2009年03月27日

GiantGrammy「あれれ?詐欺かも」

areresagikamo.jpg

ここはある占い師の館。
そこには占いに来たというには不釣合いな男二人がいた。

借りた金を今日中に返さないとマグロ漁船に連れて行かれる
借金まみれの堺(真心)と、
金を返せない堺をマグロ漁船に連れて行こうとしている
借金の取立屋、夏目(ともさかけん)。

堺はこの館でどうしようもない計画を立てていた。

もう、自分には後が無い。返せる金なんて一銭も無い。
そこで思いついたのが、ある男を偽占い師にしたてあげ、
後輩の岸部(嶌田忠士)をだまして高額な壷を売りつけようという
なんともおばかな計画。

・・・中略・・・

嘘が嘘でふくらんで、だんだん誰が誰をだましているのか
何がなんだかわからない!

・・・中略・・・

堺の無謀な計画は、とんでもない方向に・・・?
(ホームページより抜粋)

 間抜けな作戦の詐欺と勘違いが絡み合うコメディ。真心とともさかけんはいずれもまったり感の強い役者で、ゆるーい雰囲気が心地よい。展開はご都合主義的な面も多いが、それもお約束という所でしょう。

 大部分の展開はある意味普通なのですが、ラストのラストでまさかの大仕掛けで呆気にとられました。会場であるin→dependent theatre 1stの通常の配置(東側に舞台、西側に客席)を逆にしてあったため、入った時からなぜだろうと不思議だったのですが、これをやるためだったとは‥‥!

 おまえらバカだろ。ほんとにもう、だから大好きです。

2009/03/27-19:30
GiantGrammy「あれれ?詐欺かも」
in→dependent theatre 1st/前売券2800円
脚本:ともさかけん
演出:ともさかけん&GiantGrammy
出演:真心/ともさかけん/渡辺健太郎/嶌田忠士/福田恵
posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月21日

関西の小演劇スケジュール携帯版をリニューアル

 関西の小演劇スケジュール携帯版は、ちょうど1年前に作ったものの、PC版のリンクをそのまま使っているため、あまり使いやすいものにならないまま放置していました。しかし先日GoogleモバイルがPCサイトを携帯で見やすいように変換する機能をもっていることに気づき、これを利用してリニューアルしました。

 このような変換機能はmixiモバイルやYahoo!モバイルにもありますが、データの流し込み方が一番わかりやすかったGoogleにしました。Googleがこの機能を一般開放してるのかどうか判りませんが、遮断されるほどのアクセスは考えられないので、大丈夫でしょう。

 興味ある方は http://engeki.client.jp/mobile.html または以下のQRコードからご利用下さい。
mobileQR.gif
posted by #10 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月15日

浮遊許可証「月ヶ嶽の兄弟」

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これは、一匹のねずみが見たお話──
 ところは、江戸の貧乏長屋。ボロをまとった、兄弟ふたり。
兄・万次(まんじ)はまっとうに働きもせず、ツケで飲み食い、大盤振る舞い。まじめでカタブツの弟・朔丸(さくまる)は、そんな兄を見てお説教をくり返す。万次に縁談が持ち上がったことから、絡み合う因縁の糸がほどかれていく。ふたりには、生き別れになった女きょうだいがいた──

 人に化けたねずみ。陰と陽の兄弟。井戸の底に捨てられた少女。顔を見せぬ花嫁。妖しい大家、長屋連中。押入れにひそむ間男。
 ニッポンの〈色〉と〈闇〉を散りばめて織りなす、「浮遊許可証」版大江戸綺談。
(チラシより)

 時代劇でファンタジーでミステリー。喜劇と悲劇と勧善懲悪と冒険譚。いろんな要素が全部詰まったような満腹な舞台だったが、ほどよい加減で楽しめました。

 ミジンコターボの片岡百萬両と月曜劇団の上原日呂という、ものすごい数の客演をこなしている役者が揃って出演。この人たちはどうやって台本を覚えているのか不思議ですが、他の出演者も含めてこの顔ぶれなら外れないだろうと予想して観劇し、予想通りでした。

 何かしっくりこない違和感が、どんでん返しで明かされる展開。ああ、そうだったんだ。主人公の、取り返しのつかないミス。これほど悲しいことはない。でも、どこにも救いはないのに、何か爽快な印象。

 後からチラシをよく見たら、劇団の紹介として「観る者の心に爪痕を残す、リアルな痛みと独自の空気感を持ったファンタジー」とありました。なるほど、確かにそうだ。気持ちいい爪痕が残りました。

2009/03/15-14:00
浮遊許可証「月ヶ嶽の兄弟」
芸術創造館/前売券2500円
作・演出:坂本見花
出演:片岡百萬両/加藤智之/前渕さなえ/上原日呂/高依ナヲミ/小中太/上野真紀夫/中村真利亜/後藤菜穂美/白井宏幸/陰核/竜崎だいち
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2009年03月08日

伏兵コード「誰も寝てはならぬ!」

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カラスのくちばしを、町役場に持って行っては小銭を稼いでいた父が亡くなった。
三男二女の兄妹達は、山々に囲まれた葬儀屋に集まる。
父は遺言を書いていた。遺言の締めくくりは、「誰も寝ては鳴らぬ!」。
長い長い、雨降る夜。大雨洪水警報発令中。
兄は言う。「親父の葬儀代がない。」
カラスが鳴いて、牛は助かる。
小銭を稼いでいた父は、亡霊となり何を想ったか。
(チラシより)

 暗い。とにかく暗い。陰惨。骨肉の争い、醜い人間の集まり。何の救いもない。そういう話。

 伏兵コードは前作も拝見しましたが、陰惨なのは同様。ただ前回は狂人姉妹に囚われた普通の人がおかしくなっていく話だったのに対し、今回は全員最初からおかしいので、感情移入できる人物がいない。嫌いな人はたまらないだろう。

 こういう作品が許されるのは小劇場ならではだが、小劇場の世界でも比較的ニッチなジャンルだろう。だから、こういう作品がここに存在することをもっと強くアピールする必要があると思われる。

 好きな人は好きで、しかもなかなか得られない体験だ。しかしチラシの雰囲気では、ここまで強烈な内容だということが伝わらない。その点はある意味もったいないとも言える。PR方法は悩ましいだろうが、切り開いて欲しい。

2009/03/08-17:00
伏兵コード「誰も寝てはならぬ!」
in→dependent theatre 1st/当日券3300円
作・演出:稲田真理
出演:赤星マサノリ/石原正一/宮川サキ/魔人ハンターミツルギ/稲田真理
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2009年03月07日

尼崎ロマンポルノ「鉄鋼スベカラク」

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 鉄工所の娘として生まれた双子の姉妹。姉は父に物語をせがむ。流刑島の盗賊集団と鯉の話の、なかなか進まない物語の先を、妹は聞いていた。その妹は製鉄所のある島で火災に巻き込まれて死んだ。妹の恋人はその火災の真相を探るべく新聞記者になったと、携帯メールで姉に伝える。どこまでが現実、どこからが妄想、誰が正気、渾然一体となった物語。

 チラシの裏に書かれていた粗筋的な文章が実際の内容と全然違ったので、久しぶりに自分で筋を描きました。チラシの文章はイメージかな。

 尼崎ロマンポルノの前回本公演「映りゆけ咲子」はウイングフィールドの狭い空間に押し込まれた濃密な世界でしたが、今回は精華小劇場の円形舞台という比較的開いた空間での公演。それでも独特の濃密さは変わりません。

 誰が正気で誰が狂っているのか、誰が生きていて誰が亡霊なのか、とにかく最後まで幻想と現実が入り交じって気が抜けません。その不気味さがこの劇団の持ち味なんだろうと思いました。

 私は鉄鋼メーカーで働いているのでこのタイトルには敏感に反応してしまいますが、“鉄工”と“鉄鋼”をきちんと区別してイメージできている辺り、作者の周辺にそういう職業の人がいるのかもしれません。製鉄所の力強く恐ろしい雰囲気は好印象です。

 円形劇場に合わせた舞台構造も良かったです。先月観た作品は方向性のありすぎる演出で場所による当たり外れが大きかったのに対し、この作品は恐らくどっちから観ても同様に楽しめたと思います。

2009/03/07-19:00
尼崎ロマンポルノ「鉄鋼スベカラク」
精華小劇場/当日券2500円
作・演出:橋本匡
出演:村里春奈/堀江勇気/森田真和/田米克弘/寺本多得子/コーディー/松田卓三/平井佐智子/大江雅子/橋本匡
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2009年03月01日

劇団鹿殺し「ベルゼブブ兄弟」

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―とある田舎。実子の二人と従兄弟の二人。4人は兄弟として育てられた。父親の葬儀で再会する4人はその死因をめぐって互いに疑いを抱き始める。平凡な残酷さを持った子供時代を経て、大人になった4人とその家族。小さなわだかまりから次第にそれは家庭内戦争に・・・。
互いの猜疑心や欲望をむき出しに、子供に返って争う中で次第に見えてくる父親の秘密、いなくなった母親のこと、そして自分たちを結びつける家族というつながり。
ホラーな要素、ライブ演出をふんだんに盛り込んだ意欲作は過去最大となる4都市ツアー!
続いていく残酷にも暖かい「家族」についての物語。
(HPより転載)

 鹿殺しの舞台は熱い。単に大音響と激しい動きを合わせただけでは生まれてこない何かがあると思う。魂の叫びみたいなものを感じるのだ。冷静に考えれば無茶苦茶なんだけど、それをまるでリアリティのあるものと思わせるような、問答無用の叫びだ。

 田舎の家族の骨肉の争いみたいなドロドロした物語を背景に、ぶっとんだキャラクターが絡み合う。血なまぐさいエピソードが存分に楽しめる。決してメジャーにはならないだろうけど、好きな人はどっぷりはまれる世界だ。

 また、前回の観劇でも感じたが、ハチャメチャな演出のように見えてきっちり作り込まれている舞台だ。ちゃぶ台やスコップが宙に浮かんだりする所は、けっこう手間がかかっていると思うが、そういう部分に手間をかける所はすごいと思う。路上ライブではそういうわけにいかないだろうから、舞台公演は舞台公演ならではの取り組みをしているのだろうか。

2009/03/01-15:00
劇団鹿殺し「ベルゼブブ兄弟」
in→dependent theatre 2nd/前売券3000円
脚本:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
出演:オレノグラフィティ/菜月チョビ/丸尾丸一郎/山岸門人/橘 輝/円山チカ/坂本けこ美/傳田うに/高橋戦車/菅野家 獏/木村セキ/今奈良孝行/小林健一/森下亮

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