2008年11月29日

DRAMATiC STATiON「マーブル・チョコレイト」

舞台はどこかにあるバーの店内。その床には店をふたつに分けるように、
うっすらと線が引かれている。ここは国境線上にあるバーなのだ。
国境線といっても、そんなの誰か上の知らないやつらが決めたこと。
僕たちはそこを自由に行き来できるし、その線でわけられた『種類』を気にしない。

してい な  かった・・・
                よね?
(チラシより)

 DRMATiC STATiONはmixiの同名コミュニティを中心に作られた劇団。私自身もコミュニティメンバーには入っていますが、本作の制作過程にはまったく関与していませんが、公演は観ておこうと足を運びました。

 主催者が作・演出・主演を勤めるという、典型的な小劇場演劇。終演後に帰って行く観客を役者たちが見送る光景は久しぶりに感じます。名古屋にいた頃はほとんどの劇団がやっていたのですが、地域性なのか時代が変わったのか、どちらでしょうか。名古屋では今も行われているのか観に行けばいいのですが、すっかり遠くなっています。

 閑話休題。主催者とは以前一度だけオフ会でお会いしましたので一応知人で、その時の印象ではもっとキャピキャピした恋愛劇を想像していましたが、意外と重い内容を含んだ話だったので驚きました。

 物語の舞台は「黒」と「白」の境界線上にあるバーで、店の中央に引かれた赤い線が境界を示しています。この黒と白、そしてわずかに語られる「赤」は単純に架空の国境かもしれませんが、ゆるやかに共存しながらも些細なきっかけで対立が表出してしまう、何かの区分の暗喩のようにも思われます。そういう区分は色々あるわけです。

 経験豊富な役者陣というわけではないと思われるので、色々とアラはありましたが、まずまず面白く観られる芝居だったと思います。

 なお、会場となったステージプラスはオフ会の会場になった場所なのでそれ以来何度か行きましたが、観劇に行ったのは今回が初めてです。横幅が狭いので演出に制約があると思いますが、この作品はうまく使いこなしていました。

2008/11/29-18:30
DRAMATiC STATiON「マーブル・チョコレイト」
STAGE+PLUS/前売券1500円
作・演出:ノマユミカ
出演:渡邉裕史/安藤優/西村州平/有村智子/宮本果実/高馬悠一/ノマユミカ/丸山銀也
posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月23日

壁ノ花団「アルカリ」

お前は知らないだろうが、私はお前の家に長いあいだ住んでいる。
お前の靴は私にピッタリだし、バナナが好きなのもありがたい(私は歯がないのだ)。
お前がいなくなる昼間、わたしはそれを食べ、まだ新しいお前の靴を隠す。
荒地にある廃屋に住む女がいて、その廃屋にいつのまにか住みつくようになった元戦争捕虜がいる。
猫がいて、その猫がいなくなる。そもそもその前に休戦がある。女は灰を集めて過ごし、元戦争捕虜がそれを見ている。
またひとり元戦争捕虜が収容所から逃げて来る。故郷に帰るのだという。
故郷に帰って、この戦争でなにがおこったのかについて書くのだとバナナを食べながらもごもごいう。

(チラシより)

 壁ノ花団を観るのは2回目。1回目は名古屋にいた頃で、「たまごの大きさ」を観た。およそ2年半も前だが、舞台装置がとても芸術的で、まさに“舞台美術”と呼ぶにふさわしい印象だったのを覚えている。

 今回もそれは同様だ。一面に散らばった古いトランクの数々と、正面の黒板。柔らかい光の使い方。抑えた中にもテーマを感じさせる光景が構築されていた。

 芝居の内容はこれまた不思議なもので、故郷へ帰る元戦争捕虜が廃屋で過ごすというのは、現代の戦争ではあまり期待できる情景ではないだろう。19世紀頃のヨーロッパの小説みたいなイメージだ。実際はそういう小説をあまり読んでいないので知らないけれど。

 アートを堪能したなあ、と思いながら帰ることができた。

2008/11/23-15:00
壁ノ花団「アルカリ」
アトリエ劇研/前売券2800円
作・演出:水沼健
出演:内田淳子/亀井妙子/金替康博/F.ジャパン
posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月15日

超人予備校「フルーツ大コウモリがくる」

 描かれるのは“都会の片隅でおこなわれているカラスとネズミの勢力争い、害獣日本一決定戦”(チラシより)。

 と、それとは全然関係ないフルーツ王国の物語。

 むしろ後者の方が圧倒的に面白かったけれど、多分作り手の気持ちとしてもそれでいいんじゃないかと思われる。衣装もずっと凝っていたし。

 全体的に漂う雰囲気は学芸会的で、最初は失敗したかなーと思いながら観ていましたが、途中からそのノリに馴染んでくるととても楽しい観劇になりました。小劇場はこれでいいんだと思う。

2008/11/15-19:30
超人予備校「フルーツ大コウモリがくる」
in→dependent theatre 1st/当日券2100円
作・演出:魔神ハンターミツルギ
出演:上別府学/山名伸右/流石鉄平/中川琴乃/日枝美香L/尾松由紀/三月/魔神ハンターミツルギ/うべん/なかた茜
posted by #10 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(1) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月01日

空の驛舎「KOSMOS」

探偵小説とは、混沌(カオス)に秩序(コスモス)を与えて組織するあるひとつの試みである。
(チラシより)

 冴えない探偵とその助手。
 田舎の原っぱで見つかった死体。
 居合わせた人々、推理?、捜査?、証言?

 粗筋を上手に書くのは困難なタイプの作品で、実験的とでも言えば良いのだろうか。舞台の奥には客席と向かい合うようにダミーの客席が組まれており、登場人物は時折そこに戻っていく。探偵たちは事件の起きた空間とは別の次元にいるようで、事件を語っているのかどうかすらわからなくなる。

 事件を解き明かすべく話が展開していくのではなく、事件をとりまく登場人物たちの姿と言葉を材料にしたコラージュを仕立てているような舞台だった。

 そう思って観ればそれなりにアートなものではあるが、正直言ってこちらの頭の中にカオスを植え付けられた感じ。

2008/11/01-19:30
空の驛舎「KOSMOS」
アイホール/当日券2700円
作・演出:中村賢司
出演:三田村啓示/津久間泉/塚本くるみ/高橋理紗/石塚博章/中村京子/幸野影狼/佐々木淳子/辻登志夫/橋本健司

posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする