2009年06月13日

遊劇体「海神別荘」

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深い海の彼方の底には、竜宮城の乙姫様の弟である貴公子が住む別荘がある。そこは果てしなく美しく豊富な宝で満ちた理想郷だ。その海神の御殿へ、漁業で細々と生計を立てていた漁師の娘が輿入れにやってくる。漁師は自分の欲望と引き換えに、娘を売り渡したのだ。

鏡花独特の幻想美に加え、鏡花思想の一面というべき痛烈な社会批評は、21世紀を生きる私たちに向けて今もなお、照射される。

1913年「中央公論」に発表。初演は発表後42年、鏡花没後16年目の1955年久保田万太郎の改補演出によって歌舞伎座にて上演された。戯曲オリジナルによる舞台化は、1974年芥川比呂志演出(劇団雲)による上演まで待たねばならなかったようだ。
(チラシより)

 遊劇体は泉鏡花の全作品上演に挑戦しているとのこと。前回は精華小劇場の広い空間で幻想的な「山吹」を観劇して感銘を受けましたが、今回はウイングフィールドの閉じこめられた空間に海底の宮殿が構築されていました。どうやるのか興味津々で臨みましたが、歌舞伎を思わせるような立ち回りと発声、電気的な音響効果、ガラスの舞台装置を重ねることで実現していました。

 前回に比べて客席と舞台があまりに近いため、幻想的な空間というにはやや生々しすぎる印象もありました。もう少し広い場所、前作と同様に精華小劇場くらいがちょうど良いのではないでしょうか。

2009/06/13-14:00
遊劇体「海神別荘」
ウイングフィールド/前売券2500円
作:泉鏡花
演出:キタモトマサヤ
出演:大熊ねこ/坂本正巳/こやまあい/村尾オサム/猪野明咲/戸川綾子/条あけみ/南田吉信/朝平陽子/高澤理恵/誉田万里子


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2009年06月12日

ヨーロッパ企画「ボス・イン・ザ・スカイ」

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なんとなく、
光のクリスタル
(チラシより)

 ドラゴンを退治する光の騎士団たちの物語。でも非常に現実的で、害獣駆除業者のノリ。ど田舎の畑の真ん中にある廃虚に居座る弱いドラゴンを倒したものの、ゲートの向こうへ送り返すことができず夜を明かすはめに。すると付近ではなにやらロックフェスが開かれていて‥‥

 マルチに活動するヨーロッパ企画。観劇は2回目ですが、相変わらずののんびり脱力系会話芝居。聞く所によると登場人物に名前すら付けていないらしいですが、確かに不要ですね。

 後に残るものは特にありませんが、穏やかに楽しい時間を過ごしたければこういう作品がお勧めです。

 今回は円形舞台で360度客席ですが、どこから見ても問題ない造り。そのために極めて立体的な構造にしたそうですが、その試みは成功していたと思います。


2009/06/12-19:30
ヨーロッパ企画「ボス・イン・ザ・スカイ」
アイホール/当日券3800円
作・演出:上田誠
出演:石田剛太/酒井善史/角田貴志/諏訪雅/土佐和成/中川晴樹/永野宗典/西村直子/本多力/山脇唯
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2009年06月06日

村田堂本舗「小部屋に針を」

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高層ビルが立ち並ぶ中、不思議な空間がそこにはあった。
右が小さな出版社。左が倉庫。そしてマンションを背に、正面にオフィスビル。
それらに四方を囲まれる形で、テントが一つ張られているのだ。
上田が取材を開始する。
「夜になると、浮くんだよ」「季節で色が変わるの」「たまに角が生えるよ」
不可解な情報が集まる中、土地の所有者(中年)談。
「キミにも見えたかい?綺麗だろ?」
チョコレート中毒の中年はどこまでが唇か分からない口で言った。
まだ見ぬテントの住人に思いを馳せて、彼は張り込みを決意する。
『上田とテントの不思議な一年と一時間のお話』
(チラシより)

 チラシの説明とはちょっと違う感じですが、ファンタジーをベースにしたラブコメといった所でしょうか。テントの不思議な住人をめぐる一年の物語。

 設定は面白いし、演技演出に不満はないのですが、主人公の行動がいまいち感情移入できない部分が多い気がしました。というか、なんであの子に恋するかな? 

(以下、ネタバレ含みます)
 季節によって人格も姿も変わってしまうテントの住人は、春は少女、夏はおっさん、秋は詩人、冬は娼婦となります。同一人物でも色々な面を持っていることのメタファーでしょうか。

 それなら、上田が春の少女を待ち焦がれるのは、同じ人物の別の側面から目をそらしてることに他ならない。好きになるなら全部ひっくるめて受け入れなきゃいけないんじゃないの? それができないからこそ杭を打ち込んだということなんでしょうか。

 その辺がどうも釈然としない印象でした。


2009/06/06-19:30
村田堂本舗「小部屋に針を」
in→dependent theatre 2nd/当日券2300円
作・演出:村田和明
出演:大塚宣幸/渡邉みなみ/山川勇気/今井志織/上野淑子/山本弦太/尾上裕香/溝畑香奈子/吉田和裕/林菜緒美/横山太郎/布施千賀子/林実矩
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