんなことばかりあばきたてる
彼らはただ暗闇のなか 逃走も前進もかなわぬまま 静かにぐんぐん成長してしまう
「そこで笑ってんのは誰だ?お化けだったら承知しないぞ!!」
夜をさまよう若い男と女を通して、暗闇に浮かび上がるエロスと暴力、そして、メルヘンを巡るイメージを舞台空間に堆積させる。IN THE ...に続く言葉の消失にも、なお生きざるをえない人々の風景を描き出す幻視的舞台。
タイトル通り黒を基調としてほぼ素舞台に近い空間で、場末の雰囲気漂う退廃的な世界が描かれる。内容は、おおむねチラシの言葉のまま。一貫したストーリーはあまりないが、世界観のようなものは確固として存在していたと思う。
出来事というよりライフスタイルや人々の属性を描くような作品だ。私が生きている世界とは全然違うものなので、ちょっとした憧れもまじった印象を持つ。実際にああいう世界で生きている人が観た場合の印象はまた異なったものになるだろう。そういう人が芝居を観に来るかどうか、微妙だけど。
頭に斧がささった女の子のお化けが(ビジュアルのインパクトを差し引いても)印象的でした。
2009/10/31-19:30
子供鉅人「IN THE BLACK」
芸術創造館/当日券2800円
構成・演出:益山貴司
出演:BAB/益山寛司/蔭山徹/小中太/樹木花香/四万十川友美/大前光市/福森慶之介/益山貴司 他