2009年09月26日

タカコキカク「最新光速チルドレン」

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最速の転校生。音速の優等生。駿足の全力少年。冷徹なタイムキーパー。ジカン。時間泥棒。眠らない少女。孤高の天才科学者。2109年、彼らは生き急いでいた。世界のスピードは加速し続け、失速する機会を失っている。暴走する社会は止められるのか。失った自制心は取り戻せるのか。人間の欲望に果てはあるのか。子供たちが走った先に見たもの、それが本当のジカンの姿だった。
(チラシより)

 ある劇団の公演が舞台であり、劇中劇が本編と同じかそれ以上の比率を占めている。常人より遙かに高速で活動できるよう改造された子供たちの悲哀を描く芝居を、トラブルによってどうしても半分の時間で上演しなくてはならなくなった劇団員たちという二重構造だ。

 アイデアは悪くないと思う。が、それぞれ主役級の役者を取りそろえたにしてはチープな印象が否めなかった。なんとなくやっつけ仕事的に芝居していた感じもありましたが、それも演技の一部だったんだろうか? 構成が構成だけにその可能性もあり、微妙な感覚です。

2009/09/26-15:00
タカコキカク「超高速芝居 最新高速チルドレン」
ロクソドンタブラック/前売券2500円
作・演出:前田タカコ
出演:湯浅崇/花田綾衣子/片岡百萬両/真心/Sun!!/大沢めぐみ/前田タカコ/上原日呂
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2009年09月20日

乞局「汚い月」

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都内空港近くのマンションのリビング。
東埜(ひがしの)宅は靜(せい)と妻の真琴(まこと)の二人暮らし、子供はいない。
引っ越してきた頃は飛行機の音など全くしなかったのに最近は一時間に何回か飛行機の飛んでいる音がひどく聞こえてくるようになった。
国際線のターミナル新設に伴い、便の増発が相次ぎ、やむなく空港側が住民に何の事情説明も無く、ある空港会社の便だけはマンションの辺りの上空を迂回して離陸するようにしてしまったからだ。
しかも整備工場では何をしているのか分からないが夜中に煙突からモクモクと煙をあげて晴れた夜でもどんよりとしている。
そういう状況があるので、その地区では改善を求める署名活動・住民運動が起こっている。
未だ、その改善は見られない。
(チラシより)

 乞局は東京の劇団で、川崎在住の頃には何度か観劇しました。全体に不気味な雰囲気が漂い、暗く、救いも無く、観る者の気分を悪くさせるような作風です。終演後は“わざわざ金を払ってこんな芝居を観る意味があったのか?”と自問してしまうのに、なぜか次の公演にも足を運んでしまいます。そんな中毒性のある劇団です。

 そんな乞局が初の京都公演を行うと知り、嬉々として会場へ向かいました。今回は5年前の作品の再演ですが、私は初見です。

 過去に観た作品のように「登場人物の誰一人まともじゃない」ということはなく、何人かは普通の人物もいましたが、全体としてはやっぱりいつもの乞局で、むずむずするほど気持ち悪い心地よさを感じました。

 初の京都公演にしてはほぼ満席の客入りでした。京都はアングラというか前衛的な芸術が多い土地ですので比較的こういうのも受け入れられやすいだろうと思いますが、さて皆さんがどう感じたのか。

 次回も是非関西へ来て欲しいものです。

2009/09/20-14:00
乞局「汚い月」
ART COMPLEX 1928/前売券2500円
脚本・演出:下西啓正
出演:佐藤祐香/田中則生/西尾佳織/駒橋誉子/浅井浩介/佐藤幾優/石田潤一郎/墨井鯨子/岩本えり/三橋良平/井上裕朗/下西啓正
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2009年09月12日

劇団ピルココ「恋愛戯曲」

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 女性脚本家が山中の別荘で恋愛ドラマの〆切に追われている所へ、若いプロデューサーが催促にやってくる。しかしすっかりスランプに陥っていた脚本家は、プロデューサーにとんでもない要求をする──「お願い、私と恋をして!」。

 少し前の新聞にあった芸能欄で平田オリザの発言として、“以前の演劇ではオリジナル戯曲信仰のような風潮があったが最近はそれが薄れ、演出が主体となりつつある”という話が書かれていました。本作もそのパターンのひとつと言えるでしょう。「恋愛戯曲」はサードステージの鴻上尚史の脚本で、初演は2001年かな? 現実と劇中劇が互いに交錯して描かれ、時々混乱しますが、それも狙いでしょう。

 サードステージが客席数400以上の紀伊国屋ホールで上演した作品ですが、100人規模のロクソドンタブラックでちょうどよいと感じました。演出が上手にアレンジしたのかもしれませんが、役者が五人しか出てこないので、むしろ大劇場の方が難しいかも。

 全体にがんばっていましたが、役者のセリフはいかにも台本を覚えて演技しているという雰囲気が現れてしまっていたので、もう少し自然に見えるような訓練は必要だと思われます。

2009/09/12-19:00
芝居集団ピルココ「恋愛戯曲」
ロクソドンタブラック/当日券1800円
作:鴻上尚史
演出:杉洋介
出演:中野聡/岡真紀/奥田宏人/谷野麻里江/杉洋介
posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする